「ほんなら、ぼちぼちいこか。」
長いブロンドの少女。ユーニ。
ここは、キャンプ・ドライボーン。
ザナラーン地方東部に位置する。
昨日の激闘の後、立ち寄った町で。
鎮魂と祝杯をあげ、一泊の後。
・・・
ちなみに寝台は2つしかなく、姉妹とコンビで分ける、のではなく騎士と妹が同じ寝台に。そして、妹ユーリは二度とこんな惨事は勘弁してくれと明け方に涙ながらに訴えた。
まあ、二人は十分以上に知っていた事だが。かの女騎士は寝相が恐ろしい程に悪い。
「そら、男もできんわ。」とは姉の弁。
さておいて。
ミーランは顔を洗い終え「ベスパーベイ、かあ。ウルダハまで行ってチョコボ借りる?」
エレディタは服を着ながら「まあ、それでもええけどな。飛んだ方が楽やろ?」
「そうなんだけど。」
すでに準備を終えたユーニが「顔だすだけやろ?報告はもう受けた言うとったやんけ?あの隊員。」
同じく装備を整えたユーリ「せやなあ、ゆっくりもええけど。ザナラーンってほんま砂埃がきついしなあ。」髪を気にする。
「お前、気にするタマかよ。」姉が蹴りを入れる。「いた!ちょ!お姉ちゃん!」
長くゆるいウェーブのブロンドを見せつけるように。
姉妹のやりとりに苦笑をしながらも。
「じゃあ、テレポしよっか。」とミーランが提案し、皆が了承する。
宿を出て、「テレポ!ベスパーベイ!」・・・淡い光に包まれていく・・・・
ほど近い場所にある「砂の家」まで、ゆっくりと歩いていく。
「おかえりでっす!」
と、ララフェルの受付嬢タタルが出迎えてくれ、「ミンフィリアさんがお待ちですよ!」
「うん、ありがと。報告してくるね。」笑顔で応えるミーラン。
ドアをノックし、「どうぞ」と。そしてドアを開ければ・・・
暁の盟主、ミンフィリア以外に軍?のコートを着た3人が。
「え?」「なんや?」「グランド・カンパニーか?」「お姉ちゃん、知ってるん?」
「まあ、とりあえずは今回の件、ありがとうと。そして、おめでとう。」妙齢の美女が声を。
「あ、いえ。その・・・それほど、って言うか。その・・・」女騎士はかしこまり、頭を下げる。
「実はね・・・この方々は、3国のGC、グランドカンパニーの方々で。今回の貴女達の活躍を耳にして、是非とも、って勧誘にこられたの。昨日の今日の活躍だけど、
誰もが目を見張る事態で。貴女達はもう有名人なの。どう?」
「こ。これは・・エリ?」
「しゃあないなあ。で?あのにーちゃんは?」
「あ、サンクレッド?彼なら報告を済ませて、行くところがあるからって。」
「ふうん。」
「あの!貴女が蛮神を退けた騎士ですよね。是非とも我が不滅隊に。戦友の恩人でもありますっ!」
「いや、我が黒渦団へ。待遇はもちろん優遇させていただきますよ。」
「それはないな。我らが双蛇党へ。貴女はグリダニアの生れでしょう?カヌ・エ様もお慶びでしょう!」
「エリ・・・?」困り果てた顔で相棒を。
「好きにしたらええやん?」
そこに。
「ほんなら、うちら不滅隊に入ったるわ。」ユーニ。
「お姉ちゃん、うちも?」「そらそうやろ。」
「では!早速手続きを!」喜ぶ隊員。
「こんな阿呆ばっかりの隊や、うちが少し教育したらんとまたあんなヘマしでかしよるわ。」
場が凍りつく。
なにも術式だけばかりで凍るわけでもないらしい。
「・・・・では・・・」不滅隊の隊員がなんとか気を取り直して。
「じゃあ、ミーは双蛇党に。やっぱり家のある街だしね。」
「ほんならうちもな。」相棒のエレディタ。
「光栄であります!」党員が敬礼を。
「仕方ありませんな。」黒渦団員。「そちらは先に二人、入団されたではないか。」「そうだ。」と
ということは、かの亡霊と弟子はそちらに、か。ミーランは3組に分かれてしまったが、それが別れではないと思う。
「それでは、手続きをしに帰ります。後ほどお尋ねください!」3人は帰っていく。
「貴女達もこれで晴れて国家の重要人物ね。私もなんていうか、感慨深いわ。そして・・。ユパ殿?」
ミンフィリアの呼びかけに、一人のルガディン。
隣室から出てきた彼は戦装束。
「ミーラン、エレディタ。そしておふた方。あらためて、よろしく。」
「え?ユパ様?」「おっさん?」「剣聖・・・」「お姉ちゃん?この人?」
「おめでとう、と言わせていただく。そして、少しおいらに付き合ってくれないか?」
「ユパ様?」
「貴女達の時間よ。大事に使ってね。」ミンフィリアが笑顔で送り出す。
荒野の一角。
「ここに・・・・」剣聖は静かに語りだす・・・・