「ミー、なかなか美味しかったで。」
黒髪の女性、エレディタは相棒の女性の作ったフルーツピザに高評価を。
「ふう、もう!エリってば無茶振りしすぎなんだから。」
食後の香茶を飲みながら、二人は談笑。
そして。
最近普及しだしたブレスレット。
つけていれば、過去に攻略したことのあるダンジョンに魔物が再発した時に招集されるというもの。
それが光り始めている。
「お?」「あ、装備つけなきゃ!」
慌てて装備を付け始める二人。頭の中に思考が入り込んでくる。
タンク、DPSを募集。
ということは、久しぶりにエリがモンクということになる。
ナックルとアーティファクトのドレスを身にまとった相棒が「はよせえ!」と。
「うわ、鎧って着るの時間いるんだよ?知ってるでしょ?」
「うーん。なかなか人数が揃わない、かな。」
桃色の髪の青年。
白魔道士のミコッテは、ブレスレットを見ながら。
しばらくは姉からこの攻略戦で小遣いを稼げ、と言い渡され。
「しょうがないなあ、お姉は。」とぼやいてみたり。
すると、ブレスレットが光だし。「やった!お小遣いもらえる!」
なんとものんきに召喚されるのを待つ。
「ん?ここは。鉱山、か。」
カッパーベル鉱山に移動させられた召喚士は、自分が召喚されるなんてどんな皮肉だよと。
ブレスレットを見る。光っていることから未だメンバーが揃っていない、と思っていれば。
白魔道士のアーティファクトに身を包んだミコッテの青年が。
しかも、最近染めた桃色の髪と同じく、彼も。
「やあ。えーと。ぼくはエレン・ローウェル。よろしくね。」朗らかに挨拶してくる。
「ああ、俺はリガルド。リガルド・レオンハートだ。よろしく。」
「あ、そういえば、ミコッテの同年代の男の人って多分、初めてかも。仲良くしようね。」にっこり。
マイノリティ(少数)なミコッテの男性、しかも同年代だとくれば、やはり仲良くするに越したことはない。
「ああ、よろしく。」握手を求めるリガルドにエレンも「よろしく~」
そこに。
「ミー!時間かけすぎやで!」「そんな!」
二人の女性が。
(あ、さっきの・・・)少しドキッと。リガルドは。
「あ。」エレゼンの女性が驚きの声を。「ああ、さっきの兄ちゃんか。」ヒューランの女性。
「ぼくもいるよー?エレンだよ。」エレンが声をかけてくる。
ほんの一刻あたり前に出会った女性に、どう声をかけたものか・・・少し混乱するが・・・
「俺はリガルド。召喚士をしている。」とりあえず。深紅のローブのミコッテ。
「あ、わたし、遅れました、ごめんなさい!ミーラン、っていいます。ジョブはナイトですので、しっかり守ります!」頭を垂れる。
「うちはエレディタや。」グランツファウストを掲げて敬礼。
「じゃあ、いこうよ!」エレンが。
鉱山を進んでいく。
一度以上、攻略しているダンジョンなので、それほど危機にはならなかったのだが。
「あ、ちょっとまって!」ミーラン。
エレベーターに乗る前にエレンがスイッチを起動して、危うく乗り損ねたり。
発破をエレンが使う時に危うくみんなが巻き込まれそうになり「いやあ!」「なんしとんねん!」「一声かけてくれっ!」「あー、ごめんね。」
(なんという天然・・・・)皆が・・・
桃色の髪は二人そろって、しかもミコッテの男性となればかなりレアな組み合わせなのだが。
片方は、超が付くくらいの天然。もう一方はクール極まりない。
エレディタは(なんていうか。おもろいコンビやなあ)なんて。そして相棒を見てみれば。
「リガルドさん、かっこいいですね。」と。これは相棒にとっていい傾向だ。
「いや、それほどでも。」こちらもまんざらではなさそうだ。
「ぼくは?」「あなたは少し周りを見てください!」エレンにミーランが吠えている。
こっちはこっちで、天然なところが微笑ましいが・・・アーティファクトを身にまとっている以上、実力の程は推し量るのがむずかしい。
おなじく超天然な相棒が果たして、恋の花を咲かせるのか微妙だが。
まあ、出会ったころは、自分の事を「ミー」と呼んでいたのだが、「わたし」に変わったあたり、大人になったのだろう。少しは期待すべきか。
「あ。術式忘れてたー。ごめんね。」構成。
パチン。
指を弾く。展開される防御術式。
へ?
3人が唖然とする。
色んな意味で規格外の白魔道士。
3人共に幻術には関わっているのだが、こんな「呪」は見たことがない。
構成も緻密で早い。
しかも、指を鳴らすだけでこれだけの構成を展開させれるのか?と。
(ローウェル、と名乗ったか。さすがの家名だな。)リガルドは。
「と、とりあえずボスの部屋まで行きましょう!最近では巨神族(ヘカトンケイレス)がまたぞろ奥から出てきてるって。」盾を構えたミーランが。
「せやな。」
リガルドが本を取り出し「315の頁、我が下僕、地神の欠片。」
土色の精霊?が呼び出される。
「おお!すごーい。」エレンが感嘆を。
「スゴイ!なにそれ?」ミーランも興味深々。さっきの炎の神の欠片も確かにすごかったが、いろいろあるんだ、と。
「タイタン・エギ。範囲攻撃に非常に役に立つ。」クールな召喚士。
(ええ傾向やな。)相棒を見ながら。
「じゃあ、いくで!」エレディタが声を。
「ふー、終わった終わった。」女騎士、ミーランは簡易移動結界のそばで。
「意外とあっさり済みましたね。」紅い召喚士。
「やな。」モンクの彼女はナックルの傷具合を確かめながら。
「ぼくもちゃんと仕事したよー。」白魔道士のミコッテ。
「じゃあ、その。なんていうか。少し祝勝会みたいなの、しません?」
「ミー、これで飛んだら住んでるとこにいくで?」
あ、そうか。
「わたし達は、リムサ・ロミンサなんですけど・・」
控え気味に。
「ああ、俺も、だ。」
「ぼくも!」
じゃあ。
「やた!実はフルーツピザってのを作ってみたんだけど、エリしか味見してくれてないの。良ければ。」
男性陣に拒否するのは不可能な提案。