一軒家のエントランスに一人の給仕娘を転がしながら。
「次が来る。壁に張り付いたほうがいい。」ナイトノッカーの一言に
「なんだと?どういう意味・・」パパン!
慌てて伏せる女社長。「な!?」
「だから言っただろ!」壁に張り付いたレティシア。「フネラーレ!大丈夫か?」
「なンとかネ。」こちらも床に転がっている。「私には声をかけてくれないんですね・・」スネた声音の社長秘書。
「あんた、頑丈でしょ?」「腕折れちゃってるんですけど!」「それだけで済んだんだし。」
マルス社長は呆れたように「そんな漫談ができるなら、さっさと進みましょ。で、アレは?」
「銃、だよ。社長。しかも今、連射してきたわね。コロセウムの時と同じタイプか、改良されてるかもしれない。破壊力よりは、殺傷力が増してる、か。」
「物騒こノ上ないナ。」銃痕を見る。壁に大穴ではなく、完全に貫通してるあたり、確かにヤバそうだ。
「相手もこちらに飛び道具があると分かったみたいね。さっきのは威嚇射撃。そんでもってフネラーレ。」
「うン?」
「お前が一番の標的に確定だ。」「エ!?」「そりゃそうだろ。向こうが飛び道具で、こっちも居るなら、そいつから潰す。残りは剣士と格闘家だ。
銃だと近づく前に仕留めれる。」
「うワ・・来なけりゃよカった。」
「少々お待ちを。」セネリオが防具を付け出す。流石にフルプレートとはいかないが、胸甲と盾。
そしてセイブ・ザ・クイーン(女王の守護者)盾は持ち上げる事ができないので革のベルトで胸甲に繋いでなんとか左腕も持ち上げる。「私が護ります。」
「せんちゃん・・・」
「次回の査定はよろしくお願いします。」
「はは。じゃあ、行くか。風斬りよ!」風?術式を廊下の奥に叩き込む迷惑来訪者。
(まいったわね。ベリキート、一瞬で落とされちゃった。まあ、あの魔女相手じゃ仕方ないか。)
銃を構える。残弾は10発。スペアの弾倉は一つ。都合22発。
4人とはいえ、この数では少々心もとない。なんといっても豪華メンバーだ。
シックスは先程ドアから手鏡で確認し、4人がかなり「銃撃」に対処しながら進んでくるのを見た。
(さすが、か・・牽制射撃もさせてもらえないか・・居場所がバレる)自分の家だ。こういったトラブルに対処するため、多少の細工はしてある。
今の隠し扉なんかもそのためだが・・
そこに・・・
「シックス!取引と行こうじゃないか!」迷惑来訪者の声に
「人様の家に勝手に上がり込んで、何を!」応える
(シっ!)人差し指を口元に当てたレティシアが皆に。うなづくメンバー。
「あたし達は別に押し込み強盗に来たわけじゃない。拉致された人物を取り返しに来ただけ。」
「世迷いごとを!彼は自分の意思でここまで来た!お前達の出る幕も出番も無いっ!頭に風通しのいい穴を開けて海に浮かびたくなかったら、とっとと出て行け!」
ミコッテの女性が吠える。
(かかった)
「それは聞き捨てならないわね!風の術式はあたしの得意分野だからねえ。」にやり。
(魔女殿?)(しー・・・今、場所の特定ができた。おい、フネラーレ。お前なら、あの壁の先にちょっとした隙間があるのみえるだろ?)
(僕に指図すルな。できて当然ダ。)金色の瞳が光る。
「それがどうしたっ!体中、穴だらけにしてやる!」
「怖い怖い。それはちょっと遠慮させていただくわ。(今。)」
(この!穴だらけにしてやる!)隠し扉から銃を出そうとしたその瞬間、目の前に信じられないものが。
「きゃああっ!」銃を構えた手に、そして銃に。矢が刺さっていた。
シックスは銃を落とすどころか、弾かれて遠く、そう。たかが3歩程野距離が永遠に近い遠さに・・
手の甲を貫通した矢を未だに信じられないように見ながら膝をつく。
「こノ前の借りは返したヨ。」呪眼の声に・・・「この・・・」としか言えない。
「さっきの術式はあれか。どこから狙ってるのか空気を読んで?」社長の声に。
「まあね。簡単な結界よ。声の出処と、風の流れで場所を特定した、ってわけ。」
(とんでもないなあ・・)(ですよね・・)
「フネラーレ?これで、おあいこにしとくのよ?殺しちゃダメだからね?」
「くソ。」
「甘いだろ!」左手でもうひとつの銃を撃つ!
「そっちが、でしょ?」秘書が盾と自身の身を。
が、銃弾は彼女を傷つける事ができなかった。白い刀身が光る。
セイブ・ザ・クイーン。護るべき相手がいる限り、この魔剣は使い手に無類の守護の魔力を発揮する。
次の矢が左手の銃を弾き飛ばし「これデ終わりだナ。」フネラーレが勝ち誇る。
「まだだ!」シックスはまだ無事な左手で小さな塊を取り出し、ピンのようなものを口で引き抜く。「道連れだ。仲良くしようか。」
走り出している魔女。
その手にある金属の塊を蹴り飛ばす。
次の瞬間、廊下の奥に転がった塊が爆発を起こす。
「あ、危なー・・・」ミコッテの女性に覆いかぶさるようになった魔女だが・・
「おい!血まみれだぞ!」社長が回復術式を慌てて唱える。
「ん・・なんとか・・死んでない。ありがと。」魔女が答えてから目を瞑って動かなる。
「助けた、だと・・」シックスは血まみれの魔女をどかし・・
「全ク、いつも無茶苦茶ダ。この魔女は・・」呆れかえるフネラーレにミコッテ3人も頷かざるをえない。
「よし、レティシア殿の治癒は引き続き私が。この先にまだ「黒猫」が居るはずだ。が、回復術式では足らないかもしれない。
蘇生術式をするから時間がかかる。セネリオ。フネラーレ殿。悪いが先行してくれ。」「はい。社長。魔女殿にもしもの事が無いようにお願いします。」
「仕方ないナ。」 「クォ様は・・お前らの思い通りにはならんからな・・」右手の矢を引き抜き、エプロンで止血をしながら、シックス。
「上等、だよ。」社長が「シド殿はちゃんと連れ返す。別に命の取り合いするわけじゃあない。」