821セブンス。二人の休暇、かな?

「ねえ、お姉ちゃん。」
ハイランダーの少女、ユーリは。
目の前の姉に一言あるみたいで。
「なんや?」
ヤブ睨みのブロンドの少女は、その目つきで愛らしさを帳消しにしているが、気にもしていない。
「その。いや、ええと?なんて言えばええのん?」
「言いたいことがあれば言えや。」今はグレイのローブの姉は剣呑なヤブ睨みのまま。
姉妹は砂の都、ウルダハにある酒場、クイックサンドにて。

2日前にこの都市国家のグランドカンパニーの勧誘に乗って、参戦を決めたのだ。
もともと生まれがザナラーンなので、自然といえば自然なのだが・・・
本部に行けば手続きということで書類やなんやに署名や挨拶と。意外と手間どったのだが。

「あ、ユーニじゃないか。久しぶり。元気かい?」エレゼンの青年。青い髪で屈託がない。
「げ、てんめえ、なんでここにいやがるんや?」姉がいつになく不機嫌で。
「お・・お姉ちゃん?」ユーリが・・・声を掛けるのも怖いほどの剣幕。
「ああ、君が妹のユーリちゃんだね。タレ目がかわいいね。どう?今度一緒に食事でも。」
「てめえ、妹に色目使ってんじゃねえ。」剣呑さが増す、どころか構成が展開されていく。
「おっと、ユーニ。カンパニー本部で術式なんか出したら、重犯罪者扱いで指名手配されちゃうよ?」おどけたような青年。
「・・・クリフ・・・なら、外に出ろや。」構成を取り消す。
「お姉ちゃん!?」
「いや、今はカンパニーの仕事中でね。そういえば、最近エレゼンの、ほら、どういうの。赤いような、オレンジのような髪の。あの子紹介してよ。一緒にいたでしょ?」
「仕事せえ!」拳を放つ。
ぱしっ、と軽く受けると「怒った顔がかわいいんだよね、ユーニは。」とほがらかに。
「野垂れ死ね!クソ野郎!」
「・・・」声もない妹を引き連れて酒場に。

「で・・その・・・・?」
妹が聞いてくる。
「あん?・・・・昔の男だよ。あんときゃ、うちも世間知らず、てのかね。あんな男に。」
「・・・。」
「まさか、こんな場所で、それも未だに女ったらしときたもんや。ぶっ殺したくもなるわ。」
「まだ・・ホレてるん?」
「お前・・・死ぬか?」
「まさか・・・(でも、気にしてるのは・・・・)」
ユーリも今年で・・・・いい年頃なのに、男性とはちゃんとお付き合いをしたことがなく、姉の積極性が羨ましかったりもするのだが。
「ええか?アイツが声かけてきても絶対相手すんなや?」ドスの効いた声。
「うん。」頷くしかない。
「外で見かけたら、魔物より真っ先にアイツを的にしてやっからな。」
本気の目つき。
(何があったか知らないが・・・男女間とはそういうものだろうか?)ユーリにはよくわからない。
「なあ、ケーキ追加や。3皿ほど!」と給仕に。
(うわあ。やけ食いかいな・・・ほんまに後ひいてるんとちゃうん?)
「お姉ちゃん・・・」
「なんや?文句あるんか?」
「いえ・・・ないです。」

お姉ちゃんにもいい人できればええのになあ・・・って、うちもか・・・。
ガク。


姉妹はどうにも男運は・・・・今のところ、無さそう・・・・・いや・・・これから!

<<前の話 目次 次の話>>

マユリさんの元ページ