866セブンス。進撃を続けろ・・・

「こっちか・・。」
クセのある金髪が風に委ねられる。
「お姉ちゃん。二人でいけそう?」
「一応、傭兵は雇ったんやけどな。」
「はは!俺が来たからには問題ないだろう!」
「さっすがししょーですぅ。」
「コレだ。」
「・・・。」
「ああ、ユーニ君、ユーリ君だったね!任せてくれたまえ!このディライト様と」
「てぃんくで」
「「万事OKさ。ですぅ!」」
「ユーリ。うち帰って寝る。」
「待って、お姉ちゃん!うちかてこんなのの相手できひんって!」
「しょーがないか・・で?オイ。ゴブリン。お前、ほんまにあの海雄旅団のメンバー5傑の一人なんやろな?」
「ブレイフロクス・・・ウソ・・ナイ。ソレ・・ヨリ。チャント・・オレの家・・トリカエセルンダナ?」
「ああ、それは保証してやるよ。コイツラがな。」
「うほ!」「ししょー、ちゃんと認めてもらえましたね!(保証金の出処が自分だなんて知らなければいいですし・・)」
「ソレはええとして、お前、ちゃんと顔見せたらどうなん?ゴブリンって、マスク無しでは生きられへんって、ほんまなん?」
「・・・ホント。ソレニ・・」
「それに?」
「オレ・・・オンナノコダカラ・・・ハズカシイ。」
「・・・・・・・」x4
さすがにこのセリフには全員が凍りついて。
「ま。まあ。いこうやんか。」おそらくは最年少のユーリの一声に。
「せやな。」「おう!尻尾が無いのが最難関だが。」「ししょーは攻撃力だけで十分です。技術が伴わないだけで。」

とりあえず、半ばを過ぎ。
「なあ、こんな広大な敷地、全部家なんか?」
「イエ?」
「ああ、家や。住むにしては一人だと広すぎやろ。」
「オオ。・・・スキニツカエ、イワレタ。・・・スキニシタ。・・・ワルイカ?」
「悪くねえよ。それこそ好きにしな。(ったく、ワケわからん。)とりあえず。」氷結術式。今回は治療役なので派手な術式は組めないが・・・
ユーニはソツなくこなしていく。

先ほどのトカゲの水泡など、そのへんでは見かけられない攻撃を仕掛けてくる敵を相手に。
「お姉ちゃん!コイツ、えぐいで!」
「見たらわかる!その毒沼、タチワルイ!おい!おっさん、もっと端っこに寄せろや!」
「頑張ってるんだがね!」
「武器が、やろ!」
「オレ・・コンナノアル。」
導火線に火が付いた球体。
「はよなげろ!」
「おねえちゃん、もう・・もたないよっ!」
「てぃんくが少しの間、かわりますぅ!回復お願いですの~」
飛龍が咆哮を。

「くっそ!」コルクで栓をしてある小瓶。歯で開けて、一気に薬品を飲み下す。
エーテルを薬剤として加工する技術は過去からあるが。「マズイ!」しばらく飲みたいなどとは思えない。
しかしながら、魔力の賦活剤としてはさすが。
一気に衰えた力が少しではあるが取り戻せた。今のうちに。
「しっかりしろや!」回復術式。
普段は使わない術式だが・・・
左肩を飛龍に噛まれ、血まみれの妹を見ればそんな事は言っていられない。
「にゃは!お姉ちゃんの回復術式はさすがやで!」
両手で斧を振り回す。
そして。
「じゃあ。」銃、ケルベロス・レッサーから放たれた弾が。
「これで!」小さいながらも必殺の拳。
「終わり、やね。」斧が首を。
「ああ。」氷結術式が飛龍の翼を凍らせる。

「はあ。終わった終わった。」
「お姉ちゃん、どうすんの?」
「あ。そだ。ブレイフロクスさんだっけ?約束の品はどうなってん?」
「マチガイナク・・・ワタス・・・。ソレト。ミンナハゲンキ?」
「しらんわ。うちらは、あんたが持ってるチーズだけを取りに来たんや。まさかの待遇やったけどな。」
「・・ソレハ。・・・マアイイ。シケンニ合格シタノダシ。」
「あ?試験?」
「・・・・。」
「で?」
「コレ。」
「や、あのさ・・。あの・・どういうのかな?これ、食物?」
「オマエタチノホシガッテルチーズ。」
「「腐ってねえ?」」姉妹揃って。「じゃあ、俺たちはこれで。金はモグ経由でいいよ。また雇ってくれよな。(クライアントとの揉め事は仕事に入ってねえし。)」
師弟は揃って帰路に。
「ゴブリンチーズ、秘伝ノレシピ。モンクアルカ?」
その・・
白カビの生えた、一般的なチーズではある。が。しかし。
ひと切れ、カットされたそのチーズには、あり得べきモノとしてはあってはいけない物が。
「これ・・。」
「ウン。ウジ。」
熟成を促すために、色々と工夫はなされてきた。そのための表面の白カビだし、中には青カビをチーズの中に繁殖させる、とか、蒸留酒で表面を洗うとか。
まさかのレシピ。
ハエの卵をチーズの中に植え込むなどと・・・
カットされた表面からはウネウネと幼虫が・・・
「あんたら・・・正気?」
ユーニは気絶寸前、ユーリはとうに意識をなくしている。
「ウマイ。クエ。」
「・・・・死ね、お前ら!」

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