ふぁ~ぁ。
大きなアクビをして寝台から降りる。
「最近、ヒマだナ。」
下着を身に付ける。どうせ「家」の中には給仕のベッキィか、遊びに来ているミコッテ、ショコラくらいしかいない。たまにボンクラ男がいるが今更、裸を晒したところで問題ない。
ただ、ベッキィだけはうるさく「ちゃんと服をお召になってください!」と言ってくるが。
ぎぃ。
寝室からリビングのドアを。
「あ、フネラーレ。よかった。実はですね。」明朗快活な銀髪の青年。
「お前、僕の寝起き、そレも下着。みたネ?」ひるがえって、寝起きで不機嫌そのもの。
「うわ・・・・でも、これは!そう!事故ですよ!お互いに不幸だった!それだけの!」
「ペイ、上げロよ?」
「はい。」
「ンで?」
「ああ。実はダルタンクール家って、知ってますよね?」青年はにこやかに半裸の体を眺めている。
「フネラーレ。これを。」ガウンを着せられる。
袖を通し「あァ。」
「今ですね、冒険者の一行がその別宅、ハウケタ邸に行ってまして。」
「?意味がワかんナい。」
へらへらした笑顔を崩さない青年を睨みつける。
「まあ、ざっくりした説明なんですがね。先の大戦で少なからず被害を受けた本邸から主人、ダルタンクール男爵夫人が別宅、ハウケタ邸に移ったんですが、その頃からですか。
使用人や給仕の雇用依頼が尋常ではなくってですね。まあ、調査って感じで色々したんですよ。ハウケタ邸にメイド、つまり女の子の需要が異常でして。
もともとあの別宅は2階建て、地下にセラー程度の施設しかないんで、まあ、4,5人程度、後は執事くらいですかね、必要といえば。。
ところが、雇用は10人以上を希望していて、実際にその位の人数が雇用された記録もあります。が、ものの数日もしないうちにまた数人が雇用されています。
その繰り返しで1月以上が経って、親類も「娘と連絡が取れない」と言う苦情が冒険者ギルドに来ています。
カフェの主人であるところのミューヌ女史も憂慮して、カンパニーや、ギルドに声をかけて、ここ「家」にも声がかかった次第です。」
「そレで?冒険者が行ってンだロ?」
「それが、です。その冒険者が帰ってきたんです。」
「いい話じゃなイか?」
「ええ、まあ悪くない話ですよね。それもメイドの子を連れた一人だけ。」
「ア?」
「そして「すぐにも行かなけりゃあかん!」と。ですが疲労もあるようで、気絶してしまいまして。保護された娘達も疲労があり、瞑想窟で保護してもらっていますが。」
「ああ、分かっタ。要するに、僕がそいつの代わりに、だネ?」
「理解が早くて助かります。」にやり。
チ。このクソ野郎。
「フネラーレ?」エレゼンの給仕。
「うン、装備、用意シて。」席を立つ。
「ねえ!ユーニさん!」エレゼンの剣聖は後ろを振り返らずに。
「呼び捨てでええ!」この言葉を呪にして、前の骨を凍らせて。剣呑な術士。
「お願い、守ってや!」防御術式を。相棒を見つめ。
「ユーリ、遅いやんけ。」姉妹の姉、ユーニは次の構成を編む。
「大丈夫だって!ユーリさんもすぐ来るってば!」剣聖は目の前の相手に慎重に距離を。
「今は目の前、やな。」黒髪の女性は不敵に笑う。
「そうだネ。」
戦闘の音を聞きつけたのか、魔物と化した給仕娘が廊下の角から出てきた瞬間、眉間を射抜かれ撃ち落とされる。
ミーランは振り返り「フネラーレさん!」「葬儀屋か、妹は?」「ま、助かる。」
「あア。街に着いた途端、気絶しタ。」
「何やってん、あのバカ妹。」ユーニが毒づく。
「まア、僕が言う事じゃナいけどネ。」矢を放つ。コウモリが落とされる。
「あえテ。」矢を放ち「助けた子4人が持ってタ、ガラスの欠片で刺されたまんまだっタよ。頑張っタんじゃない?」
「バカ・・・。」姉は自分の策で・・・・・妹が・・・・うつむく・・・
「じゃあ!!」剣聖の声。「わたし達も頑張らないと!」