233書き物。ようこそグリダニア4

「ふむ・・。なるほど・・。」ゆるいウェーブのかかった金髪の少年は、周りの景観と、
それに調和した建物、その他を興味深く観察しながら歩いていた。

森の都。しかして、それだけではない。調和。すべてがあるべくして在り、そこに無駄など無い。調和の都。

「まあ、いいか。」実を言えば、メンバーとはぐれてしまったのだが・・。
見とれているとそうなった、というだけで彼自身はそれほど気にしてはいない。
そして、はぐれてしまったのなら、いっそ行きたいところを自分で選べるのだから、かえって好都合というものだ。

ウルラという少年はつまるところ、そういう少年なのだ。
まあ、問題は妹だが・・・。あいつ、はぐれたら多分面倒起こすだろうなあ。
と、自身の起こしている面倒ゴトは棚に上げる。

そろそろ、幻術士ギルドくらいあってもいい頃だろうに・・と勝手な算段をしている時に
「お兄ちゃん!今どこ?」と妹。二人だけのパールでは「ちゃん」づけで呼んでくる。
「おれも迷子だ。」と適当にはぐらかし、あの甘え癖はなんとかならないものか?と思うが・・・。
少し歩くと道が分かれて・・手前はどうやら舞台のようだ。「ふむ。」
奥はなにやら石柱の入り口がある。「あたり、か。」
そのまま奥に進む。すると広場に出て。
「ほぅ!」と、つい言葉が出てしまった。祭壇。
そしてその奥に数人がかりでやっと周りを囲めそうな大樹の幹。そして鎮座する霊石。
「ここか。」

「そうよ。坊や。」
その霊石の下にある入り口から、さっきまで一緒に居た二人の女性が出てくる。
「あら、わりと早かったのね。ウルラ君」
親子はニコニコしながら近づいてきた。
「これは・・。読まれてましたか。」
「まーねー」と少女。ブルーグレイの髪をふぁさっとかき上げて。
「ここしかないでしょ?」とグレイの髪の美女。
「はい、降参。」と手を挙げるしかない。
「また後でここに来るのにそんなに焦らなくても。」
「槍の鍛錬なんざ見てもおれには、あんまり価値がないんでね。」
「そうでもないよ?」
「そうね、まずは見てみないことには。マユ、んじゃ連行するからパールで連絡して。」
「はあい。」「仕方ないなあ。お手柔らかに。」


(マユ?)(なあに?母さん。)(この子、予想外に曲者だから気をつけないと。)(了解。)



「じゃあ、行くわよ。」
鬼哭隊まではそんなに距離は無いのですぐに合流できるだろう。


「あ、兄さん!」ずぶ濡れの妹を見て・・(やっぱりな・・。)
「また、やらかしたな?」
「え”」
「もういい。風邪ひかないようにしろよ。」

(まったく、世話の焼ける妹だ。)

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