561書き物。第七霊災 続き弐

光は。
闇を払う。
その日も闇を払う光が世界に満ち溢れた。

「綺麗・・・・。」リムサ・ロミンサに住む女の子は流星のような光の群れに。
「すっごー!」ウルダハに住む少女はあまりの光景に。
「流星か?」「そうね。」グリダニアのカップルは甘い蜜月の最中。

その感想が。


間違いだったと気づかされる。


轟音と爆炎。


幾条もの光の帯は。
龍の王の雄叫びと共に各地に降り注ぎ。
その猛威を。

「メガフレア(超轟炎)、っていうのかしら・・。」
水晶の魔力と呼ばれるララフェルの女性は、ただただ見つめるだけ。
「まなん!今のどうおもう?」
親友のララフェルから。
「マズいわね。それと・・あ!」
上空に展開した構成。その魔紋は標的を明らかにこちらにしている。
「えらっち!逃げろお!」
自分も同じく逃げる算段をするが、移動術式が間に合うかはかなり微妙だ。
なにせ時間がかかる。
「お前らもテレポでもなんでもいい!逃げろ!くるぞ!」部隊に指示を。
だが、間に合わない事はわかっている。
しかし、可能な限り・・・・。

その時。
蒼い光が。

ついで爆音。鼓膜が破れるかの勢いで降り注ぐ。
自分で使っておいてなんだが、フレアを食らうとは。
普通のフレアは術式が完成すれば、あとは転移して標的を焼き払う。
しかし、このフレアは光の軌道を描いて。
光の塊が炸裂する。

そして効果、というか、惨状は筆舌に尽くしがたいレベルだ。

だが。
蒼い光のドームがそこかしこに。
ただ、全て、とはいかず、地面に大穴どころか、という破壊を。
一瞬にして消滅してしまった部隊員達に黙祷を捧げながら、この惨状を蒼い光が防いでくれているのを感謝する。
「もしかして、あの?」おじいちゃん、くらいにしか考えていなかった異国の術士。


上空から降り落ちてきた巨大な剣。
黒く、そして幾何学的な青い光が。
それは剣ではなく、鍵だったのだろうか?
鍵が外された炎の球が開放され、かの龍の王が現れたのなら。
もう一度、鍵を。

「ルイゾワ師。私もなにか・・。」カヌ・エ・センナが声をあげる。
だが。
「いや、魔力の供給だけでよい。十二神の御力を借りる。」
残る二人の当主も助力を、としたいがいかんせん、術式にはうとい。
ただ体内の魔力が消えていくのを感じ、それだけで力になっていると。そう思う事しか。
「ち。」「くそう。」

やがて。

鍵が。

かつて小月を封じていた巨大な一本の鍵。剣にも見えるそれは。

十二本の青い剣として、凶龍を封じるべく突き刺さるように。
そして結界が作り出される。
術式構成が素人でもわかるレベルで展開され。
青白い球体となり、龍の王を中心に固まっていく。
そして、十二神の紋様が一斉に現れ。
文様は立ち上がり、各々の剣の鍵に力を注いでゆく。
「たのむ!」老師はひたすらに術式を。
そのあまりにも膨大な構成に、魔力を注いでいく。
そうして龍の王が結界術式に取り込まれようとした時。

咆哮と共に、龍の王は結界を破壊した。

「なんということだ・・・・・。」ルイゾワ師は・・もう精根尽き果て・・・いや。
まだまだできることはある。

目に見える範囲でもいい。移動術式を。
自身はこのままあの龍を抑えなければ。
兵士、冒険者、その他を転移させていく。
「ふふ・・。」
「ルイゾワ師!」角尊(つのみこと)と呼ばれる女性が倒れ掛かる老師を支え。
「カヌ・エ、このままでは!」提督が叫ぶ。
「どうするかな?」と偉丈夫が応える。

そして。
3人は転移させられてしまった。

「老兵は死なず。ただ消え行くのみ、か。いい事をいう作家もいるものだ。」
残された力を最後まで使い切る。

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