(策は上々・・さて・・)
黒髪のヒューランの女性、エレディタは・・。
トランキルから少し出向いた先にその「キノコ」がある。
まずはソイツを収穫せねば、なのだが。
これまた一筋縄ではいかない。理由としては、キノコ自体は特に大したモノじゃないのだが。
コレに群がる虫共をなんとかせねば。連中もこのキノコ欲しさに群がる以上、自分たちもライバルとして映るだろう。となれば、取り合いになる。
しかし・・よくこんな策を思いついて、「最上です!」なんて。エレゼンって、見た目は優雅だが、やることなすこと、とんでもない。なんて。そんな相棒を見やる。
「エリ、あれ。まず、わたしが突っ込むからサポートお願い。リガルドさんはキノコ優先で、リトリーさんは睡眠術式でできるだけ無力化して。」
エレゼンの「剣聖」
「いつもの事やろ。」「ああ。それと・・・そのやり方で大丈夫かい?」「了解しました。(ねむひ)」
「じゃあ。いきますよ!」剣聖が吠える!
トランキルのキャンプにて・・
「おい。」ランドゥネルの声に腹心が。
「はい!大甲士!」(大尉)
「おいおい。今のオレは牙曹長だ。」
「いえっ!自分にとっては大甲士であります!」
「・・まあ、好きに呼べばいい・・が、人目のある所じゃカンベンしてくれよ?」
不動の敬礼で赤毛のエレゼンの部隊長を見るかつての旅団員。
「もうすぐ剣聖殿が「準備」をして帰ってくるだろ。「例の場所」から、警備の連中を引き剥がすように準備しとけ。」
「はい!大甲士!」駆けていく部下を見送りながら「オレもなんだか現役復帰したくなってきた。」苦笑い。
「コレは・・・意外とツライ設定じゃないか?」ミコッテの青年がボヤキながら走る。
「ごめんなさい!まさかこんな・・もうっ!」キノコに群がる虫を始末しながら。全てを始末するわけにもいかず、剣聖。
「ミー、言うとくけどな。」走りながらなので・・「少し考えや?」飛んでる虫相手だと、やはり拳で叩き落とすには少し無理が・・
「回復術式って・・いうかー・・・」白魔道士の少女は、ぜえはあ、と喘ぎながら。「走ってたら・・術式、・・ムリですよお!」
「エギも・・なんとか庇ってくれてるが・・これは一度、倒しきらないと俺達、悪者扱いじゃないか?」
「なんとか・・・します!」ミーランも必死だ。なにせ、数が半端じゃない。最初に居た虫の倍じゃきかない数。もう煙に近い。
この後のアダマンタスを撃退出来るだけの体力すら危うい。
そろそろ池が見える。キャンプは目の前だ。
そこに。「おい!冒険者達が襲われてるぞ!!なんとかしろ!」赤毛のエレゼンの隊長が。
「アイ!サー!」腹心が「おい!君!」ミコッテの青年に視線で合図を。「すまない!」キノコを投げ渡す。
「おい!このキノコが原因だ!端っこに引っ張って殲滅する!カメの警備の連中も呼べ!数が半端じゃない!術士は彼らの治療を!
攻撃術式を編めるヤツは範囲術式で滅しろ!盾役のヤツ、さっさと彼らから引き剥がせ!」自身はキノコを受け取り、指示を出しながらも目的地に誘導を。
「やるな。昔の感覚は忘れてない、か。オレは・・なまっちまったな。おい!リッテンっ!無茶するなっ!オレも遊ばせろっ!!」
数メートルはあろうかという隊の見張り小屋から飛び降りる。
(相変わらずの無茶をしますな。大甲士)腹心。
「癒しの手をあなたに。」鬼哭隊の隊員が4人に回復術式を。
「すみません。」頭を下げる剣聖に「いえ。アダマンタスの卵、ですね。リッテン殿から伺っております。
私達が援護できるのはここまで、です。この先は「見なかった事」ぐらいしか。」
「十分や。」拳聖がニヤリ。
「隊長さんも人望厚い方なんですね。」白衣の使者。
「じゃあ、俺達の仕事をこなすか。悪いね。」頭を下げる神気の指輪。
「どうぞ、ご武運を。」術士は応援に駆けていく。
騒ぎを聞きつけたのか、はたまた・・ノソリ、と大きな・・・丘?いや、山?
ただし、丘や山に四足や頭があればだが。
「アレが。」「271の頁、炎の欠片。」「デカイやっちゃな。」「とりあえず・・土の加護を願いますっ!加えて、皆に加護を!」
「いきます!」ジュワユースと魔力の火を灯した盾で、ミーランが突っ込む。
「ははっ!コレは中々!」「軽口叩くヒマあんにゃったら!はよいけ!」「エリったら!」「お願いします!今ならなんとか術式を編めます!」
「エギ、しばらく持たせろよ!」ミコッテの青年が巣穴に走り出し・・
「やれやれ・・なんとかなったやんか。」「けっこう疲れたわね・・」「大変でしたね・・」「これだけ走ったの、久しぶりだ。」
そこに。
「おう、しっかりやったじゃねえか。その卵はオッサンに届けておいてやるから、今日はゆっくり休めよ。宿の手配はすんでるからな。」
ランドゥネルは、ついさっきまであの虫共の相手をしていたとは思えない余裕で。