845セブンス。とある露店のお話。従業員の場合・・

「うわー・・・。」
店長たる、アレッサンドロ・ガッビャーノ
この店長は、ヒューランだが大男と言っていい。しかも頭髪も刈り上げ、タトゥも。
どこからどう見てもまっとうな職をしていたとは思えないが、たまたま職探しをしていた時に、美味しい料理店ということで、就職希望で来たのだが。

ヒューランの少女、スカーレット・デネブは、最近やめてしまった(冒険者と結婚をして)前周りの後継として、立ち回っているのだが。
相変わらずの光景、というか、なんというか。
この大男の妻、は実は「天魔の魔女」という、とんでもない有名人で、かつあの大男が常に吹き飛ばされるなんて光景。
「うーん。あの回し蹴りはここ最近では無いなあ。」くらいには慣れてしまった。
(あれも愛情表現なのかしら?)なんて思いながら、オーダーを取りつつ新入りの子に。
「はい!ちゃんとお皿もお下げしてねっ!」と指示も出す。
名前通り、真っ赤な髪の少女は自分も料理のお皿を4枚も持ちながら。
周りを見渡し、新入りの少女、カームに注意を向ける。

今、マスターは「魔女」にドツかれて一瞬、機能していない。自分が動かなければ。
少し長身、染めたのか紫色の髪のハイランダーの少女が慌ててお皿の片付けを。
「そればっかしない!」と怒鳴りつけ、自身は笑顔で冒険者の相手を。
「忙しいね?」と、冒険者の男性から。
「ええ、おかげさまで。」とにっこり。
スカーレットはトップだった先輩がどれだけしんどかったか理解できる・・・
(まあ、こんだけしんどけりゃ、冒険者の人から口説かれたら落ちるわな・・・)とも。
まあ、自分には親の決めた婚約者がいるわけで、その相手も幼馴染でよく知っている。
頼りない相手ではあるが・・・
あの、魔女夫婦を見ていれば、案外なんとかなりそうではある。
次の年、18になるのを機に、婚儀となる。なので。
「カーム、そっちじゃない!こっち!」「ユイ!マスターのとこに!」
ヒューランの少女とミコッテの少女に指示を出しながら、今の自分ができる事に実感も。
まずは自分の出来ることをしなければ。
次にトップになるのは、ミコッテの少女だろうが人気も1番ゆえ、さくっと持っていかれる事もありえる。
なので、今はカームの教育。
煩雑な仕事に追われながらも、スカーレットはひたすらに働き続ける。
(お給金も悪くないけど、まかないが美味しいからね)
と。
正直、婚儀して辞めるのもったいない、なんて。
「ま、アイツも悪くない、こともない、か?」

ちょっとした葛藤もある複雑な少女の日常。

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