森の都。古都。精霊達の都。
グリダニア。色々と呼ばれてはいるが。
それはあくまでも表の顔であり、やはり主要都市国家である以上は「裏」の顔も大きい。
その中でも「家」と呼ばれるイレギュラー達はその最たるもので。
「なァベッキィ?ショコラがふざけタ依頼持ってきタンだけどナ?」
黒い髪は長く、真っ直ぐだ。そして、前髪だけが斜めにカットされている。たまに銀色の一房が垣間見えるが、その時に同時に左の目の金色の瞳も。
服装は概ね「黒」が多い。だが、たまにショコラ作のどピンクや、純白のドレスを着ている(無理やり)のだが、今回はどピンクではなく、いつもの黒いチュニックだ。
白磁のような肌と黒がコントラストとしては絶妙で、人形のようにも見える。
確かにこの容姿ならば、いろんなドレスを着せ替えさせたい衝動には誰もが賛同するだろう。
言葉使いが悪く、でなければ。
「フネラーレ。お嬢様からの御依頼、まさかとは思いますがお断りはなさいませんよね?」
黒髪の美女とは対照的に銀髪に黒い肌のエレゼンの女性、ベリキート。
彼女はショコラと言われるミコッテの女性の生家に仕え、いや、彼女の兄に。
給仕服に身をつつみ、丁寧な喋り口だが、かの主人に文句をつけたり、ふたつ名「悪運(バッドラック)」などを言われると人格が豹変したかのように暴れる。
もともとは港の街リムサ・ロミンサで孤児達のギャングチームのリーダーをしていたのだから。
「コレ、おかシぃだロ?」と。
「何がでしょうか?」
「大体、依頼もっテ来るのはあのボンクラじゃねェか。」
「そうですね。」
銀髪の青年。この、他にもだが。「家」のマネジメントをしているキーファー。
そして、ショコラはただの情報屋である。普通では依頼を持ち込めない、ハズだ。が。
「ですが、お嬢様のなさる事。なんの問題もございません。」
この給仕姿のエレゼンは、ミコッテの情報屋に完全服従だ。
そんなコトは分りつつも、逆に知っているなら、なトコロで聞いてみたわけだが。
やはりというか。大した情報には繋がらない。
依頼の内容はこうだ。
「美味しい食材摂ってきて。」
バカげている。
全くもって、バカげている。
そも、依頼と呼ぶべきか?
人をなんだと思っているのだろうか?
美味しい食材、だと?
そんなもの、冒険者に頼め。
まあ、彼女は「裏」の情報屋ゆえ、あまり顔は出したくなかろうが、一般人っぽくすれば、依頼の一つになるだろうに。
よりにもよって自分、暗殺者(スタッバー)に依頼する案件か?
もしくは、「美味しいイコール殺害したい相手」というワケか?
だが、そんな符丁は聞いていないし、そもそんな依頼なら銀髪のボンクラが持ってくる。
ショコラの話では、そこまでは読み取れなかった。
「チ。」軽く舌打ちしながら。
「仕方ねェナ。ちょっくラ出ル。」
黒いチュニックの上から胸当てをつけ、革のロングブーツをはき、グローブとダガー。そして愛弓のコフィンメイカー(棺桶製造者)を背に。
「いってらっしゃいませ。」
給仕のエレゼン。
「あア、ンじゃ。」
森の中を適当に歩くことしばし。
まあ、暇つぶし、という言う意味では悪くないかもしれない。
だが。
変な感触が。
「なンだ?」
体の向きが自然と違う方向に向かう。
狙撃が主任務なだけに、方向感覚には鋭い。そして、元海賊ゆえの事だが。船上で方向を見失うとは、すなわち死に繋がる。
「おかしイ・・・。」
もう一度振り返る。
そこに黒い影がいた。
「おや?僕の術式に気がついたのかい?」
黒い影は自分と同じく黒衣。
ただ、とんがり帽子にゆったりとしたローブ。白い面貌は女性を思わせるが、声音は男のそれだ。年齢も分らない。若いようだが、年老いたような。
「僕はこの後仕事があるんだ。悪いが相手はできないよ。それと、この先に女の子達が水浴びでじゃれているから。悪さをしそうなのが居たらご退場願ってくれないかな?」
なんなんだ?コレは一体。
「あァ。」としか言えなかった。
影のような男は去っていき、そのまま影の中に消えた。
「まさカ。」
「家」の中でも魔女よりも古参の「黒衣」?
へなへな、と腰が落ちてしまうが自覚も無く。
伝説すらなら無い、「闇」の者。
ただ、「居るかもしれない」と。
「家」同士でもお互いにコンタクトは一切無く、マネジャーのあのボンクラと、何故だかショコラだけがその全てを把握している。
「なンだ?こレ。」
座り込んでしまった事に気がつき、立ち上がりながら。
術式には疎い彼女だが。
気配というか。
到底、勝負をしようという気にはならない。おそらく、弓を構えた瞬間には死んでいるだろう。
そして、遠くできゃっきゃという少女達の声と、クアアアアアアッッ!という雄叫びが聞こえてきて。
時間の感覚も薄れながら、「やっぱ、今日は帰ろウ。」
フネラーレの一日はなんとなく終わってしまった。
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700話!!!
う~む、普通に700になってしまったw
Marth Lowell (Durandal) 2013年09月14日 18:25
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フネラーレがおとなしい!?
圧倒的な力の差は認める事ができるまでにオトナになったのでしょかw
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年09月14日 23:10
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>マルスCEO そうなのよねw
まあ、それほどは気にしない方向でw
ついでに言うと。自分でも全話読みつくすの、かなり時間要るwww!w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月15日 01:14
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>えふぃたん。そうですねw
彼女もそろそろ20半ば。23かそのくらいだったはずw
(キャラ多すぎて年齢設定が・・・www)
大人としての「落ち着き」と「認識」はそれなりに。
コロセウムでの経験も活されているのかなw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月15日 08:00