「海戦料理」
この看板をかかげ、フェリードックの町に店を出し、第七霊災のあとはベスパーベイと名を変えた街の近くで店を。
いかつい大男の朝は早い。
まずは、仕入れからだが、海の近くゆえに魚類はなんとかなるが、逆に野菜類が。近くのキャンプホライズンまで買い出しに。
「よお！大将！今日はキャベツ、安いぜ？」「ああもらおうか。」
こんなやり取りをしながら。
たまに帰ってくる妻が買い出しも手伝ってくれるが、ほぼ自分でやっている。
「レティ、またなんか首突っ込んでるじゃないだろうな？」
かの「悪名（ノートリアス）」レティシアの夫である、アレッサンドロはボヤきながら。
彼自身、「空飛ぶ斧使い（フライングマイスター）」なんぞと呼ばれた海賊だったのだが。
ついでに私略船アスタリシアの料理長もしていて、「斧で料理（アクス・シェフ）」をしている、なんて噂までもらっている。
「とりあえず、後はこれを頼む。」リストを馴染みの業者に渡す。
「あいよ、まいどあり。」
冒険者の出入りの多いベスパーベイでの商売はそれなりに収入になっているが、土地代が上がったせいで、少し離れた場所で。なので、少し客足は減ったが根強い常連もいるわけでそれなりに。
店に帰って仕込みを始める。昼前には前周りの女の子がやってくるので開店準備はその子達に任せている。
アレッサンドロは魚を捌きながら「レティは何やってんだろうな？」なんて。
言ってしまった。
どかっ。
蹴りが。
「呼んだ？」
「な、待て！？俺は何も悪口言ってないぞ？何してるのか、って。」
「仕事だよ、仕事。ちゃんと仕事してたんだから文句言わない！」
「ほら、ちゃんと俺も仕事してんだし・・」
「また若い女の子増やしたろ？」
「え！だって、しかたないだろ？マユも手伝えなくなったんだし。」
「言い訳サイテー。家に帰ったら覚えときなよ。」
「ひええ・・・」
これでも双方ベタボレな夫婦。
もちろん、この日の夜は大男が少女のような妻にベコボコのフルボッコにされて終了でした。
「あー。母さん。また父さんボコったんだね。」
息子が・・・