223書き物。ミッション・リトルアラミゴ5

吹きすさぶ風に砂が舞う。

まばらな草や、大きな岩。
足元は小石や、砂しかない。
ザナラーンでは、わりと一般的だ。遠くには切り立ったように岩山がある。
その中でも、手前にある岩山には大きく切り裂いたような洞窟の入り口が。
このあたりでは割と多くある地形。

「この中にコミュニティ(集落)が?」
茶色の髪、細面の少年が。
「たぶん、ね。」
地図を見ながらブルーグレイの髪の少女は答える。
「違えば、素敵な魔物がご登場だな。気をつけるように。」
エレゼンの幻術士は注意を促す。
「それはイヤにゃぁ・・。」
ミコッテの少女は短いオレンジの髪をかきむしるように掴む。
「ま、いっか。」
リーダーの少女、マユは気にせず入り口に足を踏み込み・・

目の前に槍が突き出される。
「何者だ?」誰何され・・「え?」とマヌケな答えを。

「あ、いや、その。あれです。えーっと。あれ。そう、通りすがりの冒険者。」
「は?」兵士はさらにマヌケな返事。
「あれ、ちがったっけ?あ、そうだ、カンパニーのお仕事で。」
「お引取り願おう。帝国と関係ないのなら、用もあるまい。」
「え、いや、違うの。その帝国と。」
「ならば、生きては返せぬ。娘、悪く思うな。」と槍が繰り出される。
「ちょっ!」後ろにひっくり返ってかわす。
「待たれよ。アラミゴの勇士よ。」エレゼンの幻術士。
「此処は通さぬ。」
「我らは貴軍の伝書を持ってきたのだ。どうか解ってもらえないだろうか?」
「なんだと?」
「これだ。」書簡を渡す。
「む・・。」しばらくしげしげと書簡を眺め・・・「たしかにアラミゴの印がほどこしてある。どこでこれを?」
「黒衣森で帝国兵と一戦やらかしてね。そいつらが持っていた。
封は開けていないが、おそらく此処に持っていくものだろうと、グリダニアは我らを使わした、そういうことだ。わかってくれたかな?」
「そうか、今までの非礼、まことに申し訳ない。中にきてくれ。」


洞窟の中は意外と明るい。外の光を上手に取り入れ、また光る苔のようなものも自生しているようだ。
中央には湧き水もあり、意外と涼しいし広い。

「わたしがラドゥルフだ。」
背の高い男性。おそらくここ、リトルアラミゴのリーダー。
「書簡は読ませてもらった。ハギロは・・。いや、君たちには関係ないか。
ただ、わたしにも何だか解らない図面のようなものが同封されていてな。
これが帝国の兵器なのか、どうなのかわからん。が、おそらく兵器だろう。
それと、第七軍団長ネールというヤツが絡んでいるらしい。あいつはやっかいだ。
グリダニアにも気をつけるように伝えるといい。」
「ありがとうございます。」
「ああ、この図面は持って帰ってくれ。ここにあっても意味が無い。何しろこんな有様でな。」

周りには子供たちが遊びまわり、露店よろしく炊き出しが夕餉の準備を進めている。

「あの・・・。」少女はどうしたものかと周りを見ながら・・。
「先の非礼もある。たいしたもてなしは出来ないが、今晩くらいは泊まって行けばいい。」
「さっきの書簡、早く持って帰らないと・・。」
「あんなもの、今日明日でどうにかなるものでもない。」
「そうだね。ゆっくりさせてもらおう。」
「まゆちゃん、そうしようにゃ。」「そうだね。」

日も沈み、夕食も終わり、「あれ?」と、一人の老女。
「レティちゃんじゃないかい?」
「へ?」
「アナスタシアは元気かい?」
「はい?」少女は意味がわからない。
「ああ、この方は少し記憶がね・・。」と近場のおじさん。
「でも、よく似てる。おばあちゃんが言うのもわかるよ。」
「さらに、はい?とか言ってみるけど。」
横から割り込んできた同い年くらいのヒューランの少女。
金髪をカチューシャでまとめて、腰には剣、革鎧までつけている。
「こら、マリー。」同じく金髪の少年。顔立ちは似ているが・・
「ああ、私はマルグリット。マリーでいいよ。」と少女。
「勝手に自己紹介始めやがって・・・、おれはウルラ。」チュニックを着ているが背には杖が。
「双子なんだよ。」マリーは隣りに座る
「あ、あたしは、マユ。よろしくね。で・・、さっきのって?」
「此処に流れてくる前に、実家でスクリーン(写真)を見たことがあってね。
レティシアさんって、お向かいの家の女の子とお母さんが写ってたの。それで。」
「え!?」
「あ、違ってたらごめんなさいね。」
「え?え?えええ?」
「マリー、その辺にしておけ。」と双子の兄。



(まゆちゃんって、アラミゴ出身・・なのかにゃ?)
(さあ?僕は聞いたこと無いけど・・レティさんがそうだとしてもマユちゃんは違うんじゃない?)
(さあさあ、余計な詮索はやめて、寝場所に行こう。)

(まさか知人が居たとはな・・・・。)



洞窟の中で寝るのはひんやりとして、心地いい・・。

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