ドアから顔を見せたのは。
「まあ!来てくれたのね!マスター・オブ・リング!」ミンフィリアの顔がほころぶ。
ん?ミーランも釣られてそっちを見る。あ。「リ、リガルドさん!?」
「やあ、ミー。お仕事ってこれのことだったのか。」にっこり笑うミコッテの青年。
「え、あ、うん。リガルドさんも?」
「ああ。まあ、昔のよしみでね。」
「あら、あなた達知り合いだったの?」と、ミンフィリア。
「ええ。俺の恋人なんです。」朗らかに応えるリガルドの横で顔を真っ赤にして俯くミーラン。
「まあ、バカップルやねん。」エレディタが半ば呆れるように。
そこに。
「ほんまやわ。なあ?ユーリ。」「お姉ちゃん、先に挨拶したほうが・・」
「あら、久しぶりね。お二人さん。こんにちは。」
「まいど。」「お姉ちゃん・・・こんにちは、ミンフィリアさん。」
「ユーニちゃん、相変わらずね。ユーリちゃんは少し背伸びた?」
「どうでもええやんけ。」「あー、どーかなあ?」
「こんにちはー!」ミコッテの少女が。
「あら、リトリーちゃん。どうぞ。」「えへへ。おじゃましまーす。」
「エリ、けっこうな人数?」「やなあ。」
「セネリオ、ここでいいのか?」「はい社長。」
「あら。社長さん、セネリオさん。どうぞ。」
室内が一気に賑やかになる。
こほん。
「それでは、お集まりの方々。本日の招集に参加していただき、ありがとうございます。暁の血盟、盟主ミンフィリア、感謝しきりです。では、いきなりですが本題を。」
周りを見渡し・・
「蛮神タイタンが顕現せしめようとしています。第一の目標は「神降ろし」を事前に阻止する事。第二に、降臨してしまった蛮神を討伐する事。
具体的な対処法は今のところ不明ですが、過去にリムサ・ロミンサに「海雄旅団」なる傭兵団が討伐に成功したとか。
今は解散してしまい、メンバーは散り散りになったらしく、各地で各々暮らしているそうです。
そこで、彼らを探して当時の戦闘の詳細を聞くところから始めたいと思います。」
「なあ。そんなヒマなことしとって大丈夫かあ?」ブロンドの少女、ユーニが遠慮なしに。
「無策で突撃するよりは、事前に相手の出方を知っておくほうが安全だと踏みました。」ミンフィリアは渋面を。
「なるほど。ミンフィリア殿。では問うが、かつての旅団の行方は?まさかそこから探さないとだめなのか?」社長からのもっともな意見。
「いえ、大まかな場所は把握しています。ただ、胡散臭い輩もいることは確かなので、真贋を確かめる必要はあります。」
「で、うちらはどないしたらええねん?」「ちょ、エリ!」
「エレディタさん。かの旅団には5人の豪傑がいました。彼らの話を聞くと共にできれば共闘もお願いしたいところではあるのですが。
どういった理由かは存じませんが、一線を引いた戦士達ですので無理は言えないでしょう。ですので、彼らからのアドバイスをなんとか聞き出せるように、としか。」
「辛気臭いやっちゃなあ。こんなけ人集めといてそれだけかいな。ほな行くでユーリ。うちらが一番乗りや。」「あ、お姉ちゃん、待って! あ、お先です!」
「気をつけて。」
「ユーニさん、いつもどおりだね・・」「せやなあ。短気やな。で、うちらは?ミンフィリアさん?」
「はい。各自で探索をお願いします。そしてお話が聞ければ、パールで全員にその内容を伝えてください。
こちらも探索を・・サンクレッドは、ザナラーン、ヤ・シュトラはリムサ、イダはグリダニア、パパリモはもう少しここで手伝って。ウリエンジェさんは、委員会に報告を。」
「了解。」
「で、どこから調べるんだい?」ミコッテの召喚士リガルド。
「うーん、やっぱりリムサで傭兵団してたんだし、足跡たどるならリムサじゃないかな?」
「まあ、ミーの意見が妥当やろな。」
「じゃあ、テレポしますね。」・・・・「テレポ!リムサ・ロミンサ!」ミコッテの少女が淡い光に包まれていき・・・残ったメンバーも。
「え!?」酒場にて。
「有名になるってのは、そういうことさ。かの魔女も偽物が出回ったんだが・・・そのうち一人がこっぴどいお仕置きをされて以来、誰ひとり騙るヤツはいなくなったがね。」
「・・・・」
「今んとこ、名乗り出てるヤツはあんまり期待しないほうがいいぜ?まあ、一応参考までに、だ。
低地にあるグレイフリート風車群に旅団の元メンバーがいるって話だが。断っとくが、眉唾だぜ?」
「マスターが元アスタリシアのクルーというのも眉唾ですしね。」「こら!ウルスリ!」
「おう。俺様がトラッハトゥーム。海雄旅団の隊長様だ。なんの用だ?」
ゼーヴォルフらしい緑がかった肌の偉丈夫。
「えと・・その。蛮神討伐をされたんですよね?」ミーランがおずおずと。
「おう!あれだ、タコタンだろ!」
(タコ?)残り3人が訝しむ。
「えと・・その?タコタン?」
「おう!ビタビタとひっつきやがってな!これでもかと引き剥がしては叩きつけてやってな!」
(え?)すでに表情が引き攣り始める3人。(ミー、いい加減気づけ!)エレディタの心の叫びも虚しく。
「すごいですね!お手並み拝見させていただいてもいいですか?」
(あちゃあ・・・)3人が同じ感想を抱く。
「いいだろう!俺様の腕前に恐れ慄くなよ、お嬢ちゃん!」
「はい!わたしも「剣聖」として、恥ずかしくない腕前を披露させていただきます!」
「え!?剣聖?」
「はい。この度、師から剣聖の称号を襲名させていただきました。第十四代剣聖、ミーラン・ロートス。推して参ります。」
「ちょっと待った!お互いそんな腕前なら怪我するかもしれないだろ?だから、さ。こういう勝負でどうだ?裏庭に岩がある。それを早く壊した方の勝ち、とか。」
「え?そんなのでいいんですか?」
「怪我するとほら、危ないじゃないか。」 (ぷっくくくくく・・・)3人は事の顛末を予期して笑いを堪えきれない。
「いいか、絶対相手に剣を向けちゃダメだぞ?いいな?」
「はい。」
「よし。じゃあ、はじめ!」 (明らかにアイツの方の岩、小さい上に壊れやすそうじゃないか?)(そりゃそうやろ。)(むしろ、ミーランさんの妨害をしそうですね・・)
(くそ!どうなってやがる!なんだって俺がこんな目に!剣聖だと!くそお!これでもくらえ!)
麻痺毒の小瓶を投げつける。
ぱりん。
が、盾で弾かれ、効果は無い。
逆に彼女の腕前を目の当たりにして焦り始める。(なんだありゃ!?)
恐ろしいほどの速度で岩を削り取る剣聖。
(くそ!こうなりゃ!)スイッチを入れる。こんなこともあろうかと、こっちの岩には爆薬が仕掛けてある。
言い訳はなんとでもなる。秘術だの、奥義だの。ただ、少しの時間だけが必要だ。
しかし。
最後のひとかけらを弾き飛ばしたのは剣聖の方だった。
その直後。
ドカン。
岩が吹き飛んだ。
そして、その破片をモロにくらったルガディンは・・・・