315書き物。幻術師の・・。成長。

「お姉ちゃん、おめでとー!」

アラミゴから戻って、真面目?に修練を重ねてきた。
あれから、もう2年。

サ・ヴィントは、それなりに自身の力に自信がついてきた。

そして。

姉、シ・ヴェテックトは、「導師」の称号を得るにいたり。

ミコッテの姉妹は、記念とばかりに、カーラインカフェで食事会と相成ったわけである。


「おめでとうございます!」すっかり店の看板娘になったミューヌからも。

「うむ。苦しゅうないぞ。」と、妹分の給仕の少女の頭をなでる。
「こら、ヴィント。」
「わたしも、目立ちたーい。」
「ヴィントおねえちゃんは、すごーい目立つよ。」

エレゼンの少女は遠慮が無い。

「ほらみろ。」姉は、容赦が無い。

むーーー。っと、顔はしかめっ面。尻尾もぶらぶらしているが、耳はぺたんとねたまま。
銀髪にくるまれた耳が、ぺたん、としていたのが、いきなりピンと跳ね上がる。

「あ。お料理できたみたい。もって来るね。」ミューヌがキッチンのベルに反応する。

「ヴィント。お前、導師にはならないのか?」
「うーん。家計的にはそうしたほうがいいみたいだけど。」

実際に、姉が「導師」の資格を得て、それまでの宿舎から一軒家に引越しができた。
まあ、そのための荷物のやり取りが大変だったのだけど。

「そこじゃないだろう?」姉はあくまでもストイックだ。
「それ以外にあるの?」妹はスネた顔だ。
「まあ、とりあえずは私だ。今日の祝福、ありがとう。」頭を垂れる。
「ちょっ!お姉ちゃん!」
「いいじゃないか。」

食事の最中・・。
「えっ!」
「どうした?」妹のいきなりの声に。
「あ、いや・・。その。」
「ふん。」
パールからは、不穏な空気を感じさせる女性からの声。
ネックレスについているパールは淡い光と、押し殺した声。
(ごめん、ヴィント。少し、お願いがあるの。)
(ああ、うん。その、今?)
(話だけでも・・。)
(もう少し後でもいいかな・・。今・・。)
(うん、ごめんなさいね。)


「ヴィント?」
「あ、ごめん。友達からさ。パールから。」
「私のパールには全く声がきこえないんだが。」
小指のリングで、おそろいのシルバーの地金のパール。
「お姉ちゃん、お仕事ばっかだもん。」
尻尾を揺らす。


「おまたせしましたー!」エレゼンの少女は、大きなケーキを持ってくる。
「にゃ、にゃんですとー!」
二人の術士は声をハモらせる。
最後にコレとは。
店主は親指を立てている。
このサプライズに、二人は先の会話をすっかり忘れ、
「コレは私のお祝いだろう?」
「いやいやいや、お姉ちゃん、こんなの食べたら太るって。」
「じゃあ、お前はさらに無理だな!」
「ぎゃ!・・お姉ちゃんだって、最近お腹が気になってるの、知ってるんだから!」
「ヴィントなんて、そもそも腰周りがぷよぷよしてるじゃないか。」
「してないっ!」
不毛な戦闘。



「アナスタシア?」
夜更けに。
「ヴィント!」
「落ち着いてね。どうしたの?」
パールでの念話。
「うん・・・。その・・。帝国が攻めて来るって。」
「それは・・。」
「もうダメよ。お願い。助けて。」
「うん。わかった。でももう少しだけ待って。」
「うん。取り乱してごめんなさいね。」
「いいよ。今日はもうこれで。」


「ヴィント?寝たか?」
「寝るー。おやすみ。」
「ああ、おやすみ。」


----------コメント----------

ケーキに飛びつくお姉ちゃんがかわいいです('Д')
Jonathan Jones (Masamune) 2012年09月12日 21:39

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>ジョジョさん、いらっしゃい♪
やっぱり女子としては、スイーツはハズせませんw
たとえ姉妹だったとしても、熾烈な競争がありますw(家では。)
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月13日 07:27

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