316書き物。幻術師の・・。そしてZEROへと続く。

朝。

グリダニアの朝はゆるやかだ。

「よし。」
ミコッテの幻術士、サ・ヴィントは、一つの決意を胸に秘め。


「おい。ヴィント?」姉はいつもの朝食を用意しながら、普段なら寝ている妹に不審な目を向ける。
「なあに?」
「いや、いいこと、ではあるのだが。」
「わたしだって、ちゃんと術士としてやることはやりますよーだ。」と、パンを口にする。
幻術士ギルドのある、グリダニア。
そのギルドに所属しているミコッテの姉妹。

「また、おかしい事を言い出すんじゃないよな?」
「お姉ちゃんの導師昇格に、ちゃんと賛成したのはおかしい事かな?」と笑う。
「いや、感謝する。」
「ごめん、ちょっと今日は他の導師連中に言わないといけないコトがあるの。」
「まて!」


青いローブを翻し、食卓からさっさと駆け出してしまう。
「また、やっぱり何かやらかす気だな・・。」
しょっちゅう問題を起こすゆえ、導師には推薦しても、却下される。
実力では、おそらく自分よりも上だろうに。
「あいつにも、困ったものだ。」
妹の歳は、たしか15を少し過ぎたところか。
そろそろ、ちゃんとした男性と巡り合って落ち着いてもいい頃だ。
「まあ、私は・・。」そろそろ20歳の誕生日を迎える。


「アナスタシア!」
パールを使う。
「ヴィント!」
「明日あさってには、どうにかできると思う。それまでは大丈夫?」
「うん・・、主人は気にしていないけど・・・。近くの人たちはもう避難を始めてる。
レティシアの事もあるから、早いほうがいいわ。
グリダニアに逃げたほうがいいかしら?」
「うーん。わたし自身、グリダニアにしか・・。」
「ウルダハに逃げる人が多いんだけど・・。」
「ウルダハ、ね。やめた方がいいよ。遠いし、奴隷とか、ありえないよ。あんな街。」
「そう・・・。じゃあ、お願いしてもいい?」
「うん。とりあえず、ギルドに掛け合ってみる。国政にはけっこう口出しできるみたいだし。」
「ありがとう。でも、無茶しないでね。」
「任せて。」
パールでの会話を終える。そして目の前にはギルドのトップが居る部屋の前。


結果は。

悔し涙を流しながら、周りの術士や、導師に訴えて回る。

誰からも賛同が得られない。


「もういいよ。」
銀髪の耳はうなだれている。
「わたしだけでなんとかする。」

「アナスタシア!」
「なに?」
「今すぐ声をかけて!」
パールで声をかける。そろそろ朝日が顔を出す。
「えっ!」
「今すぐ。わたしも今飛ぶ。」


「レティシア!」しかし、少女はすでに準備を整えていた。



とある広場。
「皆さん、落ち着いて!」ミコッテの少女は声を高らかに。

「今から移動術式でキャンプまで行きますが・・。」
少女の声は、しかし響かない。が。
「アナスタシア!」
見知った顔を見て、安心すると同時に不安も覚える。

「では、飛びます。」

数回にわたり、キャンプに移動術式を使う。


「アナスタシア・・。」

一番近いキャンプから走る。
すでにアニマを使い切ってしまった。

目の前に走ってくる少女。

グレイの髪を振り乱し。
「あ、・・・アナスタシア?」
その後ろには、巨大な樹。しかも動いている。
「レティシア?」

いや、小さな影。
「間に合った!いいから、あっちに走れ!その先はグリダニアだ!」

「グリダニアに着いたら、幻術士ギルドに行けっ姉が居る!私はサ・ヴィント。行け!」

「この鎮守の森を騒がした非礼を詫びる。」おごそかに告げる。

大樹は動きをとめる。

「どうか、怒りを鎮めてはくれないだろうか?」
焦る。

少女はすでに走り去っている。このままいけば・・。

ふう。なんとか、収まった。
後は街に戻り、姉に相談をするだけだ。
「感謝する。」
頭を垂れる。

今回の一件で、どれだけの人が避難できたのだろうか?
そもそも、アナスタシアは?

顔を上げる。
大樹の顔と目があった気がする。

口からは、赤い液体が噴出す。
深緑の道に飛沫が散る。

「あれ?」
青いローブの胸元が赤く染まっている。
「うそでしょ。。。」
枝が。
大樹の枝の一本が自分の胸を貫いている。

激痛。

「そうか・・。これが対価・・・。」

無用に森を騒がせた。
「そうなのね。」耳が、尻尾がうなだれる。
「アナスタシア・・・。逃げ切れた?」
胸を貫く枝をみながら。


しかし、期待を裏切るように彼女はすぐ近くにぶら下がっていた。
「アナスタシア・・・。そう。あなたも・・、一緒に逝こう。」



「お姉ちゃん、ごめ・ん、今日は・帰れ・・な・・い。よ。」


----------コメント----------

まさに風の如く、気の赴くままに駆け抜けていったんじゃな~w
風となって運んだ種は魔女という大樹になったということじゃな~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年09月12日 13:21

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>しゃくなげさん、いらっしゃいw
その通りです。
この後にZERO編を読んでいただくと、さらにポイントがあがりますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月13日 04:14

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この妖怪・・・。どことなくキャラが被る・・・。
いやいや違うんじゃよ~wワシの方が変態じゃよ~w!
つまりワシの勝ちじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年09月14日 13:06

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やっとZero編まで読めましたw
きっと、姉妹の話を読んだと後にZero編を読むと、もっといいのでしょうねw
私は逆だったのでアレですがw

ZERO編の最後のシーンが素敵でしたねぇ(*'-')
Jonathan Jones (Masamune) 2012年09月16日 01:36

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>ジョジョさん、いらっしゃい♪
ZERO編は、加筆修正してる方でしょうか?
加筆してる方は、そのまま海賊編までいっちゃったりしますw

素敵、と言ってくださってありがとうございます。
あたし自身もあのシーンが大好きですw書いておきながらw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月16日 02:24

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