ふう。溜め息というか、「ひと仕事」終えた後の労働の疲れが口から漏れた、という事にしておこう。
此処はグリダニア。朝日が昇るという時間になると、夜霧は退散を決め込み、木の葉を寝床にする。そうして、満席になると朝露の一欠けらとなり、川のせせらぎの仲間入りを果たす。
「ねむい・・・。」黒髪の女性は、大雑把に束ねている(そうなってしまった。決して始めからではない)髪を解くと、ついでに帯を外し、着物も脱いでしまう。
東方の衣類はいたってシンプルで帯さえ外せば後は袖を抜くだけ。一糸纏わぬ姿になると、水浴び場に。
ソレを見ていた白髪の女性、顔立ちはソックリと言っていいが、似ているのはそのくらい?という・・・髪は少しほつれているが、しっかり結い上げているし、着物もはだけたりしていない。
「もう、お姉ったら・・・」と、悪態をつきながらも、適当に脱ぎ散らかした着物を回収する。少し、いやかなりゴワゴワとしているのは、血が固まってきているからだ。
手が汚れるのも気にせず、帯も。
この血は、政治的犯罪者達のもの、と。姉の。
先日、夜半からの襲撃でカヌ・エ・センナというこの国のリーダーシップを執る女性の暗殺を謀っている一団の排除、なる任務を受け、
見事?壊滅させてきたのだが凄惨極まる内容になってしまい、自分も返り血はそれなりに浴びてしまった。できることなら、自分も水浴びに参加したいところだが、
その前にこういったものを片付けるのが先だ。姉の着物には幾つか穴や、斬られた箇所もあり、そういった所の補修もしなければ。
まだまだ自分が未熟ゆえに、姉がかばってくれた時に。なので感謝もこめて洗濯と補修を。ああ、しまった。
朝食の用意もしなければ、そろそろあの子が起きて来るだろう。それまでには自分も着替えておかなければ。
なにかと忙しい白雪ではあった。
「おはよう・・・・。」ハニーブラウンの髪、どことなくイタズラが好きそうな表情の少年。
10を幾つか過ぎただろうか?詳しい身の上は聞いていない。事情が事情だけに、根掘り葉掘り聞くのも不自然だろう、ということで少年が自身で語りだすのを待って、
それに合わせるようにしなければ。とはいえ、少年がいぶかしんで引っ掛けをしないとも限らない。この偽りの家族は、その真相を知られた時点で崩壊する。
そしてその事実は誰にとっても得にはならない。先延べにしているに過ぎないが、それでもこの時間だけはできるだけ長く続けたい。
この事は、白雪だけでなく、姉、黒雪も望んでいる。憎まれ口をいつも言っているが、それと本心は違うことくらい確かめるまでも無く分るというものだ。
「おはよう、タック。今朝は玉子とハムのホットサンドよ。ミルクを温めるわね。」
「わお!今朝もハク姉ちゃんの腕が冴えるね!」ミッターク少年はわくわく顔でミルクを待つ。
「お世辞で午前の勉強を回避しようとしてもダメよ?」
「う!?いや、でも本当、いつも美味しいよ。で・・・やっぱり数式?」目線が泳ぐ。
「そうねえ、数式はまだまだ、だけど。神学(歴史)にしましょうか。はい、ミルク。」
「あれも、辛気臭いからなあ、まあでも数式よりはマシかな・・。あ!それよりさ!」
「いいから、冷めないうちにお食べなさい。」
ドタドタ。「おい、ハク。水場空いたぞ。ん?」
「わ・・・んぐ!」少年はパンを喉に詰まらせたらしい。
「あ、ミルク飲んで!」そして振り返り、全裸の姉がドアをバンと開けたところで・・・
「お姉?」「あ。ガキ居たか。」「なんて格好してるのよ!」「減るモンじゃないし。」「ソコ違う!ちゃんと体拭く布用意しといたのに・・・。」
「ああ、拭いたよ。」「それくらい纏って来て!」「メンドイからこのまま部屋に行くわ。じゃあ。」ドタドタ。
はぁ・・・少年は、というとなんとか飲み込めたらしく、荒いが息はしている。顔が赤いのは、窒息しかけただけではないだろう。突っ込みはしたくないが。
「ごめんね、まったく姉さんったら・・・。」
「だいじょうぶでず(らっきー!)」
「じゃあ、水浴びしてくるから。神学書のここから、ここまで。写本しておくように。」
「はあい。(ハク姉ちゃんのは見た事無いんだよなあ・・・)」
さぱーん。
「はぁ。いろんな意味で神経つかうわね・・・。」
今朝のホットサンドにしても、昨日のパンゆえに固いのがバレないための苦肉の策。玉子の水分も手伝って、なんとか「今日」の仕上がりに見せたり、
着替える時間が無かったから、顔だけ拭いて、首掛けのエプロンしたりと、ハードな朝に。しかも姉の不意打ちとくれば、神経が減っていくのが解るというもの。
午後からは姉に任せて(おそらく剣術)ゆっくり寝よう。
水浴びも済ませ、今度は洗濯。水桶の残り水を使い姉と自分の服を流していく。
あとは乾かしてから、繕いをすれば着れるようになるだろう。
大まかに畳んで、着物に袖を通す。
そして。
仕掛けてあるワナにきっちりハマっている少年を開放して、耳をつまみながらリビングへ。
「洗濯物を干してきます。それまでに終わらせないとお昼ご飯、抜きですからね。」
「はあい・・・・。」コレには堪えたらしく、大慌てで写本を再開する。
「やれやれ。」
「よ、昼飯まだ?」
「お姉、さすがにまだ早いって。それと、午後からあの子に実技をよろしく。少し眠いわ。」
「そっか。わかった。」ゆっくり休め。と心の中で付け足し。
午後までの時間を少しの歓談で過ごす。
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ラプさんならリアルでもしてそうだなww
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月12日 18:20
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>マルスCEO、そうねw
サクっとそのまんまでうろつく子w
まあ、夏場ならあたしもパンイチでPCに向かってますがw
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月13日 19:14
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>マユリさん
パンイチとかwもう男でいいじゃんw
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月13日 19:14
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>マルスCEO、さすがに女を辞めるトコまではw
Rさんは、江古田ちゃんばりの生活してるみたいだけどw
結構前に実写!(しかも江古田ちゃんのキャストが鳥居みゆきw)で、超ハマリ役すぎて、大爆笑だったwww
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月14日 00:41