731セブンス。小旅行。

はーぁ。
大きく伸びをする。
明るい茶色の髪のミコッテの女性、エフェメラはちょっとした充実、いや、かなりの充実感でもって現状を楽しんでいる。
森林の空気が出してくる清涼感、みずみずしい風、ゆるやかな陽光。
ここは森林都市グリダニア。

普段が荒涼とした土地にあるウルダハに居を構えていたのだが、元はといえば、この街のある黒衣森の出身。ちょっとした里帰り、か。
森の中を動きながら育ってきたジプシーゆえ、街に入って堪能するのは初めて、か。
ウルダハでの生活は・・・悲しい思い出が出てきそうなので、途中で思考を打ち切り、街を周る。
「わお。」
グリダニアの街には、ジプシーのみんなでは入ったことは無い。
たまに買出しでついていったくらいだが、自由に歩くことができなかったが、今は自由に動き回れる。
それも、この街に来た手段というのが飛空挺という、超がつく豪華プラン。
理由としては・・・


「その、エフィ。ありがとう・・・付き合ってくれて。」
同じくミコッテの親友エリス。
疲れ切った親友は、せめてものお礼に、と飛空挺のチケットをくれたのだ。
もちろん、往復。

彼女は、社長の実の弟の相手として、実に9日間も相手をして、途中から自分も巻き込まれたのだ。
彼女はいきなり口説かれたとはいえ、そういう相手は一切してないようだが、さすがに疲れたようで、ヘルプ要員として呼ばれてしまった。
3日ほど付き合った報酬、ということで、このチケット。まあ、悪くは無いか。なんて。


ただ、街中自体詳しくないのと、霊災で街自体がかなり模様替えされていて、記憶どおりではない。
「あっれー?こっち?」
新市街と旧市街とに区分けがされているが、どちらもよく分らない。
まずは、宿を確保して、が旅行の基本である。
まあ、彼女の場合は、野宿が基本な流れ暮らしで育ったのだが。
そこに。
「ありゃ?前に会ったね。」
「ん?」
「覚えてないかな?コロセウムで。」
茶色いミコッテ
「あ!ワタシの事、覚えてて!?」
「もっちろーん。」
「グリダニアだったんですね~?」
「そうだよ。わっち。で?何かお困りだった?」
「あ、そうなの。お宿をね。」
「ふ~む。どういう条件かにゃ?」
「えーっと。それほど高く無くてもいいから、とりあえず、かしら?」
「とまり木は?」
「あ、それは一番最初に行ったんだけど、断られて。」
「あー。冒険者優待だから。あそこは。わっちが泊まる宿は・・あんまりオススメできないしなあ。」
「え?」
「わっちの宿は、錠前をしっかりしておかないと、朝起きれば違う場所、とかよくある話しだから。」
「げ?」
「ちょっとまってね。」パールを取り出し。
「ねえねえ、ミューヌさん?一人、とまり木にお安くお泊りできないかな?」

「うん、わかったー。ありがとー。」
どうなっている?
「あのねえ、今ミューヌさんと話しつけたから。一泊でいいなら、今夜の宿はゲットだよ!」
「え?いいんですかあ?」
「任せて。」
「あの・・その・・お代は?」
「ああ、わっちにはね、これから行く屋台のオゴリで。宿代は向うで聞いてね。」
「わかりましたあ。ありがとうございます。」

充実した屋台の料理を食べ、オゴリとはいえ料金は微々たるものだった。
そして、久しぶりの森に散策に出かける。みんなは元気にしているだろうか?
突然居なくなり、心配をかけたことに未だに心を痛めてはいるが・・・・
パールで「大丈夫だよ」とは繰り返し言っていたので・・・
だが、そのパールも使えなくなり、こちらも心配している。
でも今は森の空気を吸って、気分をリフレッシュさせることしかできないか。

ゆっくりと散策を続けるエフェメラ。

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