835セブンス。ある青年の一日。

おっとっと。
ミコッテの青年はつい。
リムサ・ロミンサでの商店街で買い食いをしながら歩いていたら、買い物袋を両手に抱えた女性二人とぶつかりそうに。
いや、ぶつかってしまった。
避けようとはしたのだが、話が弾んでいたのか、エレゼンの女性は真っ直ぐこちらに。
相方の黒髪のヒューランの女性が何か注意していたようだが・・・
袋からオレンジがゴロゴロと。それ以外にも。

自分は悪いわけではない、とリガルドは思いながらも・・・
「ご!ごめんなさい!」
オレンジ色にも見える赤い髪の女性が慌ててオレンジを拾い出す。
相方の女性もなんとかしたいようだが、袋をどこに置くか、少し迷い気味。
「俺がやりますよ。」いくつかのオレンジを拾い上げ、袋に。
「いえ、いや、その!ありがとうございます!わたしが悪いのに!」
真紅のローブを着こなしたミコッテの男性は、丁寧にオレンジを拾い上げる。
「大丈夫。です。お気をつけて。」最後のオレンジを袋に入れると、ミコッテは去っていく。

「ミー?」エレディタが、しばらくポカン、としている相棒に。
「あ、うん。大丈夫。」
(ほんまかいな・・・)頬が少し以上に赤らんでいるミーランを見つめ・・まあ、しょうがないか、と。男性に対してほとんど耐性の無いこの子の事だ。
今みたいな事で「ぽぉ」とするのは仕方がないのかもしれない。むしろ、さっさと男を作れ、と。この点に関しては、凶悪姉妹ユーニの意見に賛同だ。
「ミー・・・・。」肩を叩き、宿に向かう。


「今の子、可愛かったな・・・。」
ミコッテの青年は、商店の並ぶ通りを歩きながら。
思い出すと、少し、以上に興味がわいてきた。
「名前くらいは聞いておくべきだった・・・いや、いきなりはムリだな。見た感じ・・・冒険者、か。な?って事はそっち経由で、か。」腰にぶら下げた本。
手に取り。
ページを。
「271の貢、我が契約の下僕、炎神の末端。」
 ぽぅ っと。
赤い塊から、炎の人型が生まれる。
「とりあえずは仕事、か。」移動術式の淡い光に包まれていく。
「一緒に仕事ができればいいんだけどね。」リガルドは、リムサ・ロミンサから・・・・


「ねえ、エリ!こんなに買い込んで大丈夫なの!?」
オレンジ色の髪の剣聖。
「作るんはミーやしな。うまいもん、がんばり?」
黒髪の拳聖。
「えー!この前、チョコ作ったばっかなのに!」
「渡す相手に、男が親父さんだけって、どんだけ寒いねん!」
「いや、ほら。父さんには毎年あげてるから・・・でも。・・・」
「もう、その辺に石投げや。中った奴と付き合え。」
「えー!ムリだよう!」
「このガキが!」
「エリ、ひどい!こういう時、すごくひどい!」
「隣で見てるうちの、このなんていうかもどかしい、いうんか?わかれ!」
「う。エリほど大人じゃないよう・・・」
「ミーは子供すぎやねん・・・もういい年やのに・・。」
「むう。」


「刻め、エギ。」
命令を下し、使役する炎神の欠片。
「あの子、どこに住んでるのかな?」少し気になった、いや、一目惚れ、というやつか。

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