434書き物。自己紹介?4

昼も過ぎ、少し暗くなり始めたグリダニアの街を郊外に足を向ける。
比較的穏やかで、暢気な街ではあるが、どこにだって暗がりはある。
当然、この街にだって。

「よお、ねえちゃん。この先はちょっとおっかないぜ?俺が案内してやろうか?」
と、なんとも胡散臭い男が寄ってくる。
「えーと、その。ザコその1さんには用事が無いのでお引きとりを。」
「つれねえなぁ。ぐぁっ!」男の股間に膝蹴りを食らわし、さっさと・・

「おっそーい!ちゃんと連絡したでしょ!」と、あたしは目の前の銀髪の青年にボヤく。
「ああ、すみません、まゆりさん。ちょっと・・その。ご機嫌がナナメでして。彼女。なだめるのに少し・・。」
「気分屋だからねー、あの子。」と頷く。
「ええ、まあ。他の二人は大丈夫ですよ。特にショコラは大はしゃぎですし。」
「あはは、あの子は好きそうね、こういうの。」
「ええ、そのせいかフネラーレが反対にむくれてまして。」
「へぇ?どうして?」
「いや、その。女性ならでは、といいますか・・見栄えのする服でアレコレと・・・。」
「なるほど。それはそれで楽しみかしらw」

一軒家。森と暗がりのなかにひっそりと建つその「家」に彼女達が暮らしている。

コン・ココン・・コン。
符丁のようだ。ノックの回数や、音の大きさで大体の内容が中に伝わる。

がちゃり。ドアが開く。ノックをした青年が「どうぞ。」と勧める。
「お邪魔しまーす。」
「どうぞ、ようこそお越しくださいました。まゆり様。お部屋までご案内いたします。」
銀髪、漆黒の肌のエレゼンの女性は給仕服に身を包み、どうぞ、と先を促しながら廊下を進む。

そして同じく符丁のノックの後、静かにドアを開けて中に案内される。
「まゆり様をお連れしました。」
「どうも。まゆりです。今回はインタビューなんかに来てみたのだけど。って。」
リビングには椅子が二つしかなく、クッションやその他がとりあえずの場として用意されていて、その大きなクッション、部屋の中央よりの場所。
ちょこん、っとお人形みたいな少女がぺたん、と足を出しながらクッションに埋もれている。

それを見ながらクスクスわらっているミコッテの少女。
憤懣やるかたない、といった空気がかもし出されている黒髪の少女はその風貌もあって、いよいよもって「お人形さん」に見える。持っていると呪われそうな。

「それでは、僭越ながらワタクシ、ベリキート・ラピスラズリが皆様のお名前などのご紹介をさせていただきます。」給仕娘のひと言に。

「いいヨ、自分ですルかラ。僕はフネラーレ、元海賊、今は神勇隊のイレギュラーメンバー、主に暗殺がお仕事だヨ。他には?」
あらためて少女を見る。大きなピンク色のクッションに埋もれるように、
真っ白のドレスに胸元にピンクのリボン、スカートはおそらくフリルが満載だろう、ふわふわした生地がクッションからこぼれている。
そしてそのふわふわから、ほっそりとした足が出て、これもまたお人形さんのよう。
頭にはハットを小さくした髪飾り(同じく白)にピンクの生花が添えられている。
「ジロジロ見るナよ。」と睨んでくる。なるほど、ご機嫌ナナメはこのせいか。
「あ、じゃあ、今年でいくつだっけ?」
「19だヨ。そンで?」
「弓はまあ50でしょ?そのほかには?」
「あァ。斧が40、コレは海賊時代の名残だネ、槍が50、剣が45、格闘が35,6だったかナ。魔法の類はサッパリだヨ。
それと、釣りが50、調理が30くらいだったかナ。たまに手伝いにいってたヨ。」
「ほうほう。ところでその「眼」だけど。」
「あァ、コレね。」前髪をかきあげると左眼を指し、
「イージスの眼、だってサ。暗いトコや遠い物でも全く気にならないネ。便利だヨ。ヘタすりゃ死ヌけどネ。」
「うーん、物騒だね。」と。   やっと開放されたせいか、フネラーレはぼすん、と頭までクッションに倒れさせた。

「じゃあ、お次は・・。」
「はいはーーい!わっち!」
「妙なテンションだね。じゃあお名前からどーぞ。」
「ショコラだよ!」「フュ・グリューンお嬢様です・・・。」
今、横手から・・・。
「ベッキィは少し黙ってて!」「はい。お嬢様。」
「なかなかアップダウンというか・・。主従関係?」
「ベッキィはねぇ、実家からのお目付け役みたいなものなのお。」「そ・・そんな。」
「ふむふむ、まあその辺は彼女からも聞きましょう。ところでどうしてショコラって名前に?」
ん・・と少し考えてから、椅子から立ち上がってクルリと回ってみせ、もう一度腰掛ける。
「全体的にチョコ色だから、だよん。そっちの冴えないヒトにつけられちゃったニックネームだねえ。」
とそこだけは碧い瞳をくりくりさせている。
「あと、部族的にはサンシーカー?だっけ?」
「わっちはムーンキーパーだよ。瞳の光彩が縦長のヒトがサンシーカーだねえ。」「なるほど。」
「スキルとかは?」
「わっちは、戦闘とか魔法はさっぱり。裁縫が40くらいかなあ。今日のフネラーレの服もわっちが作ったんだよお。
採寸のときに暴れて暴れて、困ったんだ。」「いらねェ事言ってンじゃねェ!」
「でも、その年でって、いくつだっけ?」
「16、あ、17にこの前なったとこかなあ。」
「で、裁縫の腕前はどこで・・?」
「実家。嗜みとやらで、ひたすらお稽古事が・・・。
んでも、コレだけ腕前が上がったのは、やっぱりコッチ来てからだなあ・・・自作できないと辛いお仕事かも・・。」
「なるほど。情報屋だったよね。他には?」
「逃げ足と、どこの屋台がウマイかの情報はバッチリ!」
「食い逃げ・・・・・」「しなーい!」
「あと。記憶力は抜群でね、それでスカウトされたんだよ。」
「そうなんだ。あたしもボロが出るとコワいからこの辺で・・・。」
そう言って、給仕姿の女性を見る。
「では、ワタクシが。」
「あ、お名前は先ほど聞いたから、まずはお年から、かな。」
「はい。23歳にございます。」
漆黒の肌のエレゼンの女性はつややかな、そして透けるような銀髪を後ろにまとめ、確かに大人の雰囲気である。
「ふんふん、あと部族で言えばシェーダー族かしら?」
「はい。ご明察の通りです。次のご質問が仕事ということでしたら、お嬢様の身の回りのお世話と、護衛になります。」
「と、いうことはクラスとかジョブはどれほどでしょう?」
「はい。格闘が50、槍が50、斧が40、幻術が36、呪術が30でございます。
ジョブはモンクのみ・・。一般系ですと、裁縫が少し、調理も少し、という程度です。
お世話をさせていただく身としては、お恥ずかしい限り。今後、精進いたします。」
「ベッキィのドジっぷりは、わっちの方が心配する~。」「お嬢様。お気遣いありがとうございます。」
うーん。なんだかなあ。
「それと、申し遅れました。お嬢様とワタクシはリムサ・ロミンサの出自ゆえ、リムレーン様を奉じております。」
「わっち、逃げるときだけしか祈ったこと無いけど・・。」
「あははwでは、最後にそこの怪しいヒト。」
銀髪の青年。どこか冴えないという言葉がしっくり来る。
「え?ああ、俺か。怪しいって・・ひどいな。キーファー、だ。」
「家名のほうは?」
「無いよ。本名はこの稼業に入ってから使ったことが無いから忘れちまった。だからこの名前は偽名だよ。」
「キーさん、なんか哀愁漂う台詞でまゆりさんを口説こうとしてる~。」「してない!」「ショコラ、ほっといてやれヨ。」「く・・。」
「えー、では。お年のほうは?」
「25だ。ついでに、戦闘や魔法なんかは一切できない。あと逃げ足はそれなりだが、ショコラにはかなわない、ってところだ。」「使えネー。」「・・・。」
「ではお仕事は?」
「主にショコラが集めてきた情報の裏取りとかの整理と、フネラーレとの連絡役、あとは交渉かな。しがない役人だよ。」
「大変そうですね・・・。」
「ショコラは勝手なことばっかりするわ、フネラーレは気分屋だし、ベリキートは・・」
ここで女性3人から睨まれていることに気づき、沈黙は金だという情報屋の金言を思い出す。
「まあまあ、それではこの辺かしらね。お邪魔しましたー。」
「はい。まゆり様、お気をつけてお帰りくださいませ。もし何でしたら道中お見送りさせていただきますが。」
「あ、大丈夫。うん。そうそう、フネラーレ!そのドレス似あってるわよ!」「うっさイ!」
「じゃね♪」手を振りながら、玄関までは送ってもらえる。

なかなかスリリングな職場の割には女の子が多いわねw


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フネラーレ様本命キタコレ!wってコッソリ呟いた私がいたw
ダウンするまで書きつづけていらっしゃるとは、本当にすごいです(^-^)
Anjulia Unicorn (Hyperion) 2012年12月30日 20:14

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>あんじゅさん、いらっしゃいw
そか、フネラーレのファンだったのねw正統派のマユとは違う切り口のヒロインですし、あたしも気に入っておりますw
ありがとう♪ダウンまで、まだいろいろできそうですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年12月31日 00:22

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あ。ショコラの年齢、間違えてる・・・。(´・ω・`)20だった・・。まあ、サバ読んだってことでw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年01月31日 08:58

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