508書き物。少女達の修練。

「あー、疲れた。」
「お昼ごはん食べただけでしょ?」

緑多き国グリダニア。
そのキャンプ地であるところのベントブランチ。
二人の少女は、大きな蒼い石「エーテライト」から少し離れた場所で昼食を終え、少しばかりの休息に身をゆだねている。

「だりぃー・・・・。」
手のひらをパタパタ振って、自身に風を送り込もうと黒髪のヒューランの少女はある意味奮闘してはいるが、奮闘しすぎるとかえって暑くなるジレンマに悶々と。
隣にいるエレゼンの少女は、自慢の赤毛(オレンジ色にも見える)を、ふぁさっと大きく振り払う様にして暑さをごまかしている。
「やっぱり括ろうかしら・・。」
切るのだけは容認しかねる。

「ユパ様・・師匠、全然連絡ないね。」
黒髪の少女に目をやる。
「ああ、オッサンなら多分どっかで視てるよ。ウチなんてもう気にせえへんくらいになったしなあ。」
「そうなの?」
「いたいけな女の子が途方に暮れてるのを眺めるのが趣味なんかなあ?」

「失礼だなあ。」
ルガディンの声。

「ほらな?」
「あう・・うん。」
「オッサン?次は?」
「ちょっと!エリ!それはどうかと思うけどっ!」
「思うのは勝手や。好き勝手に思い悩んだらええ、ミー。ウチは「実」をとりたいんや。そこらへんを間違うたらあかへんで?」
「・・・ぐ・・・ん。」

「いいかなあ?」にっこりと。
「なんやオッサン、はよしいや。」
「ちょっ!」
「オジョウサマはだまっとれ。」
「このっ!」
絶対にこの相棒(認めたくは無いが)を一度、いや、それ以上にぐぅの音も出ないように思い知らせてやる。
歯を食いしばりつつ、現状ではいかんともしがたいので・・。反論はできない・・。

「・・・・・・というわけでだなあ。」
あ・・・途中聞き損ねちゃった・・・。
「キャンプ・ナインアイビーまで走ってもらおうかなあ。地図はあるだろう?」
「あるよ。」「はい!」
「リーブのカードは用意してある。じゃあ、先に飛んでおくよお。」
蒼い光に包まれ、ルガディンは消えてしまった。

「行っちまった、か・・。」
「ねえ、ナインアイビーって遠い?」
「地図あるやろ?」
「んー・・・。」
「もしかして地図の見方わからへん、とかいわんといてや?」
改めて少女を見る。
自分より少し低い身長。これはエレゼンにしては珍しい?
革鎧に身を包んだ装いは、どこか子供のお遊びにしか見えない。
赤く燃えるオレンジの髪も、梳きすかされ。自分のくしゃくしゃな髪とは一線を画す。
あーもう。まったく。
「わからないです。」
予想通りの答えに、想像通りの答えを返す。
「ついてきな。」



半刻を過ぎた頃。
ようやっとキャンプにたどり着く。
「ミー!、石にさわっときや。」
「うん、ありがと。」

「さあて、リーヴかなあ。」とルガディンが後ろから。
「オッサン、終わったらメシ奢れよ?」
「ちょ!エリったら!ユパ様・・師匠!申し訳ありません!そのお財布事情が・・。」
「いいさ。腹いっぱい食べればいいさ。」

「おっしゃあ!やったるどー!」
「エリ、はしたない・・。」
「やかましいわ、ミーもこんくらい気合だしたらんかい!」
「う・・・。おー!」
「まだまだあ!」
「おーーー!」
「まだまだやなあ。ミー。次の戦いで死んだら声もでえへんにゃで?そのへん分かってる?」
「ぐむ・・。」
「ウチらは何時でも、何処でも果てる、そういうモンや。そんな稼業に足突っ込んだンや。
何処で溺れても文句のいい様があらへん。覚悟が足らないんなら、そう言いや?何時でも助けて逃がしてあげるで?オジョウサマ。」
「この!」拳を打ち抜く。
「おお、威勢はええな。でも、まだまだやな。」軽く受け流し、お返しに綺麗な突きを空振りにさせ。
「こんくらいせんとなあ。」
「・・・!!!!!!!」
「まあ、やる気あんねんやったら、見せて欲しいわ。無いならさっさとお帰り。」
「やったるわ!!!」
「おお、その意気や。根性みせえや。」
「ったりまえよっ!」

拳をつき合わす少女達。


----------コメント----------

相変わらずですなw
Fizz Delight (Hyperion) 2013年03月16日 20:12

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>フィズさん、そうですw
まったくもってw
彼女達の行く末を見守ってあげてくださいw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月17日 03:47

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