850セブンス。とある露店でのお話。いろいろと。

潮風が心地いい。
ひゅうっと吹いては、さざ波の音と共に消えては、戻っていく。
「なあ?この辺だっけ?」
濃いグレイの髪を、さらに濃いグレーのコイフで覆ったミコッテの女性に。
「社長。ご挨拶の際にはそのコイフ、外してくださいよね?」
グレーの髪のミコッテ。
二人連れでザナラーンは、ベスパーベイを歩く。
「ないよな?」

二人連れは、近くの冒険者に聞く。
「なあ、「あの申し訳ありません。この近くにアレッサンドロさん、という方のお店ってありませんでしたか?」あ?」
割り込んできた秘書。
「え?ええと?」近くにいたミコッテの白魔道士。
「いや「そちらのお店に、ぜひ昼食をと。ただ場所が分からず。どちらでしょう?」その。」
「あ、それなら、私も行こうと思っていたので、ご一緒にどうですか?」茶色い髪のミコッテ。
「やっ「申し訳ありません。それでは、是非ご一緒させていただいてよろしいですか?」って!」
「その・・・先ほどから・・・あの・・」軽装の鎧の後ろ、コイフ付きのローブの女性に・・・
「気にしないでください。オマケですし。」
「あ、ええと・・なんか、せねっちのばかー、とか言われてますけど・・・?」
「ああ、申し訳ありません。ただのサイフですし。それと、申し遅れました。私、セネリオ・ローウェル、ともうします。」腰を折る。
「あ、これはご丁寧に。私、白魔道士をしています、リトリー・クィスって言います。どうぞよろしくね。」
「それでは、ご挨拶も兼ねて行かせていただくのですが、せっかくですし、同席されません?」
「いいんです?」
「ええ、ご案内していただけるのなら。是非とも。後ろにサイフがいますので、お気兼ねなく。」
「せねっちーーーー!!!!!」
「黙れ。」
(だいじょうぶかな・・・って、え?ローウェル、って?もしかして・・)
少し笑顔が引きつる。


しばし歩く。
ベイから少しだけ出たところにある露店。
少女達が忙しそうにテーブルを廻っている。
「カーム!そっち!」ヒューランの女の子がまだ新入りっぽい子に指示をとばし、ミコッテの子はそれなりに動いている。
さすがの昼食時だ。
忙しさも一際だろう。

「ココですよ。」
リトリーは、かろうじて空いてるテーブルへ。

「すみません、おまたせいたしました!」真っ赤な髪の多分、リーダーの少女が。
「私はお任せで。このサイフは残り物で。貴女は?ご馳走させて頂く、というと気をつかうでしょうし。」
この店に来るまでの道中、「サイフ」と呼ばれ続けた女性。もしや・・・なんて思いつつ・・
「あ、じゃあ、私も同じものを。」としか言えなかった。
(もしかして、マルス社長・・?そんな方を「財布」?)
少し自分がヤバイ所にいるのかも、なんて・・
わりと最近看板「アレッサンドロ海戦料理」が、女性の石像がぶら下げるようになり、見るたびに造作が変わっていくのだが、段々と原型から変わって行ってる気がする。
そんなものを眺めていると、前の二人はその石像を凝視していた。
「あの。」リトリーは控えめに。「あの、看板、気になるんです?」
「あれ「ああ、リトリーさん。あの石像は、実はかの「天魔の魔女」なんですよ。」っち!」
「ええっ!じゃあ、噂は?」
「そ「黙れ、財布。なので、かの魔女のご主人がされているこのお店に、是非ともお邪魔したく。後ほど店主に挨拶を、などと不躾な訪問なことで。」もう!」
(うわ・・)正直、怯む。
「いえ、お気になさらず。「白衣の使者(ホワイトブリーズ)」。
「!え、!私のこと、ご存知だったので?」  「おまたせしました」と料理が運ばれてきて・・
「もちろんです。道中お導き、感謝してますよ。では、いただきましょ。」
「せねっち、私の紹介が・・」「サイフ。」
(うわ、マルス社長?をこれだけ足蹴にできるのって・・・もしかして、「無名の腕・右腕(マン・イズ・ノーネーム・ライト)?ひええ!)
ビクっとしながら食事を終え「どうもでしたー!」と結局オゴッてもらい、リトリーはギルドで仕事をもらいに。


「どうも、ご主人。失礼する。」マルス社長が挨拶し、その腰の角度を秘書が直す。
「や、どうも!来ていただけるだけじゃなく、ご挨拶までなんて。」大男。
「大変、美味しく頂戴させていただいた。また寄せていただくよ。」
「そりゃどうも。妻も喜ぶよ。」

「その前にニヤついてんじゃねえ!」首がヘンな角度で折れ曲がるような、背後からの後ろ回し蹴り。

「あ、どうも社長さん。」魔女がにっこり。横には大男が倒れているが誰もツッコミをいれることが・・・

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