「わあ!」
ゆるい金髪をカチューシャで留めた少女は、この街のいたるところにある水車にすっかり夢中だ。
ここ、グリダニアには大小いくつもの水車があり、つまるところ水の都とも言い換えられる。
森の都。
そして、水の都。
少女は道なりの桟橋から見えた水車についつい見とれてしまい・・・。
「あれ?みんな?」
はぐれてしまった。「どうしよう・・・。」周りを見れば、冒険者や、農夫、
商人など様々だったが、見たことのある顔は一つもない。
「!」そうだ!イイコトを思い出した。
「お兄ちゃん!今ドコなの?」兄妹だけのパールがある。これで迎えに来てもらおう。
少し恥ずかしいが、初めての街なのだ。仕方が無いと笑って許してくれるだろう。
「あ、マリー。お前、今どこなんだ?」兄の声は落ち着いていて、こういう時は頼もしく聞こえるから不思議なものだ。
「え、場所の名前とかわからないよ。」
「そうか。なら仕方が無い。」
「で、迎えにこれそう?」
「ん?」
「だから、私を迎えに。迷っちゃったから。」
「なんだ、お前もか。」
「へ?」
「おれも迷子だ。」
「つかえねー!」
「お前が言うな。」
あーあ。どうしようかなあ・・。とりあえず、川を眺めながら歩いていく。
彼女は「迷子の時は動かない」という鉄則を知らなかったようだ。
しばらく行くと公園のようになっている場所が。
子供達が水遊びをしている。つい。
「とぅっ!」仲間に入っていた。
「アルフレートさん、あれじゃないかにゃ?」ミコッテの少女、シャンは子供に混じって水遊びに興じる少女を発見した。
「ああ・・・。あれだな。」なんとも言えない顔になる。
なんせ、彼女の着ている服は妻のものだ(古着なのでもう着ることはないとは言っていたが)。
そこで視線に気がついたのか、金髪の少女がこっちに振り向く。
少女は、ぱぁっと笑顔になるのだが、次の瞬間。
「あ。あは。あはははは。」虚ろな笑いを上げる。自身が水浸しになっているのを思い出したからだが。
「まあ、とりあえずこっちに来るにゃ。」
「うん、叱らないから。」
「あうううう。ごめんなさい。」
「こちらシャン。マリーを保護したにゃ。」
「了解。こちらはまだ見つけていないわ。そのまま鬼哭隊まで行っちゃって。」
「了解したにゃ。」
「まあ、はしゃぐ気持ちもわからんではないがね、マリー。もう少し落ち着きたまえ。」
「はい・・。」「じゃあ、行くにゃ。マリーの服も乾かさないと風邪ひいちゃうにゃ。」
「では、いざ鬼哭隊!にゃ!」