吹きすさぶ風に砂が舞う。
まばらな草や、大きな岩。
足元は小石や、砂しかない。
ザナラーンでは、わりと一般的だ。遠くには切り立ったように岩山がある。
その中でも、手前にある岩山には大きく切り裂いたような洞窟の入り口が。
このあたりでは割と多くある地形。
「この中にコミュニティ(集落)が?」
茶色の髪、細面の少年が。
「たぶん、ね。」
地図を見ながらブルーグレイの髪の少女は答える。
「違えば、素敵な魔物がご登場だな。気をつけるように。」
エレゼンの幻術士は注意を促す。
「それはイヤにゃぁ・・。」
ミコッテの少女は短いオレンジの髪をかきむしるように掴む。
「ま、いっか。」
リーダーの少女、マユは気にせず入り口に足を踏み込み・・
目の前に槍が突き出される。
「何者だ?」誰何され・・「え?」とマヌケな答えを。
「あ、いや、その。あれです。えーっと。あれ。そう、通りすがりの冒険者。」
「は?」兵士はさらにマヌケな返事。
「あれ、ちがったっけ?あ、そうだ、カンパニーのお仕事で。」
「お引取り願おう。帝国と関係ないのなら、用もあるまい。」
「え、いや、違うの。その帝国と。」
「ならば、生きては返せぬ。娘、悪く思うな。」と槍が繰り出される。
「ちょっ!」後ろにひっくり返ってかわす。
「待たれよ。アラミゴの勇士よ。」エレゼンの幻術士。
「此処は通さぬ。」
「我らは貴軍の伝書を持ってきたのだ。どうか解ってもらえないだろうか?」
「なんだと?」
「これだ。」書簡を渡す。
「む・・。」しばらくしげしげと書簡を眺め・・・「たしかにアラミゴの印がほどこしてある。どこでこれを?」
「黒衣森で帝国兵と一戦やらかしてね。そいつらが持っていた。
封は開けていないが、おそらく此処に持っていくものだろうと、グリダニアは我らを使わした、そういうことだ。わかってくれたかな?」
「そうか、今までの非礼、まことに申し訳ない。中にきてくれ。」
洞窟の中は意外と明るい。外の光を上手に取り入れ、また光る苔のようなものも自生しているようだ。
中央には湧き水もあり、意外と涼しいし広い。
「わたしがラドゥルフだ。」
背の高い男性。おそらくここ、リトルアラミゴのリーダー。
「書簡は読ませてもらった。ハギロは・・。いや、君たちには関係ないか。
ただ、わたしにも何だか解らない図面のようなものが同封されていてな。
これが帝国の兵器なのか、どうなのかわからん。が、おそらく兵器だろう。
それと、第七軍団長ネールというヤツが絡んでいるらしい。あいつはやっかいだ。
グリダニアにも気をつけるように伝えるといい。」
「ありがとうございます。」
「ああ、この図面は持って帰ってくれ。ここにあっても意味が無い。何しろこんな有様でな。」
周りには子供たちが遊びまわり、露店よろしく炊き出しが夕餉の準備を進めている。
「あの・・・。」少女はどうしたものかと周りを見ながら・・。
「先の非礼もある。たいしたもてなしは出来ないが、今晩くらいは泊まって行けばいい。」
「さっきの書簡、早く持って帰らないと・・。」
「あんなもの、今日明日でどうにかなるものでもない。」
「そうだね。ゆっくりさせてもらおう。」
「まゆちゃん、そうしようにゃ。」「そうだね。」
日も沈み、夕食も終わり、「あれ?」と、一人の老女。
「レティちゃんじゃないかい?」
「へ?」
「アナスタシアは元気かい?」
「はい?」少女は意味がわからない。
「ああ、この方は少し記憶がね・・。」と近場のおじさん。
「でも、よく似てる。おばあちゃんが言うのもわかるよ。」
「さらに、はい?とか言ってみるけど。」
横から割り込んできた同い年くらいのヒューランの少女。
金髪をカチューシャでまとめて、腰には剣、革鎧までつけている。
「こら、マリー。」同じく金髪の少年。顔立ちは似ているが・・
「ああ、私はマルグリット。マリーでいいよ。」と少女。
「勝手に自己紹介始めやがって・・・、おれはウルラ。」チュニックを着ているが背には杖が。
「双子なんだよ。」マリーは隣りに座る
「あ、あたしは、マユ。よろしくね。で・・、さっきのって?」
「此処に流れてくる前に、実家でスクリーン(写真)を見たことがあってね。
レティシアさんって、お向かいの家の女の子とお母さんが写ってたの。それで。」
「え!?」
「あ、違ってたらごめんなさいね。」
「え?え?えええ?」
「マリー、その辺にしておけ。」と双子の兄。
(まゆちゃんって、アラミゴ出身・・なのかにゃ?)
(さあ?僕は聞いたこと無いけど・・レティさんがそうだとしてもマユちゃんは違うんじゃない?)
(さあさあ、余計な詮索はやめて、寝場所に行こう。)
(まさか知人が居たとはな・・・・。)
洞窟の中で寝るのはひんやりとして、心地いい・・。