ザシュ。
石ころだらけの地面を魔物が穿つ。
「ひゃあああああ!」ミコッテの少女がオレンジの髪を砂まみれにして転がり避ける。
眼に赤い光りを宿した蜘蛛のような魔物は、さらに追い立てる。
鎌のような前足を振りかぶり、少女を狙うが。
ガキ。
細面の少年の槍がその足を留める。
「先輩、大丈夫ですか!」「さ、さんきゅーにゃ!本気でホレるとこだったにゃ!」
「いままでは?」
「それは・・!」さらに2匹がやってくる。「コレが終わってからなのにゃ!」
「あっちは二人でなんとかなるだろう。」
目の前のエレゼンのソーサラーは渋い顔で「尻尾つき」を警戒している。
「まずは・・。」プロテスの加護が全員にかかる。
「やっぱ、倒す?」とブルーグレイの髪の少女。すでに武器のナックルを構えている。
「いや、適当なところで引き上げないと、持たないだろう。」
「というと?」「こっちはドワーフ種の囮になって、テリトリーから逃げればなんとかなるだろう。」
「あっちは?」「二人いればある程度問題ないと思う。ただ、回復に少し不安があるが。」
「シャンちゃんは、多少魔法使えるからなんとかなるんじゃ?」「なら、こっちは引き付けて逃げる。でいいな?」「おーけい。」
「ネルケ君、かっこーいーにゃー!」などと聞こえてきたが・・・。
(大丈夫かなあ?)
ブルーグレイの髪の少女、マユは正直自分の心配よりもあっちの心配を・・・。
「ピューィ♪」どちらに行こうと考えてるような尻尾付きに、口笛で挑発してみせる。
音に敏感なこの魔物はこちらを振り向く。
「わ、マジでキモイ!」正直な感想。
そして「土の加護。」と言う声と共に小石が集まって盾となる。
「ありがとー。」「まずは逃げ切ることだ。」二人は槍使いと反対側から大きく迂回して合流を目指す。
「えー、マユちゃん達は?」槍使いの少年、ネルケ。
「尻尾つきを引き付けてくれたみたいだにゃ。そろそろ、こっちも撤退しないとにゃ。」
「じゃあ、僕が殿(しんがり)を務めますから!」
「バカ!早く撤退するのにゃっ!」
「はぅ。」
一枚岩のような岩山、本当にそうなのかもしれないが・・・。
大きな洞窟の入り口が開いている。
この辺りには似たような岩山がいくつかあり、中にはとんでもない魔物がいたりもするのだが・・。
「みんな、ケガはない?」少女が聞くと、たいしたことはない、とのこと。
せいぜい転んだときにお尻を打った、とシャン。
意外と、尻尾の付け根あたりは痛いらしい、がこればっかりはミコッテしか解らない。
「よかった。じゃあちょっとだけ横になるね・・。」
「まゆちゃん?」
「む?」
「マユちゃん?」
横になった少女の背中からは血が出ている。それもかなりの量だ。
「いかん!」すぐに治癒の術をかけるアルフレート。
「ん・・・・。ごめん・・。加護があったんだけど・・・。」
「すまない、気がつかなかった。君の後ろを見ておくべきだった。」
「や、それは・・・。アルフレートさんだと、耐えれなかったんじゃないかなあ。」と微笑む。
「うん、もう大丈夫。ありがとう。」
「もうしばらくゆっくりしておくにゃ。」やさしいミコッテの声に
「そうだよ、マユちゃん。頑張りすぎだよ。」少年。
「まあ、目的地は目の前だ。休憩もいいだろう。」エレゼンのソーサラー。
「ん。ありがと。」少女は少し疲れたように眠ってしまう・・。
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本気でホレるとこだったにゃ!
今度一度 言ってみよう・・・
Teo Dora (Excalibur) 2012年06月07日 10:43
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>テオドラさん、いらっしゃい♪
どこで使うのかドキドキw
気の利いた台詞を考えるのも楽しいネw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年06月08日 00:24