507書き物。戦地。

「おイ。」
長く黒い髪と黒いチュニック。
そして大きい弓。

ザナラーン地方から峡谷を越えて、モードゥナへ。
紫紺のような、薄濁りのたゆたう土地へと。

「ここカ?」
「はい・・。そのはずです。」神勇隊の隊員。

「我らに恵みを。」と同時に全員に青い光。防御術式。

「あンまりよくない空気だネ。」
「気候に関しては・・・確かに。」と剣術士。
「デ?まずは現地と接触。ネ。」
「はい。」


剣術士が冒険者然としている現地での護衛役に声をかける。
「よお。どうしてる?」これがキーワード。
「おお。なんともないさ。」これが答え。
だが。
「おお。なん・・・・がっ!」
矢が眉間を貫いている。

「え?おい。ちょっと待て!気でもおかしくなったのか!?」
剣術士は矢を撃ち放った少女にくってかかる。
「気が違っただト?それはオマエだろ?撃ち抜かれたいカ?」
「いや・・それは御免こうむる。だが!なぜ!?」
「発音、ダ。僕自身、海賊、ないしはリムサ訛りで、共通(コモン)の発音にはイマイチなんだけどネ。さっきのヤツは「帝国訛り」だった。それダケ。」
「そ、そんな。わかるのか?」
「あア。そんでネ。」
剣術士を射抜く。
「お前が密偵、ってのモ十分承知サ。」
倒れた剣術士に一瞥。

他の3人がどよめく。
「現地に着く前に、勝負しようカ。」
「へ?」「なんですか?」「ちょっと!」
「僕がふたつ名を名乗った時、疑問符なかっタだロ?そこノ二人」言葉だけで。表情には。
「え?」「いや・・。」
「神勇隊には知られていないンだヨ。僕の名は。」
「あっ!」
「死ぬ前ニ教えておいてヤろウ。コード「オッドアイ」この眼に視られたからには、逃げれなイ。」

ひぃ・・・!
逃げ出す二人の弓術士。
「逃げられネぇ。ってノ。」矢を放つ。
大弓を携え。
「デ?アンタは?」
「いやいや、正直。わたしはただの冒険者だ。政治やその裏まではまっぴら御免だね。言い忘れたが。
名をアルフレートと言う。呪術は極めたつもりだが、幻術はあと一歩、かな。君の慧眼、恐れ入るよ。」
「あ、そウ?」
矢をつがえる。
「俺が帝国の密偵だと勘ぐって殺すならそれはそれでいいだろう。実際、俺以外は密偵だったわけだしな。
だが。俺が密偵ではない、証拠はある。とはいえ、命乞いに他ならないが。」
「潔いネ。」
矢を放つ。

ミーラン、メーヴェ。すまない。ここで終わる俺を許してくれ。


ざすっ



矢は地面を穿ち。
エレゼンの術士も同じく膝を地面に落とす。

「なぜ?」
「お前、死ヌ顔だっただロ?」
「そう?なのか?」
「アぁ。」
「この任務、二人でいけそうか?」
「やれ、ッテ言われたラするだケ。頼ムぜ。相棒。」


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そことそこがそうなったか!!
面白くなってきやがった・・・。
Fizz Delight (Hyperion) 2013年03月15日 15:51

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>フィズさん、そうなんですよ。
伏線として、回復役、冒険者が一人。そして彼が遠征に出る、とありますからねwこういう伏線はアチコチにしかけてありますw
お楽しみいただけるよう、がんばっていきますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月16日 06:21

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