それは・・・
全くといっていいほどの偶然から始まった。
祖国シャーレアンからエオルゼアの3大都市に調査に向かうと。
青年の名は、ソワレといった。
銀髪で、どこか飄々として。
友人連中からは、「なんだかよくわからないヤツ」とまで言われたが。
ただ、選抜としてこんな事になるとは。
隣には、幼馴染の少女。
彼女はいつのまにか自分の隣に。そして恋に落ちた。
その彼女が、今回の選抜に選ばれたのだ。
「シーニュ・・・・本当に?」
「うん。光栄な事だわ。あなたは?」
「僕は・・・君が行くなら、着いて行くよ。支えになりたい。」
「そう、ありがとう。」
短いくちづけを。
そして。
グリダニアで結婚をし、幸福な家庭になると信じていた。
自身が密偵なる職に手を染めてまで、彼女の支援をしていたのに。
だから。
彼女が帝国の密偵になっていた、なんて。
信じたくなかった。
だが、現実は残酷なものだった。
その当時、偽名を使ってウルダハで調査をしている最中に、ミンフィリアと名乗る女性と出会い、彼女の立ち上げた組織「十二跡調査会」なるものと接触し、
そのメンバーとして「闇のクリスタル」の捜索をしていた矢先。
その事実を教えられた。
「・・・・そんな?」
そして、不穏な出処の暗殺者「フネラーレ」に、「妻を・・・・殺してください。」と依頼した。
そして、心が壊れた。
何も感じなくなり数日後。
あっけなく「闇のクリスタル」を見つけてしまった。
なんのことはない、家のテーブルに置いてあった。
今まで見つける事ができなかったのがわからない。
おそらく、ずっとあったのだろう。
ただ、気がつかなかっただけ。
そして、それに気を惹かれ・・・
クリスタルの意思を汲み取った。
「天使い。」
そう。これこそが自分の道なのだ。
この街では、キーファーと名乗っていたが。
そうだ。
自分が名乗るべきは、「アシエン・ラハブレア」
「ふふ、あーっはっはっはっは!」
哄笑する。
帝国との諜報を交わしていた妻は、実はアシエン・ラハブレアだったのだ。
今、全てを理解した。
妻や、それ以前の記憶が入ってくる。
そう。この世界に楔をうがつべく。
自分はアシエンとして存在するべきなのだ。妻を葬った者として。
「ふふ。」
心を壊された青年は、闇に蹂躙されていく・・・・・
「そうか。まずは帝国にユカイな知らせをやるとするか。」
アラミゴの地下に眠っている、究極兵器の存在。「ふふ。」
へらへらとした表情でパールを。「ミンフィリアさん?少し情報が入りましたよ。」
これであの女も動き出すだろう。
「なんですって!」案の定。
くくく。
とんでもなく面白い趣向だ。
正義ヅラした奴らが愉快に舞台に躍り出る。
パールを取り出し
「あ、ショコラ?」
「あい?」
「今度からフネラーレのマネジャーになった、キーファーっていいます。よろしく。」
「はあい。よろしくです。わっちは基本、戦闘できないですからねー?」
「僕もだよ。」腰の剣は普段は見せないように外さなければ。
そして、天使いとして覚醒した今となっては、そんなものはいらない。
「さてと。舞台は整いつつあるな・・。」
無表情で。
妻の記憶を頼り、寝室に。
その壁には黒いカウル(外套)があった。
いつも目にしていたのに気がつかなかった。そういうものがあることすら。
身に付ける。
パールでもついているのだろうか。思念が飛び交う。
「あらためて挨拶させてもらう。俺が、新しいアシエン・ラハブレアだ。」
「・・・・はい。認識しました。ラハブレア殿。」
銀髪の青年は笑いを抑えるのに苦労をする・・・・
「祝杯ね、どこかなあ?」
エレゼンとララフェルの師弟を見ながら。
いや、あの蛮神を問答で討伐しちゃうとは。やるね、あの娘。と。