「こらっ!バカ!そっちじゃない!」
前を走るチョコボに乗った青年に怒鳴りつける。
「え?」と、振り返り手綱をさらに引き絞る。
「だから、いらん事をするなと、先に言っておいただろうがっ!」
チョコボで疾走しているため、声を届かそうとすると、勢い叫んでしまう。
マルス女史は、弟が暴走するであろう事がなんとなく分っていたため、後ろについたのだ。
もともと行き先はチョコボに教えてあるため、落ちない限りは寝てても目的地に着く。
だが、いらない手綱捌きなどすると、チョコボが混乱して何処に行くやらわからない。
そして、案の定「いらない事」をしたらしく、チョコボが混乱してルートから外れようと。
おそらく自分が先頭だと目的地に着いたら一人だった、という危険は想像では無かったようだ。
「エレン!手綱は持っているだけでいい!」
(まったく、いくつになっても世話の焼ける・・)
「でも、お姉!コレ楽しいよ!」
「いいから、言うとおりにしろっ!」
ほどなく、というか、余計な寄り道をして(結局、ロープをつけて先導した)後、エールポートに。
「余計な時間かけやがって。交渉時間から・・・」空を見上げ、時間を計る。
「少し過ぎた、か。馬鹿者。仕事だと言っただろうが。」
「でも、観光もって。」
「そんなもの、乗ってれば済むだけの景色で十分だ。」
「えー?」
「それより、先方が怒ってないかどうかの方がよほど重要だと言ってるの!」
「お姉、そんなに怒らないでよ。また血管切れちゃうよ?」
「・・・・お前はそんなに私の血管をブチキレさせたいのか!?」
「え?なんか怒らせる様な事言った?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・もういい。」
(いっそ、コイツ、クォのところに送り込んでやろうか・・・。いや、好き放題私のプライベートとか喋りたおすだろう・・・・むしろ会わせるのは危険か・・・。)
その後、商人と会見し(エレンには、一言もしゃべるなと念押しして)なんとか商談は成立した。先方がかなり温和な方で事無きを得た、というところか。
「よかったね。お姉。」
「誰のせいで、こんなやきもきさせられたと思っている?しかも、お前は黙ってろって言ったはずだが?」
「え?そうだっけ?」
「なーにが、「え?そんなにするんですか?」だ。するから商売なんだろうがっ!」
「あれ?そうなの?」
「お前というやつは・・・。商談には今後連れて行かん。その前に下働きから始めて、社会というものを勉強しろ。それと、幻術もちゃんとした師につけよ?そこで礼儀作法を習え。」
「はあい。」
はぁ・・・。
溜め息の一つも出てくる。
そこに・・・。
「あの・・・。」と、エレゼンの女性。
「はい?」
「その・・・冒険者、の方ですか?」
「ん?」
「はい、そうですよ!」
「エレン!」
「では、少し案件がありまして。お願いできませんか?」
背は高いのだが、縮こまるように、申し訳無さそうに頼みこんでくる。
(しかたないか・・・)マルスはあきらめる。
空を見上げ、まだ夕暮れまでには時間がある、と判断し。
「なんでしょう?」問いかける。
「実は・・・蛮族のサハギン族はご存知ですよね?」
「ああ。あ、エレンは黙ってろ。」
「へ?」
「え?ああ、はい、すみません。そのサハギン族に有効な「矢毒」の元になるペリカンの毒を採取していただきたいのです。」エレゼンの女性は、甲冑をつけ衛視らしいが・・・
「実は、わたしこんな格好なのですが、その・・実戦ではなく、そういった研究をしている者でして。あ、申し遅れました。ウィルトスィス、と言います。」
「ほお。」
「ねえ、お姉さん、この後いっしょにご飯とかどうかな?」
ごりっ
「お前というヤツは!」
「痛いよう・・・。」
「あ、あの・・・。」
「気にしないで。」
「それで、その・・?」
「ああ、わかった。このバカにやらせてくる。いいな?エレン?」
「お姉、ひどいよう・・・。」
「反省しろ。このバカタレ。」
「えーっと。」
「いいのよ。社会勉強。」
「はーい・・・。」
「あら、そうなの?」
「はい。本当に実家が貧乏でして・・・。そのお歳で実業家なんて。うらやましい限りです。」
「まあ、最初は一人、こつこつと汗水たらしてたわね。おかげで十台で恋愛なんてした事ないくらいに。」
「それは・・。まあ、わたしもこの衛視の任につくまでずっと錬金術の勉強してましたからね。試験に通ってようやく、というところですが、報酬を実家に仕送りしろと。」
「それはまた。」
「ええ、錬金術もお金がかかりますし、小物を売って学費にはしてましたけど、やはり足りないですからね。そのぶん、お返し、というか。」
「なるほどね。」
「でもお給金、言っちゃアレですけど、かなりカツカツで、口紅一つ買えないんです。玉の輿ってやつに乗りたいなー・・・。」
「まあ、実戦隊じゃなく、輜重隊ならそんなに給料は出ない、か。」
「本当に。こんな事なら実戦やっとけば・・。」
「死んだら意味が無い。いいじゃないか。」
「そうですかね。」
「ああ。私は商人だが、戦場もいろいろ見てきた。それも先の大戦もな。ロクなもんじゃない。
それに、大戦に参加した英雄クラスの連中が名前すら忘れられて。私もこう言ってはなんだが、それなりだ。
おかげで取引先が、「誰でしたっけ?」とか言う有様だ。まったく。」
「ご苦労を・・・っと、あ、お帰りですよ、弟さんでしたっけ?」
「ああ、不肖の弟だ。」
「ただいまー。」
「そのタプタプとした皮袋、全部、か?」
「うん、お姉。どう?」
「まあ、いいだろう・・・。いいかな?ウィルトスィス?」
「あ、はい・・・」引きつった笑顔で。
報酬でワインを受け取り、この日はエールポートの宿を借りる。
「いくらなんでもお前。確か3つくらい、だったハズだが?」
「え、多いほうがいいでしょ?」
「だからと言って、いくつだ、あれ。」
「んーと、20と・・もう少しかな。」
「もういい。寝よう。」
「ん、おやすみ。お姉。」
「コッチの寝台にもぐりこむなよ?」
「うん。」
子供の頃はよく一緒に寝ていたのだが、さすがにこの歳では・・。
朝起きれば、横に弟が。
ごつっ!
「この、ばかたれ!」
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:D
弟 : ケアル~、ケアル~、ケアル~、ケアル~
姉 : (戦闘中)過剰にケアルしなくて良いぞ?
弟 : でも安心でしょ? (ぷす…。ガス欠) ぁ、疲れちゃった。
姉 : (戦闘中)なにぃ!? このバカもんが~っ!
っていう感じでしょうか? エレン君の幻術士って。盾さん安心できないだろなぁ
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年10月10日 22:38
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>エフィたん、ありがちw
かなりキャラは出来上がってきた気がするw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年10月10日 23:42
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オーバーヒールw
新生はリジェネにもヘイトあるのよねw
Marth Lowell (Durandal) 2013年10月11日 00:33
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>マルスCEO、オーバーキルは侍に任せてw
エレン君は、確かにちょっと今までいなかったキャラw
その分、面白くいけるかしらw
>エフィたん、なんかソレ、目に浮かぶw(失礼
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年10月11日 05:15