「ふう。」
銀髪の青年はエーテル観測器を肩に付け直し、一息。
「ひとまず終了、ね。」
傍らにいる師弟に声を。
「じゃあ、まずは祝杯って言いたいけど。一旦、ミンフィリアさんとこに戻りますかね。」
へらへらとした笑顔で。
「ん?」
亡霊が油断ならない顔で・・・「言っておくが。ちゃんとした説明を聞く、だったよな?」
「そうですね。僕自身、ハメる気じゃ無かった、てのは理解してもらえましたか?」
「そうだな・・・。」
「ですよねえ、師匠。」
遺跡からエーテルの名残が消えていく・・・
「僕達は・・シャーレアンからの使者、とでも言うんですかね。メンバーもほとんど帰国してしまいましたけど。
第七霊災で指導者を失い、行き着く先が限られた中で、十二跡調査会と接触できたのは僥倖と言えるでしょう。
彼らと共同歩調を取ることで、このエオルゼアの平和を保つことは、僕達にとっても都合のいい事です。」
怪訝な顔のエレゼンの亡霊。
「答えになってねえ。」
「正解は・・・あるのかもしれませんが。まだ見えません。ですので、皆がみな、色んな立場に立って仕事をこなしている、としか。」
「じゃあ、お前の仕事は?」
「それは・・・有望な人材を見つける事、ですかね。」
「それなら、あの嬢ちゃんたちは有望、ってことか?」
「ええ。彼女達は素晴らしく逸品だと思います。」
「じゃあ、俺達は?」
「もちろん、逸品ですね。」
亡霊を名乗る銃使いは緊張を解いて・・・
「そうかよ。じゃあ先に報告もいいが、祝杯をしようぜ。」
「てぃんくも賛成ですぅ!」
亡霊とその弟子。
「仕方ないですねえ・・・。」
(フネラーレとショコラにはなんて言い訳をしようかな・・・)
「とりあえずドライボーンに戻りましょうか。」
「ああ。」「ですぅ。」
「ミー!?」ぐったりとしたエレゼンの相棒を抱き抱え・・・
「どうしたんや?」と、ハイランダーの少女が。
「ユーリ、どけ。」姉が割って入る。
「エレディタ、回復術式は?」
「してる・・・。」
「ほんなら簡単や。ほっぺたしばけ。」
「な!?」
「やらへんのやったら、うちがしたるわ。」ブロンドの術士。ユーニ。
「させへんわ!」相棒、ミーランを揺り動かす。
・・・・・・ん・・・・・・あれ・・・・・・わたし・・・・
「・・・ん?」
「ミー!」
「・・・エリ?どうしたの?」
「よかった・・・。」
抱きしめられる。
「感動の瞬間やな、ほな行くで。ユーリ、怪我してへんか?」
「うん、お姉ちゃん。うちは平気や。」
姉妹が歩き出し、意識を失って倒れている不滅隊の隊員たちに蹴りをいれている。
「あかんか。こいつら。」動かない隊員達は・・・
「そんな!」意識が戻って、なんとか立ち上がったミーランは・・・
「こいつらの魂はさっきの神とやらに食い尽くされてもうたみたいやな。生きとるけど、死人と同じや。どうせもう助からん。埋めるのも面倒やしな。放置しとくしかあらへん。」
「でも!」
「でもなんや?騎士様としては全員助けないと気がすまんか?」
「そんなこと・・・できれば・・・したいけど・・・。」
「ほな、あきらめや。」
「! でも!」
「ミー。諦めるのは罪やない。でもできるだけのことはしたろうやんか。」
「エリ・・・。」
「しゃあないな、ユーリ。こいつらの形見みたいなもん、届けてやろうか。手伝え。」
「はあい!」
「こんな・・。」「ミー。ようやったで。でもこういう事もあるんや。な?」
「うん・・・。」