699セブンス。女子会?は続く。

「で?」
グレイの髪を一まとめにした女性。
通称を「天魔の魔女(ウィッチケイオス)」最近ではまたぞろ二つ名が増えたらしいが。
おおむね「魔女」と言えばこの女性を指す。
隣にいる鬼哭隊隊長スウェシーナと同年代、たしかひとつふたつは年上だという話しだが。
とてもではないが、そうは見えない。
隊長の方は歳相応と言えば怒るかもしれないが、それはそれで普通だし、魅力もある。
だが、魔女の方はどう見ても実年齢よりはるかに下にしか見えない。
娘どころか孫までいるはずなのだが、その娘の姉、で通りそうだ。
さすがの魔女、というところだが、彼女の「魔女」たる所以はそこではない。
彼女の戦術、戦略は各国のグランドカンパニー首脳ですら取り入れたくらい。
対人はおろか、対国すら相手しかねないその発想力と奇抜さにある。
そして、非殺という信念もあり、信奉者は増えている。(ただし、酒癖は悪い。)
たとえ他人の仕業だとしても、目の前で見てしまえば許せないし、助けに行く。
そんな魔女が。

「で?」と切り出し。
カーラインカフェの一角はちょっとした混沌(ケイオス)になる予感が満載なのである。

エレゼンの女性騎士ミーランは硬直する。
「あ・・・あの?」
先のコロセウムでも優勝チームでその貢献者でもあり、噂には知っていたが、戦いを見れば到底自分では歯が立つどころか。尊敬こそすれ、どうやればあんな?みたいな。
隣の相棒、黒髪の女性も言葉無く。
もはや伝説級の相手にハイランダー姉妹も声を出せずに。
「レティ。みんな怖がってるじゃない。もう。みんな、そんなに怖がらなくていいのよ?」
スウェシーナが優しく声をかけるが硬直は解けない・・・

「お待たせしました。あとワインはご主人からの気持ちでございます。」
と、給仕のミコッテ。
サラダやチーズ、ポトフなどが置かれて、ワインも2本。
「ナオちゃんだっけ?ミューにサンキューって。よろしくね。」
「はい。承りました。」と去っていく。

「で?」
「あ、あの?」
魔女の質問にとりあえず声を出せたミーランは。
「こんなメンバーで一緒に食事って、ワケありでしょ?ちょっと興味あるかなーなんて。」
(う。さすがにするどい・・・)
「いや、そのですね。ちょっとした頼まれ事をこなしましてね。」
「ええやんか、全部話せや。」とは、小柄な術士。
「おう、そっちの子はなかなか面白い術式使うのね。あれだけの術式展開するのにほとんど一瞬だしね。
あたしも術式は使うけど、構成密度はともかくあそこまでは速くはできないかな。誰に師事したんだろ?」
「それは・・。」言葉に詰まるユーニだが。
「黒衣の人。」横からエレディタ。
「へぇ。まだ現役なのね。彼。」
「知ってるんですかっ!」と思わず大声になり、口元を押さえるミーラン。
「まあね。まあ、あなた達は知らなくてもいい事だけど。ちょっとそういう「所」があってね。
先輩っていうのかしらね?一度だけ一緒に仕事をしたことがあるのよ。いけすかない男でしょ?」
「そ、そんなことあらへん!先生はええひとや!」ユーニは思わず席を。
「ま、女性に対しては甘いからね。彼。」ふふ。
「レティ。ちょっと!」
「スゥ、まあ、知ってるんだったらいいじゃない。」
「まったく。」
「そんで・・その・・・魔女さん?なんでうちらのとこに?」とこれは妹のユーリ。控えめに。
「おもしろそうな話が聞けそうだから、よ。」とにっこり。「ポトフ、冷めちゃうわよ?」
「あ、そうなんです。」
ミーランが。
「面白いかどうかは判りませんけれど、スウェシーナ隊長がおられるので報告したほうがいいかと。」
傍らで姉妹がポトフ争奪戦を繰り広げる中、エレディタはしっかり好物のポテトはゲットしていた。
「ふうん?」魔女は真顔に。隊長は少し緊張した表情。
「実は、バノック練兵所で鬼哭隊の方に依頼を受けたんです。そして、その時に現地でこの二人とも出会いまして共闘しようって。
それで行ってみれば、大きな切り株に剣が突き刺してあってですね。他にララフェルの術士と、女性の格闘士の方が。
で、「エーテルが乱れている」とか言ってて。剣を抜けばいいのかな?って、抜いちゃったら、樹の精霊達が襲いに来て。」
一息でここまで告げる。
「で?」冷静な魔女と、少し顔を青ざめさせた隊長。
「イダ・・だったかしら。あとパパリモっていう二人と一緒になんとか収めたんだけど、「不審者を探してくれ」って依頼はよくわからないままで・・・その後、その剣が蛮族の物ってわかって。」
「ほう。」
「近くの木立に蛮族の死体があったんですよ。」
「!」スウェシーナが席を立つ。
「落ち着け、スゥ。」とたしなめる。
「で、その不審者?ではない二人と別れて、休憩してたら、さっきの言ってた黒衣の人とすれ違って。
ユーニさんの先生、って言うもんだし、この人も不審者じゃないな、って。で、剣を鬼哭隊の人に渡して、依頼自体は終了。で、祝勝会なワケなんです。」
「なるほど。スゥ?バノックに居る隊員は?」「ガルフリッド。真面目なやつよ。」
「て、事は・・。あの黒衣、依頼があったな。」
「え?」
「おそらく、ね。蛮族退治にでも駆り出されたんでしょ。」
「なるほど。彼クラスだと楽勝、か。っと。そうそう、君達?」
「はい?スウェシーナ隊長?」
「森で出会った二人は、霊災の前からグリダニア、それ以外もか。で活躍してる賢者達だから。見た目はともかく、不審者どころか。だから出会えたのはラッキーかもね。」
「へえ。」と、ポトフのメインの肉をとったユーリが。横で姉がホッペをつねっている。
チーズをパンに塗りながら、ワインを傾けるエレディタはあの混乱に満ちた事態の整理をしているようだ。
会話の最中になんとかサラダを自分の分確保できたミーランは、やっとフォークをトマトに突き立てた。
「なるほど。おもしろい話が聞けたわ。ありがとうね。」魔女は一礼。
「え、そんな!」とミーラン他、3人も恐縮する。

「まあまあ。後は恋愛事情とかで盛り上がろうか!」と魔女。「げ。」とは、スゥ。


女子の会はまだまだ続きそうだ。

「お待たせしました。」次の料理が運ばれ、遅刻してきたイーリスが玄関あたりでノックアウトされているのを見つけてしまい、少し静寂が・・・・


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業務連絡

セブンス。 682~697話 転載しました
Marth Lowell (Durandal) 2013年09月13日 13:56

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>マルスCEO、毎度!
ありがとねw
まだしばらく旧ロドストで描いてるから。
新になったらどーしよー?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月14日 00:42

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