「なあ、メーヴェ。」
「なあに?あなた。」
一軒の小さな借家で夫妻が。
ここはグリダニア。森と精霊と共に生活が営まれている。
黒髪の術士、アルフレートは先の大戦で家を焼かれ、とりあえずの、という事でこの家を借りていて、ちゃんとした家を手に入れるべく仕事にも紛争しているわけだが。
その仕事で家を空けていたときに、愛娘が食事に友人と共に帰宅していた、と知ると大層悔しがったものだ。
そして。
「いや、ミーなんだが。あいつ、大丈夫だったか?」
「あらまあ。そんな心配なさらずとも大丈夫ですよ。わたし達の娘ですし。それにお友達もしっかりした子ですしね。」
「む・・・・そうか・・・。」
「なあ。ミー?」
黒髪のモンクの女性。軽装の革鎧にナックルをはめ。
「どうしたの?エリ?」
オレンジ色に映える髪。こっちは鎖鎧。剣と盾。
「ミー。いや、あのなあ。」独特のイントネーションだが、もう慣れた。
「もうちょっと、いや、なんちゅうか・・。もうちょっと仕事請ける時はうちにちゃんと相談しいや?」
「あ、ゴメンゴメン。」明るく頭を下げる。
森の中を歩きながら。
このなんというか、お人好しを絵に描いて、そのまま出てきたような相棒に。
仕事、というか、依頼はこうだ。
「ウォーレン牢獄に魂還式に行った術士が未だ帰還していない。護衛についた者が一人だけ帰ってきて、何者かによって儀式を中断させられた。
このままでは術士が精霊の怒りを買い、殺される、なんとかしてくれ。」だ。
なんともやっかいな話しだ。
まず、この牢獄まではそこそこの距離があるので、走りこむのは無謀すぎる。脅威の前に体力を使うのはいただけない。
しかも、ダイアマイトと呼ばれる昆虫みたいな魔物も多い。慎重にしなければ。しかも、運の悪いことにチョコボの貸し出しも全て出払ってしまって、使えない。
それなりの経験や、お金のある冒険者ならマイチョコボを持っているのだが、自分たちはまだ。
仕方が無いのでてくてく、と歩くことに。もちろん準備も必要なので(食事やポーション、その他)これで間に合うのかどうだか。
そして、こんな依頼を安請け合いした相棒の人のよさ、というか、天然に頭を痛めているエレディタ。
この数年来、彼女の天然は一向に直る気配が無い。
「まあ、ええわ。」スラム暮らしが長かった彼女は呆れるしかない、と同時に自分が横にいないとこの相棒は何をしでかすか、はたまた人買いに連れて行かれるかわかったもんじゃない。
「ん?なにか言った?」とその相棒。
「いーや、あんたの行動に呆れただけや。」
「エリ、そうは言っても助けてって言われたら助けなきゃ。」
「まあ、大抵はそうやろな。」
「ほら、クサらないで急ごうよ。」
「ああ。」
黒衣森の奥にその牢獄が。何を好んでこんな場所で儀式をしたのかはわからないが。
ダイアマイトを倒しながら、慎重に足を進めると護衛が二人ほど。
腰を落し、意識を失っているようだ。幸いダイアマイトには見つかる事無く、息をしているのは分る。
ミーランは「この者を癒して。」と回復術式を。
意識を取り戻した護衛は「感謝する。だが、術士殿はこの奥なのだ。」
「頼む。我らは不甲斐なく逃げ出す事に。」
二人はそう言い。
「わかりました。お任せください。そして、命あっての事ですから、なにも恥じる事はありません。術式で帰れますか?」
「かたじけない。」
二人は光に包まれていく。
こういうトコロが凄く好きなのだ、自分は。エレディタは相棒に優しく手を。
「んじゃ、行こうや、ミー。」
「うん、エリ。」
そして、入り口か少しのところでもう二人。
同じく回復術式で意識を取り戻させて。
「この奥に・・。」
と言い、二人も術式で帰らせる。
「おっしゃあ、本番やね!」
「だね。でも何か来るかも?」
「そらそうや。儀式邪魔した阿呆がおるねん。いっちょぶっ飛ばしたろう!」
牢獄とはいえ、まだ入り口なせいか、広い間取り。
牢は見当たらない。
だが、柱の影に一人ローブの人物が倒れていた。
「あの人だ!」ミーランは駆けて行く。
「ミー!危ない!」
エレディタはスラム暮らしだったため、危機には鋭い。
え?
と振りかえる間もなく、石をかためて作った魔物、ゴーレムが彼女を殴り倒す。
「ミー!」叫びながら駆け出す。
「だ、大丈夫。でも先にこの人に。」回復術式。
「このアホ!」ゴーレムの拳を逆に殴ってスジをかわす。
「あ、ありがとう君達。俺は一旦帰ってもう一度儀式の準備をしてくる。気をつけて。」
光に包まれていく。
「せめて回復役くらいせえや・・。」拳を避けながらエレディタ。
「まあ、なんとかなるわよ!エリ。」
「せやな。」
ジュワユースを振るいながら。
時間にしては、そう長くは無かった、はずだが、かなりの体力を使ってしまった。
一旦、入り口あたり、ダイアマイトの居ない場所で休憩を。
「ふう。」一息。
「せやから言うたやろ?ミー。」
「うん~そうだけど。」
「怪我はあらへんか?」
「うん。エリこそ。」
「うちは平気や。最初にミーが殴り倒された時は、ほんまにどうしようかと思ったで?」
「ごめんごめん。」明るく笑顔で。
まったく。困り顔で相棒を見る。
「クレイゴーレムでは不足だったか。」ローブの男は柱の影から見ていた戦闘に。
そのまま移動術式で消えていく。
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ミーランの寝相の悪さなおったのかな?w
マリーのことノックアウトしてたけどw
業務連絡
698話~714話転載しました。
Marth Lowell (Durandal) 2013年10月01日 17:33
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>マルスCEO、直ってないw
野宿だとエレディタはかなり離れた場所に(教訓ありw)
もしくは、宿だと必ずツインにw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年10月01日 23:36