361書き物。Hug my soul (ぎゅっとだきしめて。)

ザナラーン地方。


その西方にある、リムサ・ロミンサとの玄関口。
フェリードック。

昼前には満席になる露店で、一人の大男と、3人程度の雇いの少女達。

「今日もなかなかに忙しいな!がんばれよっ」
「はあい。」

レティ、帰ってきたかなあ・・。
アレッサンドロは、貯まりに貯まった洗濯物が気になる。

そういえば愛娘のマユはどうしてるだろうか?

色々と問題がありながらの仕事の翌日。


妻に続いて、娘も(精神的な・・。)
最愛の妻からは、娘の幸せのためにという理由で、新技まで組み込まれて、フルボッコにされた。
この日も当然ながら、仕事に。
「娘を持つと、気苦労が・・とは、昔のダチの台詞だったな・・。」



「もう!」
ブルーグレイの髪を短く肩のあたりで切りそろえた少女。
「そう、怒るなよ。」
「うーーーーー。」
ジト目で睨みながら。

金髪の少年は、「まあまあ・・。あの状況だと・・。」と、視線をそらす。

「うううううう。」
少女は少しひょこひょこした足取りで。

キャンプ・ホライズン。そこから実家への帰り道。

短髪の少女、マユは相手を見ながら・・・

「キスだけ、って・・・。言ったのに・・・・。」

「だから・・。おっと。」段差を抜けるのに手を取る。
「きゃあ!」と少女。続けて不満を漏らす。
「だから!今!ちゃんと歩けないんだって!何度も言ったでしょ!」
「ごめんごめん。」
「最後までしちゃうからでしょ・・・。」
ジト目。

「式の後って・・。言ってたのに。」少女の抗議。

「いや、まあね・・。ほら、結婚自体はしてるじゃないか?」
「いいわけー・・。」頬をつねる。

峡谷に入り。
「まあ、もう少しだろ?この谷間を抜ければ。」
「うん。」

「あのね・・。」さっきのジト目ではなく。優しい眼差し。
「どうした?」柔らかい笑顔。


その・・。


「その・・。赤ちゃん、できたらいいね。」お腹を優しくさわる。
「そうだな。」
「名前、決めとこう!」
「お前な。出来てからでもいいだろ?」
「イヤ。今のうちに考えとく!」
「それもいいけどな・・。でも、そうなるとしばらく逢えないな。」
「え!」
「そりゃ、そうだろう?身ごもってるのに冒険には行けないだろう?」
「う・・・。」
「でも逢えない・・・って・・。」
少女は泣きそうだ。
「まあ、それは言いすぎかな。もちろん家には帰る・・が、その家が要るからね。」
「うん。」
「一緒に冒険には、という意味かな。どこかに一軒家でも借りようか。アルフレートさんに相談しよう。」
「そうだね。」
「とりあえず、その。」少女は、はにかむ。
「ん?」と、金髪の少年は最愛の少女を見る。

「結婚、したんだよね。あたし達。」
「そうだよ。」

家に近づくにつれて。

「う。」
「ん?」
「はあ、父さんに報告するのが一番の恐怖だよ・・・。」
「ああ・・。噂のね・・。」
「なにしでかすか・・・。」
「まあ、ちゃんとお話するさ。問題ない。」とにっこり。
「はい。」少女は安心した笑顔。


峡谷もそろそろ終わりになる。ゲートが見えてくる。

「あのね。」
少女のひと言。
「うん?」
夫になった少年があらためて見返す。

「いま、ぎゅっと、抱きしめて。」
「ああ。」



ゲートの前で二人はお互いを抱きしめあう。


----------コメント----------

もうキレるどころかひっくり返ったカエル状態じゃよ~w
そのうえこの歌を聴きながらじゃと~!?w
あとで聞きながら読むんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年10月07日 08:36

----------------------------

>カエル様。いらっしゃいwww
セイント・エチエンヌ、というユニットの曲です。
「Hug my soul」 日本語タイトルが、「ぎゅっと抱きしめて。」
とても素敵な曲ですwぜひ♪
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月07日 10:38

<<前の話 目次 次の話>>

マユリさんの元ページ