445書き物。それから~幕間。

「どうなんだ?」精悍な男性のバリトン。
「貴方。少し落ち着かれては?」と落ち着いたアルト。
「むう。しかしだなっ!」声は荒い。
「手は打ってあります。当主の貴方がうろたえていては、他の者にも影響が出ます。どうかご自重を。」優しくたしなめるが・・・
「ん、「家」の連中か。」声は低い。
「ええ。彼女達ならそれほど時間をかけずに解決してくれますわ。呪眼なら尚の事。」
優しい毒。
「ならばいいのだが。」少し和らぐ声。
「ええ。」夫ではない相手に優しく手を添える。
「シャルロッテ。愛しているよ。」優しく響くバリトン。
「ん、ワタシも。でも奥方様よりも?」イタズラのように響くアルト。
「ああ。」抱きしめる腕に力がこもる。
「んふ。愛しているわ。グランツ。」踊るように寝台に誘う。
「ああ、もちろんだろう?」誘われるまま。
「ファーネには死んでもらわないとな。」低いバリトン。
「ええ、そのための。策ですわ。愛しい人。」甘いアルト。

「ワタシの子。お名前はお決めになって?」
「ああ。考えておく。」
「そういえば、弟はどうなったのですか?」
「あの放蕩息子か。どこかで野たれ死んでいるだろう。気にするな。」
「はい・・・」

バリトンとアルトの声が交差する・・・。

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