468書き物。冒険者達の日常・・・。あるいは。

「ふにゃあ・・・」
グリダニアのカフェ、カーライン。その上にある宿「とまり木」
高いスツールの足掛けの名の由来になっているだけあって、冒険者の宿としては上々である。
「高いところにいるんだろ?」ってばかりに。
そしてそれほど高くない寝台に寝転がりながら、銀髪のミコッテの少女は大きなアクビを。
ル・シュペヒトの朝は早い。
白魔道士の彼女は、陽が登る前から起き出し。

そのまんま寝る。

それを早い、と言っていいものかどうか、ルガディンの青年グリュックが問いかけたが、
「起きた後、ご飯食べるのか寝るのか。行動の選択は自由だにゃ?」
と切りかえされてぐうの音もでなかったのは今に始まったことではない。
LSウェッターハーンの参謀でもある彼女は、さすがにクチ賢しい。
先日もどこぞの富豪のどら息子を拉致、ではなく逃亡させるのに一役買い、その手腕も悪くない。
と、自分では思っているが。少し穴があったのを自覚している。
もちろんそんなコトは言わないが。
「ふにゅうう・・・。」
寝返りを打ち、もう一度まどろみに入ろうとするが・・。
ちょうど朝日が窓から差込み、顔を射す。
サンシーカーの出自の彼女としては、この光に抗う事は本能的にできない。
「みゅううう・・・・」
寝ぼけた目蓋をこすりつつ。
シーツをのけ、寝台から降り立つ。
「今日・・・なにかあったかにゃ・・?」
大きなアクビを残しつつ、まずは顔を洗いに。
そのまま水浴びしようかと考え、やっぱり体は拭くだけにする。

腕に巻いたアクセサリについたパール。
体を拭きながら、伝心する。
「ねえ、今日って何かあたっかにゃ?」

ほどなく返信が。
「ああ、マリーがファーネの修行に付き合うそうだ。」
「ほへー。」風見鶏を模したアクセサリにつけたパールに意識を向けながら。
「なんでも剣の扱いに慣れたいらしい。マリーはマリーで、幻術をもっと練習したいんだ、って言ってた。」
「んじゃ、私達は特に出番がないってことにゃ。」
「そうかな?一度くらいは様子を見に行くのもいいんじゃないかな?」
「ヤメとこうにゃ。」
「ふ・・む・・。」
(ああ、ダメにゃ・・ベルは、本当にこういうのには疎いのにゃ・・。)

そうなると。
んーむ。今日の予定は無いし・・。
もう一度寝台に戻る、というのも捨てがたい手だが。
それよりも。
寝台の横に積み上げてある書籍に目を向ける。
一冊、300ページほどもある。
これが12冊。
もう何回読み直したか分からないが、彼女の宝。「戦術論」と「戦略論」
本を紐解き、まずは戦術から。
古代の兵法家が記したこの書記は、彼女の知識のよりどころでもあり、作戦立案の軸でもある。
ほぼ暗記している文面でさえ、実戦をすれば書いてある事の正しさと、解釈の違いが浮き彫りになってくる。
今回は、「戦術論」より、「兵は脅かすなかれ。」の項を読んでいる。
つまり、必要以上に相手に脅威を与えると、死に物狂いで向かってくる。
それならば程々の脅威で相手を敗走させれば自軍の兵力の負担が減る、という内容だ。

「うーん。先日の策はどうだったかにゃあ・・。偽策。か・・にゃ・・。」
違うページを開く。

「囮をもって敵を欺く」
本を開き、「コレはやっぱ常套手段なのよにゃー。」と尻尾を振りながらご満悦。

こんこん。ノックの音。
「はあい?」
「あ、ルー。これから朝御飯にカフェに下りるんだけど。一緒にどう?」
「はいはい、りょーかーいにゃ。ファーネちんは居るのかにゃ?」
「・・・居ないわよ。んじゃ先に下りてるから。」金髪の少女はたたっ、と音がするくらいの早足でドアを離れたようだ。

マリーもまだまだにゃあ。
ま、私もベルを落とせないしにゃあ。

とりあえずの服・・・
ゆったりとした長衣(ローブ)ではなく・・・。
薄いブルーのシャツを選ぶ。それと丈の短い濃い青のパンツスタイル。
普段着はあまり持ち合わせていないが、マリーの残念すぎるファッションセンスに一石を投じるべく、あえて。
足元はサンダルしか合わせられないが、仕方ない。
銀髪を紐で束ねながら、階下のカフェに。
「何食べようかにゃあ・・・。」

ル・シュペヒトの平凡な一日はこうして始まる・・・・。


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あ・・・500の大台のってた・・・
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月14日 11:02

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500の大台、おめでとうございます。
そして、長編「それからの」シリーズ完結?お疲れ様でした。
途中から小説に出演させていただいて、本当にありがとうございました。
これからもいじってもらえるとうれしいですw
FF14小説を応援しています、頑張ってください。
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月14日 16:40

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>マルスさん、ありがとうございます!
気がつけばこんなにw
「それから~」なお話は終了ですが、いくつか伏線を残しています。
ですがしばらくはノンビリとした展開に・・。
出演ですが、非常にありがたいコトですよ。ネタ作りにも貢献していただけましたし。
年明けは書けなかったけど、インできてからはほとんど毎日書いてるなあ。中二かあたしはっ!?ってくらいw
そういうわけで、コンゴトモヨロシク(メガテン風w)
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月15日 08:49

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