これは・・・どうすれば?
ミコッテの青年は、左肩にもたれるようにして眠る恋人を・・
そのまま宿に、というのも選択肢としては・・・あるのだけど。
さすがに女性陣にガン見されたまま、宿に直行。は、かなりの度胸がいる。いや、不可能と言っていい。
そこに意外な救援?が。
「おい。指輪の。お前、まだ正気を保ってるな?」社長が少し座った眼で睨んでくる。
「ああ。その社長?俺は別にこの子を好きにしようなんて・・」しどろもどろ。
「生憎だが、別件だ。せんちゃん・・セネリオが万全なら任せたんだけど・・。」
「話が見えない。」リガルドは肩に首をあずけている恋人を気にして・・
「さっき、消えた奴らがいるだろう?まさかとは思うが、気づかなかった、とは言うまいな?」
「・・・個人の事に、勝手には・・」
「ならいい。お前はそのまま恋人と抱き合ってろ。こっちは急用だ。エリス!用意しろっ!」
「はいにゃあ?」
「今、パールで飛空挺をチャーターした。間に合えば上々だが、事は急ぐ。悪いが我らもこれにて退散させて頂く!代金はアリティア産業でツケといてくれっ!」
黒髪のミコッテの女社長は駆け出していく。
「まってー!」古参の女社長も走って・・・「エリスー!」と、彼女の親友はどうしたものか、右往左往。
横を走るミコッテの青年。
「お前・・」女社長の問いに
「いや、これはマズイ展開、なんでしょう?」
「いや・・・逆に聞きたい。そんな軽装とはいえ、鎧着た女を背負って走れるのはどうなんだ?」
「愛する女性を「重い荷物」なんて、思える方がすごいですよ。」
「よく言った。私もそんな相手と出会えていればな。」
「いずれ・・出会えますって。」
「なら・・・上々だな。」
「で?何があったんです?」
「いなくなった連中がやっかいなボス退治をする、ってさ。」走る速度を緩めながら、リフトの前に。
「俺達、間に合うんですかね?」召喚士の問いに。
「間に合わすようにチャーターしたんだ。エリス!方位はコレでいいんだな?」
「はい!」
(ごめん、ミー。少しがんばってもらうよ。)リガルドは恋人を起こす。
「ふにゃ?あれ?」剣聖はまだ寝ぼけて・・
ばちん!
「悪いな、剣聖。少ししっかりしてもらわないと、我々全員冥土逝きだ。簡潔に言う。タイタンなる蛮神のすぐ後に、ガルーダなる蛮神が出た。
コイツを倒すために色んな動きがある。その中に私達も入る。異論があるか?」
「へ?ちょっと?なに?って、今、飛空挺?リガルド?」
「すまない・・・君を巻き込むのに確認もなく・・ただ・・これだけは言える。「どうにもならない事態」を防ぐため、としか。」
「わかったよ。任せて。リガルドがそう言うんだし。それに・・・エリも・・もう行ってるんでしょ?」
「さすが、か。」マルス社長は船内でアクビの一つも。
「しゃちょー!準備オーケーですよ!」各種薬品、そして大きな布。この船から別の船に、それも高速な。それに飛び移るのだ。
さすがにジャンプすれば真っ逆さまに落ちるか、甲板に叩きつけられてサヨウナラになるか。
「じゃあ・・一番手は俺だな。失敗したときはそのまま逃げてくれ。・・・あれか。じゃあ・・行くぜ!」
リガルドが空を・・・「え?ちょっとおおお!!!!!」剣聖がその後を追う。
「はっちゃけた連中だな。エリス。船員共がウルサイから私達も飛ぶぞ。」「まじすかあああ!」
大きな布は風を受け、速度を殺しながら・・「よし。少し足が痛いけどなんとかなった。」
「リ!リガルドはん!な?」ハイランダーの少女が
「ああ、ユーリちゃん。ま。いろいろとね。っと!」大きい布で速度を殺しながらもバランスが悪いみたいで・・・
「おっと。」ミコッテの青年が恋人を抱きとめる。
「もう・・・こんなのイヤだよう!」抱きしめ返す恋人に。
「まだ、この後がある。」
「よーう分かってるやんけ?」ブロンドの少女。
「社長に伝心したんだろ?この時間、この位置。」
「せや。戦力が足らへんさかいな。」
「我社をナメてもらっては困るな。方位と速度さえわかっていれば、輸送に関しては右に出るものはいない。」
「しゃちょー、死にかけましたああ!」
「お前は打たれ強いのだけが取り柄だろうが!」
「書類も得意ですう・・」
「まあ、ええわ。これでなんとかできるやろ。相手は蛮神のなかでもエグイらしいからな。ついでにそいつにご退場してもらって、もう一山あるさかいな。」
「ああ。重々承知しているよ。ロアー姉妹。それに・・」周りを見る。「大層な面々じゃないか。」
「やあ。」髭面の男性。「初めまして、かな?確か・・アリティアとか言ったか。」
「アナタがシド、ね。私は代表を務めるマルス・ローウェル。初めまして。」
「こちらこそ。いい関係が築けるといいな。」「そうですね。」
「ミー!!!!」黒髪の女性がエレゼンの剣聖に駆け寄り抱きしめる。
「エリ・・・」相棒を抱きしめ返し・・・
(俺の出番はもう少し後かな・・)本の頁を確認する召喚士。
「親方ぁ!竜巻が見えるッス!アレに突っ込むンスか?」ララフェルの機工士が悲鳴をあげながら
「マジかよ・・」ルガディンの機工士ですら怖気づく。
「てめえら、ガーロンド・ワークスの機工士だろうが!この艇ならいける!そうじゃねえのか?」
「親方!」「はい!」
「なんか、いろいろすごい事になってるやんか・・ミー?」
「ん?エリ?」
「来てくれてありがとな。」
「あ・・うん。」
「ほな、一丁やるしかあらへんか!行くで!」
「仕切んなや!」「せやで!」「エリ!」「任せてもらおうか。」「しゃちょー!」「皆さん・・」「キャプテン・シド。帰りの便も頼みますよ。」「任せとけ。」(僕の出番は少し先かな。)
嵐の中に突入するエンタープライズ!
「あれ?お姉ちゃん?巨人ってドコにいるの?」
「お前は家で寝てろ。」