471書き物。冒険者達の日常・・・。嬉しいひとコマ群。

「ひゃっほー!やっぱり、わっちって見る目があるにゃあ。」
森の街、グリダニア。
一人のミコッテの女性はミコッテ訛りをまるだしに、屋台で舌鼓をうっていた。
情報屋、それも「裏」のなんて職業に身を投じている彼女は、大手の、
例えばカーラインやリムサ・ロミンサにあるレストラン、ビスマルクには到底顔をだすことができない。
もちろん、行けば食事の一つもできるハズだが。
少しばかり名前と顔が知れすぎると都合が悪い。
そして、実家もあるためリムサ・ロミンサには行きづらい。というか、行きたくない。
ウルダハあたりだと大丈夫そうだが、ホコリっぽい空気はちょっと遠慮したい。
ついでにいうなら、彼女は何の戦闘技術も持ち合わせていない。
そんな中、あの街のスラムで女一人で暮らすなんて、自虐行為か、娼婦希望かどちらかだ。
というわけで、居心地のいいこの街なのだが。
そんな彼女の趣味。
屋台探し。
大手に行けないなら、屋台で食事を。という事から始まった彼女の趣味は、
数多の屋台を踏破し、ドコに行けば美味しいものが食べれるかのセンスを身につけていた。
ちなみに今、屋台の横手にあるベンチで食べているものは、
茶色く色付けされた・・・ソースだろう・・・麺類で、具が海産物というもの。
グリダニアは海が遠いため、海産物自体が珍しい。しかも大ぶりな切り身でソースとの相性も抜群だ。
「コレはココ最近でナンバーワンかにゃあ。」
ほくほく顔で一皿平らげ。
「ねえ、コレ、持ち帰りできるかなあ?」「あいよ、ちょっと待ってくれよな。」
今頃「家」でベッキィの「料理」を堪能している黒髪の少女を思い出し、差し入れしてあげようと。
「うん、わっちって、エライ。」
「ほいよ、嬢チャン。オマケしといたぜ!」
「ありがとーね~。」

フネラーレは涙を流してこの差し入れを食べた、という・・・・。




リムサ・ロミンサ。海洋国家の宿の一室。
ブルーグレイの髪を肩のあたりで切りそろえた少女は、かたわらの椅子に腰掛ける男性、ウルラに声をかける。
「ねえ、ウルラ。どうだった?カニ。」
クセ毛の金髪を短めに刈った少年、から青年、と呼び変えたほうがいいだろうか?
ウルラは愛する妻、マユを見ながらあの味を思い出す。
エールポート自慢のカニ料理。
「いやあ、ボリュームといい、味といい、抜群だったね。よく見つけたね。」
「んふふー。ま、偶然だけど。また行こうね。
今回はあの大灯台の夜景を見る間がなかったけど、月明かりのあの灯台はちょっと見とれちゃうんだよ。」
「そうか、それはいいな。それで?」妻の顔を覗き込む。
「え?」
「言いたいことがあるんだろ?」
「え?あ・・・。」顔をうつむける。「わかる?」
「ああ。マユはわかりやすいよ。」
「あのね・・。赤ちゃん・・・できたみたい・・。」
「そうか!よくやった!ありがとう!マユ!」
「うん・・・ありがとう。この二ヶ月ほど・・その。月のものが来なくって。たぶん、だけど・・。」
「そうか。でも嬉しいニュースだ。おれ以外にはまだ話していないんだろ?皆でお祝いしよう!」破顔する青年。
「うん・・でも、ちょっと恥ずかしいな・・。」
「男の子かな?女の子かな。どちらでも構わないが、元気な子を産んでくれよ。マユ。」抱き寄せる。
「うん。」
「あとは・・しばらく冒険には参加できないな・・・。それが痛しかゆし、ってところか。
お腹の子にもしもの事があれば、おれは悔やんでも悔やみきれない。しばらくは大人しくしておいてくれよ。」
「うん、わかった。でも実家じゃなくって今の家がいいな。その、産まれる前は母さんに見てもらわないとだけど。」
「そうだな。できるだけ家に帰るよ。さすがに冒険ナシじゃ腕も鈍るし、儲けが無い。というわけで家を護る任務を授けよう、マユ。」
「うん。気をつけてね。」
「君の突撃暴走さえなければ、大抵はうまくこなすさ。」にっこり。
「ひどーい!」ぷうっ、と頬をふくらませる。
口づけを交わし、夕食のために外に出る・・・・。



砂塵舞い散る都市ウルダハ。
その一角にオフィスを構えるアリティア物産。
主に貴金属の取引を行っている。
そして、その社長用のデスクには。
「あー、コッチはリムサの本社経由でよろしく。コレは・・掘り出し物だなあ。
エシュテムの方に高値で交渉してちょーだい。あとアマジナの方は、
まだ品物が来ないの?ああもうっ!またセネっちに叱られるじゃないのお!」
黒髪に白い髪飾りのミコッテ、エリス・パンテーラが朝からの業務にイラついている。
「社長はそろそろ帰って来そうだし、もう一体全体、この書類の多さとか在庫とかどうなってるんだよおう!」
アリティア産業株式会社の子会社であるところの「物産」だが、ウルダハに居を構え、
本社(リムサ・ロミンサにある)の第二倉庫管理者であるところのエリスは社長代理という役どころ。
いまだ社長が帰ってこない中、膨大に溜まった書類整理に追われている。
だが、いい加減を絵に描いて動き出した性格と揶揄される彼女だが、会計処理能力は秘書である、
第一倉庫管理者のセネリオ・ティーグレをもしのぐ、ともいわれる。
「まーったく、社長追い出しておいて仕事溜め込ませて。セネっちには今度何か驕ってもらわないと。」
グチ。
先日、倉庫管理で後輩のレイとサボっていたら、「教育」と称して本社の雑務及び、書類整理をやらされた。
そして翌日にはコッチのオフィスでこの仕事量。
「っぱねえ・・・。」とか言いながら、目線は書類に集中してペンは動き続けている。
「ハイコレ。アマジナに持って行って!」書類を部下に渡す。
アマジナ鉱山社やエシュテム工房はお得意様なので特に書類が多い。
「はぁ・・。」
溜め息に。
「エリス様、少しご休憩されては?」部下が包みとお茶?だろうか。カップを持ってくる。
「そーしよっかなー、で、ソレなあに?」
「はい、レイ様から届きました。」
「ふうん。置いといて。ありがと。」

包みを開ける。
パウンドケーキ。それもビスマルク謹製のものだ。
ひゃっほう!
「レイちゃんには今度何か驕ってあげよー。」
甘党の彼女には最高のご馳走だ。
「さてと。コレ食べたらお仕事かたづけないとねー。」
だが、とりあえずはケーキからだ。
エリス嬢の日常はこのようにして始まり、終わっていく。


----------コメント----------

ネイチャージモンみたいだ・・・
Bob Dalus (Hyperion) 2013年02月19日 16:46

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フネラーレの目にも涙・・・、か。
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月19日 16:56

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>ぼびー、それわかんないwww
寺門ジモン?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月19日 17:24

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>マルスさん。察してあげてw
二日間焦げたトーストしか食べていない彼女が差し入れで「海鮮焼きそば(いっちゃったw)」それも美味。
涙なくして語れないんじゃないかなあwフネラーレもショコラもリムサ出身だし、海鮮モノはやっぱり。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月19日 17:27

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そうそうw
最近グルメ番組もやってるらしいよw
Bob Dalus (Hyperion) 2013年02月20日 15:32

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>ぼびー、ほうほう。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月20日 20:35

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