631外伝。コロセウム 夜会3

「ね?」
ふわふわした金髪に綺麗な髪飾りを添えて。
肩を、というか、胸元からしかない華麗なドレスを身に纏った女性。

「どうかした?マリー?」
応える男性も茶色の髪を油脂だろうか?滑らかに整えている。
着ているスーツも黒を基調としたフォーマルなものだ。決して「服に着られて」はいない、堂々としたものだ。

「その・・・。」おどおどと。
マリーは、こんな場所には来たことがない。
なにせ、数年前までは岩窟の中にあるキャンプで10年以上暮らしていたのだ。
ようするに、自分がこの場に合っていない、と。
そういう空気の違いを感じる。
兄が試合に出るから、ということで招待を受けたわけだが・・・。
まさか、こんな事になるとは。

「マリー?」愛する男性はにこやかに。
「いや、その・・わたしなんかが・・。」
自身のドレスを見て、顔から火が出そうなほど恥ずかしがる。
このドレスを見繕ってくれたのは、ファーネなのだが・・・
彼はもともとは、といえば資産家の息子で、こういった社交場は手馴れたものらしい。
しかも、跡取りと任命されたそのすぐ後に「降ります。(実際に見てはいない)」と、財産と家を弟に任せて出奔してきた、というある意味豪傑でもある。
そんな彼に惹かれたのだが・・・・
自分の立場といえば、ただの田舎娘なのだし・・・・。

「マリー?君は十分すぎるくらいに魅力的なんだから、もうちょっと自信をつけないと。
出自や、過去に捕らわれるなんて、するべきじゃない。さあ、お兄さんの所に行こうか。夫婦に水をさす様で気が引けるけどね。」

「ファーネ・・・。」
その右腕にしがみつく。




「あ、シャン!って、ターシャ?この組み合わせは?」
控え室、とは名ばかりの豪華な部屋では、スウェシーナ、シャン、アナスタシア、レティシアと使っていて、シャンにもなついていたのは知っている。
よく尻尾をつかんでは彼女に「ひゃあっ!」と悲鳴をあげさせていたのは・・・
そして、ドレスの後ろから尻尾を出しているシャンだが、手ではなく、その尻尾を握っている娘。
「うあ・・・。」ブルーグレイの髪の女性、マユは、さすがにこの場では悲鳴を上げることができないだろうと、ミコッテの親友に、本気ですまない、と・・・。
「ごめん、シャン。ありがとうね。」と娘を抱き上げる。
やっと尻尾の圧力から脱出できたオレンジ色の女性は、「はふ・・。」と、我慢していた息を出す。
「どうかしたのか?シャン。」と、夫ウルラが小さな声で。

「うん・・・さっき、魔女様・・いや、義母さんとレティさんのところに行こうとしたら、どうにもややこしくてにゃ・・。」
「うん?」
「そしたら、例の黒猫氏がエスコートをしてくれてにゃぁ・・。」
「うわ、それキツくない?」先の対戦で落とされてきた相手だ。マユは同情の表情。
「う~ん、しょうがない、のかにゃ。あたい、こんな場所なんて初めて、男の人達がスゴイ寄って来るにゃ。亡霊氏とかしつこかったにゃあ・・。」
彼のミコッテ好きは・・・・知れ渡っただろう。
「なるほど・・。で?義母さんは?あ、スウェシーナ隊長は?」
ウルラの質問に。
「ばーば?」幼い娘が声をはさむ。「大丈夫よ、すぐに来るわ。」と娘をあやす妻。
「それが・・にゃ。正直に言うニャ。あたいが行ったすぐ後に、義母さんがこの子、ターシャを連れてどこかに、って。」
顔をしかめる金髪の青年。
「ん?」
(あ、もしかすると・・。)
「隊長はともかく、義母さんと何かありませんでしたか?例えば口論みたいな。」
「・・・無かった、かどうかは分らないにゃあ・・。でも・・この場にこの子を置いておきたくなかった、みたいな、かにゃあ。」
オレンジ色のミコッテは、どうにも申し訳なさそうだが。
(なるほど、空気を読んだ隊長の・・・)
「いや、ありがとう。シャン。マユも娘が心配でね。助かったよ。」笑顔。
「にゅう。」
「そうだよ、シャン、負けちゃったけど、奮戦、スゴかったね!あたしだとどうしたかしら。」娘をあやしながら。
話題を変えて、キナ臭い話から孫を引きはなした母の事を汲む「後継者(サクセサー)」
「うにゃ、マユちゃん、そのことは・・・にゅう・・。」
代わりにヘコむミコッテの女性。尻尾と耳がへなっと・・・
「しっぽちゃんへこんだらまけなのだよ。」と娘。
「なっ!誰がそんな台詞を・・・って、また母さんかっ!ゴメン、シャンちゃん、言って聞かせておく!」
「いいわよ、マユちゃん。これでも仲良しなんだにゃ。」と笑顔で返す。

場の空気を和ませる、か。娘の武勇伝が一つ増えたな。金髪の青年は微笑を。




(クォ・・どういうつもりで?)
娘と共に来た黒い男。
鬼哭隊隊長、スウェシーナ。
そして。
魔女の愛する孫娘を娘に託し、事の成り行きを静観するが・・。
(それはっ!)
言ってはならないこと。彼女の尊厳を十分以上に、それこそ、その倍する屈辱を。
(家名をつけないで、相手の名乗りをするなんてっ!しかも知っていてっ!)
親友とは古い仲だ。少女時代から、結婚するときや、その他。いろんな場面でやりあってきて、常に負かされてきた、というコンプレックスもある。
だが、彼女の家名や由来には踏み込んだことは無い。
理由は簡単だ。
誰にだって「聖地」はある。踏み込んではならない場所が。
彼女は自分の「聖地」に踏み込んだ事は一度も無いし、自分も同じく、だ。

が。

この男は軽々と彼女の「聖地」を犯した。
(クォ・シュバルツ・・・・わたしもあなたは許せない・・・・)
だが、今は見ているしか・・・。
唇を噛み、耐える。
魔女の激昂を楽しむ黒猫。

そこに。
黒い肌、銀髪の給仕姿のエレゼンの女性が割ってはいる。

(く・・。)


バシっ!と背中を叩かれ。
「おい、何シケたツラしてんだ?スゥ?」
ドレス姿だが、普段と全く変わらない。
「レティ?」
親友はさっきの表情とはうって変って。
「まあ、食おう。明日も明後日もこんな夜会があるんだぜ?あのくらいでボロ出してちゃ、話しになんない。」
「え・・。」
「いいから食えよ。今更太るのなんか気にすることじゃないだろ?」
「レティ、あなたねえ!」
(無用な心配と、思い込みだったのか?いや・・かすかに彼女の目じりに涙が浮いている。強がりも策のうちか。まったく・・・・)
親友はどこまでいっても策士、それも奇策・・。

「あんたもあんなの相手によくやるわね。」
「あん?クォ?ガキ相手に必死になるほうがガキよね。」
「よく言うわ。」
「まあ、ね。コレで相手の手の内が読めたし。まあ収穫だったわ。」
「へ?」
「あ?わからなかった?」
「え?え?」
「あいつはあたしを自分の対戦相手、それも1対1に持ち込もうとしている。それも、あたしが怒り狂った状態、でね。」
「うん・・。」
「そうなれば、残りの戦力を多分誰か一人に集中させて落としにかかる。」
「・・。」
「あたしとしては、その策に乗るフリをして、裏をかきに行くつもりだけど。案外ガチってみるのもいいかもね。」
「・・・・さすがよねえ・・。」
「ふふん。」と魔女が抱きついてくる。

抱きつき耳元の小声で。
(いまの会話は誰かに聞かれて黒猫の耳に届いてる。この会話を聞かせることで、向こうは策を練りなおすはず。
こちらはその裏をかく。スゥ、顔色変えすぎるなよ?)
魔女の囁きに、思わず頷きそうになったが、なんとかこらえる。

(さすがはレティ・・・。天魔の魔女はまだまだ現役ね。)


様々な思惑と共に夜会は過ぎていく・・・・・・


----------コメント----------

ターシャ拉致未遂フラグが・・・
まぁそんな事させませんけどね!     ティンクさんが。
Eraru Control (Hyperion) 2013年07月09日 12:55

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>えらっち、そんな事がw

てぃんくたんが拉致するのか、させないのか?という事についてw
黒猫氏は策は練りますが、基本的には卑怯な手は好みませんしw
「八百長は嫌いだから」とショコラも。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月09日 15:17

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ミコッテェエエエ!!!尻尾(´∇`)モフモフ!
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ
耳とかも握りたいにゃー

シャンちゃんの尻尾ニギニギ良いにゃ~
自分もニギニギしたいにゃ~

え、「お前は自分でやれ」って?
セルフとか(ヾノ・∀・`)ナイナイ

亡霊氏が同じか分からないけど、ミコッテは他人のが(・∀・)イイ!!
自分のキャラよりも他の人眺めるの良いよねw
ニャフニャフ
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月09日 17:27

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なんというか剣王といい僕といい
こういう場面こそネタでしかないな!!
にっくきオスッテに完敗だぁ・・・( ;∀;)カナシイナー

>マルスさん
毎度いろんなフレや知り合いに「そんなに好きならミコッテでやれよ」
とよく言われますが断固としてそれだけはないと返しております。
キャラ設定とかでなくこれはガチ(キリ
Fizz Delight (Hyperion) 2013年07月09日 17:42

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>フィズさん
”ミコッテ使ったら負けな気がする派”ですねw
意外とそういう方っていらっしゃいますよね。

新生になったらミコッテ3人で囲ってあげましょうか?w
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月09日 18:06

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石化で遊んでて思ったけど、マユリさんの小説だと石化って結構やばい設定?w

http://lodestone.finalfantasyxiv.com/rc/diary/entry?e=478645
遊んでた日記
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月09日 19:16

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フィズさんとマルスさんの区別が付かなくなってきた…
セルフ?ないない、っていうのは同意ですけどw

いっそクォ様の尻尾をモフモフしたらどう?
レディには優しそうだから、モフれそうなのは…マルスさんとティンクさん? 意外な一面見られるかもですよ?
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月09日 21:14

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>エフィ
オスッテ(。A。)⌒Y⌒ ヾ( ´_ゝ`) イラネ
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月09日 21:16

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追記
エフィモフモフ
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月09日 21:36

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んぎぃ。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月09日 21:38

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モフ返しっ! モギュ
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月09日 21:39

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ニャフン
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月09日 21:50

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え? そう言う反応!? /panic
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月10日 01:42

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/shout んぎぃ。
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月10日 01:47

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そうそう 次の予定決めるから、まゆりさんのコメ待ちダヨー
Rapu Taro (Hyperion) 2013年07月10日 02:30

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>フィズさん、ネタキャラ街道まっしぐらwww

王様と共にこのまま行きましょうw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月10日 06:40

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>マルスCEO、石化、ねえw

特に設定は決めてなかったけれどw
こういうシーンだと・・。

「ピキパキと、身体が数瞬の間に硬化を始める。そう石像のように。」
ってところかしら?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月10日 06:51

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>エフィたん、マルスCEO、こんなところでw

モフモフ合戦とか、どう?wwwww
フィズさんとかが超喜んでそうだけどw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月10日 06:52

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>ラプさん(黒雪嬢)、了解です。が。

この先結構予定が多いかも・・・。
また調べますが、週末なら、24時すぎくらいならインできると思われます。
早くても23時あがりなので・・・。(お客さん次第なのです・・)
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月10日 06:56

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真面目な感想も残しとこう(^。^;)
ファーネが紳士で素敵!
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月10日 07:44

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>エフィたん、どうもw

ファーネは基本的に紳士なのですw
ウルラはどこかに裏があるような感じで紳士ぶってはいますがw
(マユと結婚してからは、そういう事をしなくなりましたw)

あと紳士キャラだと、アルフレートかしらんw彼は「隠者」だけにひっそりだけどwまあ、「発火者(ファイアスタータ)」なんてふたつ名があるくらいだから、
実は危ないヒトだけどw(ようつべ、でファイアスターターって動画見ればwプロディジーってバンドだったかしらw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月10日 10:40

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>マユリさん
FF14だと石化って10秒くらいで治るけど、
小説だとどんな感じになるのか気になって書きましたw
状態異常の中では石化って危険なイメージあったからw

第五週も石化遊びしてようw
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月10日 15:56

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追記
石化攻撃とか使ってくる敵少ないから設定しても使いどころ無いよねw
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月10日 16:18

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好きだけど使わない。そんな 変た…紳士なフィズさんを見つけたら
囲って差し上げましょうw

マルスさんも私もサブ垢あるから、ここの知り合いだけでも
5~6人で囲めるんじゃないかなww
Akatuki Reo (Durandal) 2013年07月10日 20:45

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新生でのAkatukiReoの容姿設定がある程度決まったので
一応お知らせしておきますね!
http://lodestone.finalfantasyxiv.com/rc/diary/entry?e=479629
紅い瞳(クリムゾン=アイ)と言いつつ赤と青のオッドアイなのはご愛嬌w
Akatuki Reo (Durandal) 2013年07月11日 01:38

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>マルスCEO、そうですねえw
バジリスクとかコカトリス、メドゥサあたりがテーブルトークRPGだと定番なんですがw
設定的には、11みたいなアムネジアだったっけ?みたいにカキーンに凍りつくのを次第に、って感じで恐怖感を出したいですけどw
石にはならないw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月11日 10:50

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>レオさん、拝見しましたよw
かわいらしくって、いい感じw
先日のイベントでは絡めなくってごめんなさい。
オッドアイ、似合ってるわヨw
お話の中でその辺はいろいろとネタにするとしますかw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月11日 10:57

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先日βの温泉でフィズさんを囲ったのは喜んで貰えたのかな(^-^)?
エリスとショコラともうひと方とワタシとで。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月14日 18:31

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>エフィたん、多分はなぢ吹いてたかとw
あれだけ人多いと、誰がいるのかわかんなくw
ついでに、遠いwしぬw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月16日 09:00

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いつの間にやら ゆーかい犯?( ̄◇ ̄;)
あ?ドジっ子だから ターシャタン♪にメンタルやられて ゆーかいにも失敗する…というお約束デスね( ̄Д ̄)v
Tink Brownie (Excalibur) 2013年09月20日 10:44

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>てぃんくたんwwwwwww
ターシャはいろんな意味で「まじで☆マジか!?」な子ですがw
セブンス外伝も増やしていくつもりですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月21日 05:07

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