842セブンス。・・者の一日。

フ。
「ようこソ。狩場ヘ。」
強弓、コフィンメイカー(棺桶製造者)から矢が放たれる。
風になぶられた前髪が揺れ、金色の瞳があらわになる。
左右の瞳の色が違うのには理由があるが・・・
「僕の眼から逃ゲれる、なンておもうなヨ?」
護衛は撃ち落とした。

しかし。この国はどうなっているのか?
普段の住処ではなく、砂漠の国。
荒涼とした荒地にそびえ立つ、そんなところになぜ?といいたくなる規模の都市。
ウルダハ。
フネラーレは仕事として来て、なにこれ?と。
もちろん、初めてではないが、普段住んでいるグリダニアとは全く違う光景にいつも戸惑う。

依頼、としてはありきたりな暗殺、だが。
大抵、政敵を抹殺、な感じなのだが男性が多い。
しかしながら、今回は女性の暗殺。
同性ゆえに、あんまり好きな仕事じゃないが、仕事は仕事。
一応の犯行は「横領、および邪魔」
この「邪魔」だから消す、って考え方がよくわからない。さすがの商都か。
議会が大きな顔で王族すら平気でそしる、と聞いていたが・・・

「はぁ。困った国だネ・・・」
せめて。
逃げるララフェルの女性の背後から。
頭に狙いを付け。
「僕が・・・スタッブしてやる。」 矢を放つ。

倒れるララフェル。
だが。
倒れたのは矢が中ったワケではなく。
「おい、葬儀屋。街中で派手にやってくれるな?」
グレイの髪を後ろに束ねた、天魔の魔女。
ララフェルの女性を押し倒し、矢から護ったのだ。
「僕の・・・仕事ダ。」
「この子の横領とかいうのはでっち上げ。だから、意味のない暗殺は見逃せない。」
「関係ナいね。僕は、仕事をすル。」
「相変わらず頭が固いわね、あなた。報酬、どのくらい?」
魔女の言葉に・・・
「そ、そレ、言えないヨ!?」
「甘い。」
一瞬で間合いを詰める。人災。
「ナ!」
首筋を打ち付け、昏倒させる。
ぐったりとした体を担ぎ上げ、パールを手に。
(おい、キーファー。いや、この街だとサンクレッドだったか?)
(はい?どうかしましたか?ウィッチ・ケイオス。)
(この依頼、何故?)
(すみません。意味がわかりません。)
(事前にあたしに警護の依頼をしておいて、なんで葬儀屋に依頼してるのか?って聞いてるの。)
(ああ、バレちゃいましたね。さすが魔女。この依頼、どちらに転んでもそれなりに報酬が出るんです。それだけ、ですかね。)
(外道。天使いともなると、そこまで堕ちるか。)
(それは心外ですね。俺はそこまで堕ちてませんよ?天魔の魔女。)
(お前、未だあの子の事を・・)
(ええ。片時も忘れた覚えがないです。ただ、心というか、感情というものが無くなっただけで。)
天真爛漫、だった彼の妻。そして天使いになった少女。その無垢さゆえに・・・・・
(わかった。今回は警護の依頼をこなした、って事で手を打つ。いいか?)
(いいでしょう。フネラーレには多少の報酬で。)
(好きにしろ。)パールを終う。
「あいつとは一戦、やらないとな・・・」レティシアは担ぎ上げた女性をどうしたものかと思案する・・・

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