「はぁ・・・。なンとかならネぇのか・・。」
黒髪の少女は朝が来るたびに憂いげな表情。
森の一角にある「家」
あの日。
とある邸宅に侵入し、暗殺を敢行するも途中で邪魔が入り。
「最高だネ。」と、好敵手、いや宿敵だ。
邪魔しに来た魔女と相対するも、軽くいなされ。
パアン。軽い何の気ないような音に。
壁に背を預けていた自分だが、次は縫い付けられた。
はらわたが?き回されたような感触の後。「エ?・・僕・・・。(何ナノ?声が・・出なイ・・・。)
ごぶっ。口の中から。いや腹の奥底から熱い塊りのようなモノがこみ上げてきて。
嗅ぎ慣れた、いや、さっき嗅いだばかりの臭い。血?ナノ?
ズルリ、と壁を滑る感触の後。自分が座り込んだのが分かった。
(ダメだ、立たなきゃ・・いや、武器・・。)ダガーを握りしめた腕を振り上げ、力が足りずに落としてしまう。ドカッ、という音と共にダガーは床に刺さり、
魔女が何か叫んできた。「おいっ!・・・・レ!・・・」何を言ってるのか途中から分からなく。
「ア・・・。僕、死ぬのかな?」後半は声に出せたのかどうか。
ごふっ・・。喉に痞えていた血が噴出す。
この段になって右わき腹に激痛が走る。あ。出て行くネ・・。僕の命・・。寒い・・。
意識が朦朧とするなか、魔女にお願いを。
最愛のあの人に、お別れをしなければ。
「僕ネ、お別れしなイとダメなンだ。手をパールに触らせてくレ。」
言葉になったのかどうかは分からない。
だが、確かにパールに触れた。
その後の想いは、今も心に焼き付けている。瀕死の想いで届けた言葉に彼は、最後にこう返してきた。
「俺は今でも、いつでも愛しているさ。」
うう。思い出しただけで赤面だが、寝台の中の彼女はこの後の「拷問」めいた食事に悶々としている。
ぱりーん。 やらかシやがった。あンの野郎。もうすでに二日の日にちが経ち、
割れた皿のカウントをするのがいい加減飽きてきて、美しい想い出に浸っていたのが台無しだ。
またあの焦げたトーストなのか・・。それとも、さらに拷問なのか。
そこへ。
ドアが開く音。だが、この寝室ではない。
ん?
(お嬢様。このようなお時間にいかがされましたか?)
いや、まだ昼前だろうガ。ン?ショコラ?これは!
(んーっふっふ!わっちがお見舞いに来てあげたのだ。)
ナイスだショコラ!グッと拳を握り締め「あいタタタ・・・・。」わき腹を押さえる。
まだ完治していないわき腹は、おとなしくしていないとかなり痛い。
どうか、ウマイものをもってきてくレ・・・。心の中から悲痛な叫び。
ばあんっ!とノックも無しに寝室のドアを開けた、褐色のミコッテは、青い瞳を輝かせ。
「フネラーレ、おつかれさまー!」と、薄い木の皮で作られたお皿に盛られた茶色い物体を手に掲げる。
「おッス・・。ショコラ。傷に響くかラ、大声は勘弁ナ・・。」
なんだか分からない茶色いモノは、焦げたような香りがしてくる。
またカ・・・・。上半身を起こしていたが、パタン。とまた枕に頭を預ける。ズキリ、と傷が痛んだが、最近慣れてきた。
「お?わっちオススメのグルメはいらない?」と近くまで寄ってくると。
焦げただけではない。濃厚なソースが焦げる香ばしい香り。しかも懐かしい海鮮類の焼ける匂い。
「ショコラ。僕が悪かっタ。是非頂きたイ。いいよネ?」と激痛を無視して上半身が跳ね起きる。
「うん、わっちが食べさせてあげるね。」専用の食器?二本の棒で器用に麺を持ち上げる。
「アツアツを走って持ってきたけど、ちょっと冷めちゃったから、大丈夫だよ。」
と黒髪の少女の口元に運んでいく。
はむ。
「・・・・。」
「どう?」
「お・・。」
「お?」
「おいひィ・・。」涙が出てくる黒髪の少女。
うーん、フネラーレが今日はかわいいなあ、なんて思いながら完食させてあげる。もちろん、一口くらいは食べたけど。
「はふ・・。美味しかっタ・・。ありがト、ショコラ。」
「いやいや。前に助けてもらったしね。お返し。」
(あのベッキィのトーストで二日乗り切れたのハ、奇跡だったヨ。)
(でしょー?わっちなんて、何年も朝食アレだったんだからー。)
(ショコラ。お前、よク死ななかったナ?)
(ランチからは、まあ会食だったからねえ。)
(なるほどネ。一食だけデもいいかラ、治るまデお願イ・・。)
(キーさんに頼んでみるねー。毎回だとバレるからぁ。)
(うン、同志ヨ。)
「どうかしましたか?先ほどから抱き着かれておりますが。フネラーレ、痛いならムリをせず、横になられたほうが。」
覗きこんでくる給仕姿のエレゼン。
「ア!大丈夫!ショコラにお礼ヲ言ってただケ。」
「そうですか。それではお嬢様。フネラーレの傷に障ります。この辺で。」
「うん、ベッキィ。じゃあねぇ。」と手を振る。が、アイコンタクトはしっかりと。
寝台にもぐり込みながら「持つべキは友、だナ。」と先ほどの美味を思い出し、にんまり。
数日後、寝台からやっと出れるようになった黒髪の少女は、大きく伸びをし。
「いやァ、助かっタ・・」と、二人の差し入れ調達に感謝しつつ、ベッキィの恐ろしさに、改めて気づかされた。
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ヤキソバはUFOしか認めない
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月22日 03:16
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>ぼびー。俺の塩も捨てがたい。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月22日 03:16
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ヤキソバは地元では焼きそば弁当が有名です。
でも一平ちゃんのあのマヨネーズがたまらない…
Jouram Monde (Sargatanas) 2013年02月22日 03:21
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>ジョーラムさん、いらはいw
いつの間にか焼きソバトークに・・・。
相変わらず、ぼびーは話のネタを全く別次元に持っていくなあw
そのハズレップリに感服しますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月22日 03:35
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ペヤング ソースやきそばが好き
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月22日 18:11
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>マルスさんまでw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月23日 00:10
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ワシはインスタントやきそばはトラウマがあってあれ以来一度も食べたことないんじゃよ~w
インスタントではない焼きそばは食べれるんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2013年02月25日 14:27
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>王様、もしかして・・・
お湯入れて、一緒にソースまで入れちゃった、とか。
ありがちありがちーw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月25日 16:06
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お湯とソースを一緒にしちゃうのは誰もが通る道w
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月25日 16:58
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>マルスさんもですかw
もちろん、あたしもですがw
このエピソードは、フネラーレのかわいい所が出したかったのに・・;;
焼きソバに・・・
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月25日 17:18
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もちろんその経験もあるんじゃがそんなもんではないんじゃよ~w
ここに書いていいものか悩むんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2013年02月26日 08:05
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>王様。そんな・・・
ヤヴァすぎる話ですかw
知りたいような、知りたくないような・・・。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月26日 11:52
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だばぁ
http://nicoviewer.net/sm9521128
Miyavi Ozzy (Hyperion) 2013年02月26日 18:33
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え~っとじゃよ~w
失敗としてはお湯切りと一緒に麺まで流し台にダイブしたりじゃよ~w
トラウマはじゃよ~w
食べた後になぜか気持ちが悪くなって小一時間ほど便器とお友達を
してしまったんじゃよ~wそれ以来(小2ぐらいじゃったかな~w)
食べてないんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2013年02月27日 08:40
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>みやびたんwないすw
だばあ。
ちょーワロタw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月27日 09:43
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>王様。そんな過去が・・・。
あたしコーヒー牛乳飲んで(小学校時代)登校中に、巻き戻しをしまして。それ以降牛乳が飲めなく・・・。分かります。ハイw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月27日 09:45