森に囲まれた一軒家。
宿舎のひとつだが、隔離という方がただしいのかもしれない、そんな家。
「ふう。」
長い黒髪の少女は、とりあえず入用な物を用意させて、一息。
グリダニアの誇る神勇隊。そのイレギュラーメンバー。
フネラーレ。
「葬儀屋」と名乗るこの少女は、まさしくイレギュラーな暗殺任務を旨としていた。
そろそろ夕刻。もうちょっとか・・。
道具のチェック。
解毒剤。今回は欠かせない。
ポーション、その他、かさばらない程度に必要量。今回もアシストがないから・・。
愛用の大弓。「コフィンメイカー(棺桶製造者)」は今回は置いていく。
なにせ、初心者の冒険者を装うのだ。演技とはいえ、さすがにこの弓はまずいだろう。
短弓を適当に用意させたのだが、どうも弦の調子に納得がいかない。
違う物を適当にみつくろうか・・。
手持ちにもあるのだが、やはり初心者らしくない。
「さテ。」
服は初心者らしさと、少女らしさで相手をつり易く。
かわいい白いチュニック等でまとめている。
後は、演技力だが・・・・。
これが一番難敵だと思われる。
海賊生まれの少女は、この手の街娘など体験したことが無い。
見た目は誰もが振り返るような容貌だが、クチを開けばだれもがそのギャップに驚くのだ。
どうやってもコレばかりは、すぐにはなんともならない。
大きな姿見で、衣装をチェックした後、一応、台詞のチェックなどを・・
「ヨ!こんにちワ!」「あ、森に行こうゼ。」・・・なにか違う・・。
とりあえず、「うン。」「アッチ。」とだけ言えればいいか、とあきらめ・・。
「ンじゃヤッて来るか。」
人気のない場所で、一人の男を見つけ。
符丁で教える。
近づいてくる男に、頷く。
「こっちこいよ。」
に、「アッチ。」とだけ言って、森に促す。
「へ、いいぜ。」と男。
まずは一匹。
「ここでってこたあ、いいんだよな?」と下卑た笑顔。
「うン。」
森の中。
薬を渡され、飲んでみる。
頭がくらくらしてくる・・。
「へへ・・どうだ?」と聞いてくる。
ちょっとマズイ。
「お水、少し飲む・・。」
「ああ。」
解毒剤を飲む。少し和らぐ。確かにこんなのを売るようでは・・。
見えないように、大振りの矢を取り出し。
「そろそろ、いいだろ?」と言い出し、詰め寄った男に。
「死ネ。」
首に矢を突き刺す。
パールを探し出し、大本に連絡をする。
「あの・・なんかいきなり倒れたんですけド・・。見ニきてもらえます?」
「なんだ?だれだお前!?」
「そノ、さっき買いにきたンですけど・・。」
さて、釣れるか・・・。
「わかった。女、どこか教えろ。」
「はイ。森の中・・・どのへんかしラ・・・。近くにキャンプが。あ、ベントブランチ、かナ?」
「よし、わかった。二人で行く。符丁は知ってるな?」
「はイ。」
釣れた。
ただ、二人、ということはどちらかを逃がせばダメだ。
どっちが当たりか分からない以上、狙撃は危険だ。
「ほう、美人な娘じゃないか。」
ララフェルの男が言う。
「ですね。」とルガディン。
珍しいコンビだが、まあ、そういうものだろう。
さて、どうしたものか・・。
「その・・。」刺殺したヒューランの男を指差し。
「いきなり襲い掛かられて・・。」
「ははは!バカなヤツだな、薬のやりすぎだろう!」
笑うララフェル。
こっそり弓に手をかける。
「バカはソッチかナ?」
「な?」「なに?」
矢が3つ。
ルガディンの眉間にまとめて突き刺さる。
音も無く倒れる。
逃げるララフェル。逃げ足だけは負けたことが無い。
しかもあの女は、矢を放った後だ。それだけでも逃げる時間は稼げる。
が。
とす。
足が止まる。
見ると右足のヒザに矢が生えている。
とす。
左足のヒザにも矢が。
激痛と、突然に生えた矢に、意識が混乱してくる。
待て、今はもう夜だ。しかも十分に逃げた。矢が中るハズがない。
これはなにかのジョークだ。そうだ。そうに決まっている。
が。
顔を覆うとした右手のひらに、矢が生えているのを見て、本当になにかのジョークだと思えてきた。
左手を見る。
もちろん矢が手のひらから生えている。
足の激痛もさることながら、ヒザを射抜いた矢が脚を曲げることを許さない。立ち尽くしたまま・・・
ひゅ。
その音と同時に、両耳に矢のピアスができた。続いてもう2本。
「どうかナ?」
後ろからの声。
振り返ることは出来ない。
が。
黒髪を揺らして、覗き込んできた。
暗闇に、金色の一粒の光だけが見える。
「まさか・・。」
「どうかナ?」
「葬儀屋・・。」
「違うネ。グリダニアの発音じゃしにくいかもだけど、フネラーレ、って呼んでくれるかナ?」
「お前・・・。」
「そうそう、ちゃんと棺桶は用意しておいたかナ?」
「な!」
「その後は僕が面倒みてあげるからネ。安心して、死ネ。」
至近距離から、矢が数発。
顔面に突き刺さる。
「依頼終了ー!」
パールで、マネジメント担当のキーファーに連絡をする。
「お疲れ様でした。後の処理はこちらでします。」
「ハイハイ。」
「何か、用意しておきましょうか?」
「そうだネ。美味しいスイーツ。ハズしたら、お前がハリネズミ確定だからナ。」
パールからは悲鳴が。
暗がりの森を帰っていく。
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危ない仕事ばかりでフネラーレのことが心配だなぁ。
Jonathan Jones (Masamune) 2012年10月06日 15:29
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そんな言ってると巻き込まれますよ?
Eraru Control (Hyperion) 2012年10月06日 19:52
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じゃよ~wきっといろんなところから矢が飛んでくるんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年10月06日 22:12
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>ジョジョさん、いらさいw
フネラーレ、基本的にソロのお仕事なのよねーw
それに汚れ仕事ばっかりだからな~・・・。
色仕掛けでおびき出して、暗殺、なんていつものことw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月07日 01:10
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>えらっちwwww
巻き込まれるのは・・・えらっちだったり?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月07日 01:10
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>王様、どうもw
ブラックリストに登録されてたりw
無銭飲食でw狙われて・・・・
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月07日 01:11