484書き物。新たな芽吹き。

森の都グリダニア。
そこかしこに木々が聳え立ち、静謐な水流が街の中を彩るように流れる。
そんな中、一人のエレゼンの少女はちょっとしたお使いの帰り道。
オレンジと赤の中間程度。
まさに光の加減で赤く燃えたり、オレンジ色に落ち着く、そんな髪の少女。

「あー。どうしよーかな・・。」
ぼそっと。
お使いの帰り道は、短いが長い。
つい先日の事だ。
「冒険者にならないか?」と。ドンと衝かれたのだ。
正直を言えば、ずっと冒険者になりたかった。両親も冒険者で、父は今も現役だし。
でも。
知らない世界に飛び込むにしては、少し少女は幼すぎた。
「わたしも・・。もう15だし・・。」
これが幼いかどうかの指標になるのかどうか?それすらわからない。
一般教養などは、私塾に通って、もしくは父母から習っているので問題はないとは思う。だが。
精霊達と対話するための手段や、武具などの知識など一切無い。
だが。
それらを習熟できる機会がやってきたのだ。
だが。だが。だが。
言い訳をどこまですれば自分が納得できるのだろう?

「どうすればいいのかな?お姉ちゃん。」少しの間だけ、ほんの。
知り合った少女は歳もそれほど変わらないはずだが、しっかりとした「自分」を持っていた。
ブルーグレイの髪の少女は今では結婚もし、冒険者としても名を馳せているという。
「ふう・・。」
冒険者として自立することを、父親は許してくれた。
だが。だが。だが・・・。
どうしていいのかが全く分からない。
それでも、一歩を踏み出さなければ。
一つを越えなければ。
今のままだ。

「うん。」決意を胸に秘め。
そうだよね。篭ってばかりじゃいられない。

期日は今日の夕暮れ。
一人の冒険者に教えを請いに行かなければ、自分はこのまま夢に埋もれた人生を送ることだろう。

小遣いを溜めて買った革鎧。それに短剣。
身につけると、なんとなく様になったような気がする。
「うん。」

両親は黙認してくれているはずなので、そそくさと家から出るときは少し引け目を感じなくはなかったけれど。
その足でカフェにたどり着く。いつもは鼻歌など歌いながら悠々と行く道のりが、今日はやけに遠く感じた。

赤銅色の肌を持つルガディンの「教授」が出迎える。
「やあ、ミーラン。覚悟ができたのかな?」
「はい。ユパ様。教えを請いに来ました。」
「そうか。」
「厳しいご指導、是非お願いいたします。」少女は頭を垂れる。
「わかった。では、紹介しておこう。ミーラン。君と年がほぼ同じだと思うんだが。
2月前からおいらに師事している子を紹介しよう。エレディタ。おいで。」
手を振ると一人のヒューランの少女が。
身なりは、革鎧に剣、とミーランと変らないが目つきが悪い。
黒髪、黒目でやや痩せてはいるものの、身長はミーランよりは少し高い、か。
「ウチがエレディタや。よろしゅうな。」と手を出してくる。
「あ、よろしく。」と握り返した瞬間。
あっと、思う間もなく引きずり込まれ、バランスを崩した体に足払い。
盛大にひっくり返され、目が回るが「な、なにするのよ!」と反論はしっかり言えた。
「ただの挨拶や。文句あるなら今すぐ言いや。ウチ忘れんの早いさけな。」
「こっ、このっ!」激昂するも、もう相手は椅子に座り、カップに手をつけている。
「アンタもはよ座り。」
「ユパ様!」
「まあ、見ての通り、だ。おいらが躾けたわけじゃねえ。ただ素質があるから、引き受けた。
お前にも素質があるかは、この先わかるだろう。つまりは「こういう世界」だ。覚悟ができたのなら、同じテーブルにつくといい。」

ふつふつと。だが確実にわかる事がある。
先ほどの暴挙に対して絶対に仕返しをしてやるのだ。
そのためには師事しなくてはならない。
「上等じゃないっ!」
ミーランは席に収まり、ルガディンは ほぅ、とうなづき。
ヒューランの少女はククっ、と小馬鹿にした笑みを。
「やってやるわよ!」心に誓う少女。


----------コメント----------

こんな時間にコンニチワ
知らない世界に飛び込もうとする少女の気持ちがすごく
伝わりますし、わかります。
やってやる精神って何事でも飛躍するには大事な気がします。
日常から冒険(挑戦)へこの時既に冒険者になれたのかもしれませんね。
Fizz Delight (Hyperion) 2013年03月02日 03:38

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お、タイトル変わった、新章開始かな?w
Marth Lowell (Durandal) 2013年03月02日 08:09

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>フィズさん、コンニチワw
共感いただいてありがとうございますw
そうですね、あたしも身に覚えがありますが、「最初」ってなんでも勇気がいるとおもいます。
それを表現できれば、と思いました。
まだこの少女のお話は続きますので、見守ってくださいねw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月02日 08:54

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>マルス社長、さすが目聡いw
はい、新章ですw
ぶっちゃけますと、新生のメインを張ってもらおうかなあとw
そのヒヨッコ時代のお話、ということでw
個人的には、この関西弁の子が気に入り出していますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月02日 08:57

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マルスさんやユパさんの活躍ぶり・・・。
それに比べて初期に出演した私達の扱い・・・
すれ違うだけやお尻触るだけデシタネ・・・
Eraru Control (Hyperion) 2013年03月02日 12:56

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>えらっちwwwww少し妬んでるw
えらっち、カーラインカフェで大暴れしてるしw
出番は用意してあるよ?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月02日 14:19

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>マルス社長wあんまり先読みしないでねw
「一応の決着」は先に書いたとおり、とある出来事に向けて書きますゆえw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月02日 14:20

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たしかナウシ〇にユパ様って出てきたような気がするんじゃよ~w
お!EraruさんとManaさんも教授として弟子をそだてるんじゃな~?w
Syakunage Ise (Hyperion) 2013年03月02日 21:21

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>王様wナウ○カ関係と言うのは、ご本人の・・。
なのであえて「ユパ様」と呼んでみたりw
えらっち、まなんは・・多分プロフェッサーとしては弟子とらないんじゃないかなあw「めんどい」って一蹴されそうw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月03日 09:51

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ふんふん、次は知的なルガディンか?、なかなか良いではないか!
と思ったら

ユパ様って、おいらかーいw

ますます目が離せなくなりましたw
続きを期待してまってます( ´ ▽ ` )ノ
Yupa Boleaz (Ragnarok) 2013年03月04日 08:12

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>ユパ様いらっしゃいw
勝手に登場させちゃってスミマセン
やっぱりこう、なんていうか。読者の方も参加(強引に)させていただくとお話に幅が出て楽しいんですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月04日 09:01

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