「?ターシャ?」
短めの金髪の青年、ウルラはまだやんちゃさかりの息子、アクィラの世話に手間取っていて。
娘、アナスタシアがどこかに行ってしまったのに気がつかなくて。
「まーた、あいつめ。やれやれ・・マユに叱られそうだ・・。」
砂の都、ウルダハの家。借家ではあるが、それなりの広さはある。
それに、剣術ギルドで師範として、娘は呪術士ギルドに通うとなれば、多少金額は張っても、この立地はちょうどいい。
どうしたものか、と頭を悩ませながら、息子の相手をしているとノックが。
「あ。」このノックの仕方は妻しかいない。二人で決めた音。
「おかえり。マユ。」
「ただいま。ウルラ。」いつもの挨拶。
「パパ!ただいま!」
「おかえり、ターシャ。でも勝手に出て行っちゃダメじゃないか。」一応、先手を打っておく。
「そうね。ターシャ。今晩はオヤツ抜きね。」だが目線は夫に(なにしてんのよ?)
「え~~~~!」半泣きの娘をあやしながら、ウルラは視線で息子を・・(こっちの相手したんだよ・)
(当然じゃない!)ごもっともな指摘な目線。
「悪かったよ。近日中に休暇申請だしておくから、皆でリゾートでも行こう。」
「ホントっ!?やったー!ターシャ、パパがいいところに連れて行ってくれるって!」
「わーい!」
某地下施設。
暑苦しい施設の中、フルプレートの甲冑の4人。
一人は、黒い厚手なうえに盾になにやらギミック。「銃」だろうか?巨漢とおぼしき男。
一人は、赤い、どちらかといえば軽装だが、ヘルメットまで付いているので完全装備の男。
一人は、白いフル、というよりデザイン優先の鎧。その流線的なシルエットは女性ならでは。
最後の一人。いかつい赤黒い鎧に、マスク付きのヘルメット。放つオーラも並ではない。
「で?」オーラを放つ将軍。
「は。順調に進んでおります。」応える赤い蒋。
「ふん。」
黒い、何の金属で作り上げたのかわからない、異形の「獣」
兵士達が頻繁に走り回っている。
なにせ、現場監督たるネロ将校と、さらにその上位であるガイウス将軍が部下を引き連れ、視察に来ているのだ。
手を抜くどころではない。徹夜が連続する事も常だが、ココはいつも以上に仕事を見せなければ。冗談ではなく「首」が飛ぶ。
「ふん。もう5年も経つか。」将軍。
「は。もはや化石かと思っておりましたが・・・」赤い将校。
「動くのか?」
「はい。稼働実験は済ませてございます。後は調整だけかと。」
「これで蛮神共の驚異を徹底的に叩き潰し、エオルゼアの無能な為政者共をたたき出せるな。」
「御意に。(その後にはアンタを葬ってリウィアはオレが・・)」
「よし。ネロ。作業を続けさせろ。こちらもいいモノを手に入れた。壊す前に楽しむのもいい余興だ。その間に・・・リットアティン!」
赤い将校が去っていく。
「はっ!」巨漢が応え
「お前に北部の兵も加え、歩兵四個大隊の指揮を任せる。」
「はっ!属州出身の私にかようなお言葉。光栄の極みであります。滅私奉公にて・・」
「言葉はいらん。全ては結果で私に忠誠を示せ。」
「はっ!」急いで走っていくルガディンの将
「あの・・わたしは?」
「後で私室に来い。」
「・・・はい。」
「昨夜のガイウス様・・」
一糸纏わぬ姿のリウィア。
「・・・いい戦ができそうだ。ネールごときが企んだよりもな。」
「あんな・・」
「そう言うな。アレはアレで世界の混沌を招き込んだ。思ったよりも上出来だったではないか?」
「・・・まだ未練がおあり・」バシッ 平手打ち。
「も、申し訳ありません!ガイウス様!」
「わきまえろ。」
「・・・はい。」
「さて、あの女からは何が聞き出せるかな?」
「タタル?パパリモ?ウリエンジェさん?大丈夫?」
鎖に繋がれた金髪の女性。
非道い仕打ちがこれから待っているだろうに、仲間を気遣う。
「でっす!」「仕返ししてやるです!」「問題無い・・」
「そう、もし私にどんな事があっても、あなた達はそのまま前に向かうのよ。これだけは約束して。」
「ミンフィリアさん!」「!!!」「わかった。」
「カストリウム・セントリ、だと。こりゃまた遠出だな。メーヴェすまん。しばらく留守を頼む。」「行ってらっしゃい。あなた。」
「ああ。娘を巻き込まないための配慮、魔女に感謝だな。」
「今日のお楽しみは帝国じゃの~。楽しみじゃの~。」ダイセクター(切断者)を腰にカボチャ頭の剣王は畑からゆっくり起き出す。
「あ?」なんだこりゃ・・惨劇の後。エレディタは・・
オフィスのデスクにあった、血(といっても薄緑?な)の字。
「サン・・・アダマ・・・ラ・・ンダマ?」
「!」泣いていたミコッテの少女が。
「聖アダマ・ランダマ教会です!なにか手がかりがあるのでは?」
「知ってるんか?」
「はい。兄と何度か拝謁に行った事が。」
「ほな、行かんとな。」「やね。お姉ちゃん。」
「そこに・・」
「なんや?」
「いえ。確かここ最近、いえ、数年?前から変わった男性が修道士として・・」
「なんやそれ?」
「白髪で・・年齢は・・中年から壮年でしょうか。髭をたくわえていて、過去の記憶が無いのだとか。教会はその方を保護されていまして・・」
「めっちゃ怪しいやんけ!」ユーニが吠える。
「いや、諜報とかやないで。そんな田舎の教会、潜んで特なんかせえへん。」エレディタ。
「でも怪しいには違いないやろ?」ユーリの回答にとりあえず皆が頷く。
「じゃ」
移動術式で・・・・