はふ・・。
うっすら目が開くが。
なんだか疲れてしまった。
また明日になれば、気持ちよく目覚めるだろう。
ブルーグレイの髪の少女はなんとなく、そのまま目を瞑る。
硬い岩肌に毛布を敷いただけの寝場所も、この疲労感だと気にはならない。
冒険者なら、常の通りだ。
意識がまた闇に落ちていく。
誰かが何かを話しているが、気にもならない・・・。
「ねえ、アルフレートさん!マユちゃん大丈夫?」茶色い髪をざっくり伸ばしている槍使いの少年。ネルケ。
「ああ、大丈夫、なはずだ。レイズはかけたし、ケアルもかけた。
後は失くした血を回復、というところか。リジェネも効いている。しばらく俺たちも休憩しよう。」
黒髪の落ち着いたエレゼンの幻術士、アルフレートは倒れた少女の様子を見ながら告げる。
「あたいのせいにゃあああああ・・・。」涙と鼻水で顔を濡らしたミコッテの少女、シャン。
「まあまあ、誰のせいでもない。気にするな。」「そうだよ先輩。
さっきの撤退の指示とかすごい的確だったし、さすがだよ。」
ふたりの励ましに「ふにゃああああああ・・・・。」とさらに泣く。
(先輩、意外と泣いちゃうんだなあ・・・)
(しかし、あれほどの傷を負って、さらに駆け抜けるとは・・。さすが、か。
しかし、無鉄砲なのは色々と問題があるな。一度レティシアに逢ってみたいが・・。
ヴェテックト師からは絶対に逢うなと言われているし・・。俺が教えるのもちょっと無理があるな。)
魔物のテリトリーから外れた一角での休憩。
そろそろ、陽がかげりだす。
「あ、あれ。あたし?」ガバッっと跳ね起きる。
「マユちゃん!」「にゃああ!」「ん、痛みはまだあるか?」
三者三様の質問?に
「あ、うん。なんとか。刺されたときは死ぬほど痛かった!でも、加護があったから、なんとか。アルフレートさんに感謝!」
とガッツポーズの少女。
「そうか。ならもう目的地は目の前だ。違う山に居たのならもう少しかかるだろうが。」
「それはカンベンしてくださいよー・・。」情けない声の少年。
「せっかくの、まゆちゃんの活躍、ムダにできないにゃ。」
「あれ。あたしそんな活躍したっけ?」
「まあ、いいじゃないか。夜も近い。どの道あの洞窟で夜を過ごすこともあるだろう。まずは行って見よう。」
「そうですね。じゃ、しゅっぱーつ!」元気な少女の声が響く。