35書き物、じつは39話。

「それは本当か?」

バンダナ、ヒゲの店主は傍らのエレゼンの女性に聞いた。

「はい。マスター。」

「グリダニア、か・・・・。」
「いえ。ウルダハの方でも未確認ですが、複数の影を見かけた、というウワサが。小妖怪がまことしやかに報告しています。」

「千里耳(サウザンキーパー)モモディちゃんね・・・。」やれやれ、ふたつ名持ってるヤツばっかりだな・・・。ため息でるぜ、まったく・・・

「さてと。んじゃあ孤高の賭博師(フォーチュンギャンブラー)としちゃあ、どうしたモンか。」
「マスター。」
「とりあえず、詳しい情報が欲しい。あの嬢チャンが帰ってきたら、まずはグリダニアに行って貰うか。」
「結果は気にならないので?」
「この際、手ごまが足りない。千里耳にしてもそうだろう。でないとあんな嬢チャンを送りつけてはこないだろ?」
「確かに。」
「賭け、てのは感情でやってるヤツは必ず負ける。あとは知らないヤツもな。」
「はい。マスターの持論ですよね。もう何度聞いたか覚えていませんが。」

「しかし、帝国兵か・・・。」
「マスター、ココでその単語をあえて使わなかったわたしの努力を一瞬でムダにしてくれましたね、こんちくしょう。」

「・・・。」
カウンターの客を見やる。皆、酒を片手にぎゃあぎゃあ騒いでいる。問題はないはずだ。
「(大丈夫、ウルスリ。酔っ払いばっかじゃないか・・?)」
「(マスターの眼が節穴になったのか本気で心配です。一番端の男はどう見ても密偵ですよ?所属はわかりませんが・・。)」
「えっ!マジでかっ!」
「マスター・・・。」


飲んだくれてカウンターにつっぷしている中年の男は、最初に一杯飲んだ(半分も飲んでいないが)だけでカウンターに顔を押し付けている。
もともと酔っていたように見えたが、それも演技なのかもしれない。


そういえばあの子はどうしているだろう?遅くても明日か?いや、あの子なら寄り道するだろうから明後日か。





「ッくしゅん!」あにゃ?
「どうした?誰かがウワサしてるんじゃないのか?」と漁師ギルドの食堂のマスター。




に、しても。帝国ですか。思ったより早く動いてますね・・。ミューヌさんはどうしてるのかしら?
グリダニアでカフェをしているエレゼンの女性が気になる。

「どうした?ミューヌが気になるか?」
「いえ。」(こういうピンポイントのカンのよさはさすがです・・。マスター。)

「どのみち、あいつに押し付けることになるンだ。今のうちに心配しておいてやるのもいいかもなあ。」
「マスター、本当に小悪党っぽく聞こえるからヤメてください。」
「誰が「小」だっ!」



カウンターに突っ伏していた男は、ふらふらと立ち上がり、小銭で支払いを済ますと、店を出て行く。背を向けると眠そうな顔を薄ら笑いに変えながら。

店を出て、風に当たる振りをしつつ、遠ざかっていく。

「(こちら・・)」

だがそれ以上は交信できなかった。持っていたパールを叩き落とされたからだ。

「お前ッ!さっきの酒場の!!」
「はい、それまで。」

ウルスリの右手は特に武器を持つでもなく、徒手。

「く、女ごときが一人でナントカなるとおもってやがんのか。」
男が懐から短剣を出してくる。顔に余裕の笑みが浮かんでくる。


しかし、彼女は眉ひとつ動かずに。
「誰も一人とは言っていません。もっと周りを見てからの発言を。」



もう片方の手にはパールを持っている。


周りにいた通行人が。さっきまで酒場にいた男女が。通路の下から。夕涼みをしていた酔っ払いが。
斧術士ギルド、別の名を「海賊」アスタリシア号のクルーたち。

「みんな、あとはよろしくね。」
「へい、姐さん!」「マスターにまた行きますって言っといてくだせえ!」「今度はカードで勝負ッス!」
「アタシ、姐さんの弟子にしてください!」「アホか、お前こんなとき・・」「また新人を紹介しますんで、そんときは!」「・・・!」「・・・!」・・・



「で、どうしやす?だんな?」ずらりと斧に囲まれた状況でそれこそ一人でどうもこうもない・・・。







「済みました。マスター。」
「あいかわらず、おっかないなあ・・。お前。」
「いえ、マスターの得にならないことを排除するのも、わたしの仕事と思っております。」
・・・
「今夜泊まりにくる?」
「今度は頭の中にカビでも出始めましたか?」
「つれないなあ・・・。」
「・・・。」じっと見つめて・・。


「今度、いいお医者さまを探しておきます。たしかウルダハに施療院がありましたので。」

「おいおい、カンベンしてくれ。」



「溺れた海豚亭」の夜はこうして更けていく・・・・。


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もう39話も書いてたんだー!
あいかわらず書くスピードが早いなあー!

マスターとウルスリの掛け合いがいいねw
インパクトある2人に主人公の影が薄れて…(ノД`)
Rifeal Ford (Hyperion) 2011年10月20日 16:32

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>りふたん、いらっしゃい♪
実は10月の日記のカウントが「38」だったので、おそらく39話w
1日、2話のペースだねえw我ながらオドロキですw
マスターとウルスリの二人は書いてる内にこんなになっちゃったw
ある意味、リムサ編の主役かもw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2011年10月20日 23:06

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