432書き物。自己紹介?2

木漏れ日の差す森の中、ではなく。
森と共にある街。グリダニア。行きかう人たちはノンビリで、牧歌的な雰囲気。
そして、そろそろ黄昏も近くなった頃。ポニーテールの女性がキョロキョロと・・。
「お。」
一人の少女を見つけて声をかける。
「ふにゃ?」
「どーも、初めまして、じゃなかったっけ?」
「ん?」クセ毛の黒髪をショートにしたミコッテ。公園でのお昼寝が終わり、職場「カーライン・カフェ」に向かうところ。
「まゆり、って言います。ちょっといんたびゅー!」
「にゃあ?」彼女にしては珍しくミコッテ訛りが出ているのは寝起きのいきなり、だからだろう。
「あ、あの、その?」
「ああ、大丈夫。ミューヌには連絡してあるから、少し遅れても。歩きながらでいいかしら?」
「はにゃ?」
「オーアちゃんだよね?」気軽なポニテの女性。
「はぃ・・。」いまだによくつかめていない。
「ええと、本名はミュ・アハート、でいいのかな?」
「あ、そ、そうなんです!みんなでよってたかって、オーアリールって。」
ふむふむ。歩きながら。
「ちなみに、そのオーアリールって?」
「ネコミミ」(正確には耳頭)
「まんまですね。なぜ?」
「わかってたら、あたいだって文句の一つも言うけど!」
「それと、お昼寝が大好きらしいですが。」
「え、あ。うん。その。よく間違われるんだけど、あたいはムーンキーパーだから・・。夜型なのだ。それと、公園でお昼寝はヤミツキだよ!」
「なるほど。そういえば同僚の子達は?」
「ああ、今から入れ替わりだから・・カナルがそろそろ、かな。イーリスはもう少し遅め、というか遅刻しかしない。」
「あはは。」
「っと。おーい。カーナールー!」元気に手を振る。
通りの向うから、白いワンピースの人形のようなエレゼンの少女。こちらに気づくと、小走りに寄ってくる。
「オーア、珍しいわね。わたしが探さなくてもいいなんて。それと、こちら様は?」
「あ、ええと。」
「まゆり、といいます。いんたびゅーなんかしております。よろしくね。」手を差し出す。
「ああ、はい。カナーリエンフォーゲル・パルメ、といいます。」
腰を折り、スカートの端をつまんでお辞儀をする。色白で銀髪に近い薄い金色の髪を伸ばした少女は少し背が高いがエレゼンならではだろう。
「カナルでいじゃない。」と横からオーアが。
「いくない!」と返す問答は年相応だろう・・・と。
「そういえば、二人はおいくつ?」
「わたしは18、そろそろ19になります。」
「あたい16-、カナル、行き遅れー。」「殺しますよ?」
「っと、ミューヌさんに叱られるから!あたいはこれにてー!」と走り去る。
「ええと、カナルさん?」
「まあ、いいですけど・・。カナーリ、の方がありがたいです。」
「というと?」「カナルって、男の子みたいな呼び方じゃないですか。」
「なるほどね。じゃあ、さっきのオーアって子は?」
「あの子はいつも浮かれてるから、ネコみたいに落ち着かないって意味で、イーリス、あ、もう一人の子ね。と一緒につけたあだ名なんです。」
「ふむふむ、たしかに言い得て妙なのかしら・・。」
「あ、そろそろ夕餉のお買い物に行かないと。母と待ち合わせていますのでこれにて失礼します。」ぺこり。
「あ、お手間とらせちゃってゴメンねー。」手を振る。

カーライン・カフェに足が自然と向く。
と。
目の前にふわふわした金髪の少女が。
「もしもーし。そこの彼女。」
「え?ふぁ?私?」振り返った少女は碧い眼の愛らしい顔立ち。ふうん。兄妹とはいえ、似てないなあ。
どこか飄々として、皮肉な笑みが似合う兄と、自然な感じで周りが和む笑みの少女。双子ね・・。
「ただいま絶賛いんたびゅーなぅ!」よくわかんない誘い言葉に。
「あ、そうなんですか?なんでしょう?あ、もしかして、まゆりさん?」と気さくに。
「おーいえーす。」
「なんだ、あらたまって。なんでしょう?髪型かわってて一瞬わからなかったんです。」
「まず、お名前から!」
「いきなりですねwマルグリット・コリーナ、18歳です。誕生日は・・」
「あ、お兄ちゃんから聞いてるから、ソコはOK。」
「そうなんですか。あとは?」
「スキル、ですかね。あとやっぱり信仰はラールガー様?」
「あ、はい。お兄ちゃんと同じく、というか、キャンプ・リトルアラミゴだと皆そうですよ。アラミゴの守護神ですし。」
「そういわれればそうですね。」
「で、技術だと・・。剣術がようやく40に届きました。それ以外は・・。ぼちぼち・・。
格闘は最近LSのグリュックさんとか、マユ義姉さんとかに教わってもうすぐ30くらい。
槍もギルドに友達がいるからおなじくらいかな。あとは、釣りとか、園芸とか。
そのへんが30くらい、調理も20くらいなんで義姉さんに教えてもらわないと。」
「お兄さんのウルラ君も釣りとかしてたけど?」
「ええ、キャンプだと自給自足なので、必然的に釣りはやりますね。子供でも安全ですし。」
「なるほど。」
立ち話もなんですし、とカフェにそのまま。

「いらっしゃいませー!」と勢いよく、先ほどのミコッテ、オーアと。
「いらっしゃいまっせー!」と、赤毛のヒューランの少女。
イーリス嬢、発見だね。
「とりあえず、ワイン二つね!」とオーアに。そして。
「イーリス、だったかな?少し時間いいかなー?」
「まゆりさん・・・いきなりワインで、しかも私は放置?」
「いやいや、少しだけ。イーリスって、結構ナゾっぽいから、話聞くの面白そうじゃない?」
「あの?」と赤毛の少女。「わたしに御用?ですか?」
ソバカスの残る童顔に赤毛は長めだがうまく後ろでまとめてある。
「ええ、まゆりといいます。いんたびゅーちゅうでして。軽く自己紹介なんか。」
「あ?え?と・・そのお・・。ミューヌさん!?」後ろを振り返るが、女主人は折込済みとばかりに頷いただけ。
「はあ。じゃあ。イーリス・フォルンファーネ、です。今は神勇隊所属の姉と二人暮らし、歳は17です。」
「ほほう。お姉さんは今どちらに?」
「たぶん、詰め所じゃないかしら?わたしには任務とかは教えてくれないから。」
「後は、噂が好きなのよね。イーリスは。」横からマリーが。
「そうですよっ!マリーさんも噂になってくださいよね。ベルさんとか。」
「なっ!」
「そうなの?マリー?」
「いえ・・。あの人朴念仁過ぎて、対象になんないんです・・。」
「あら・・。」
「いい人、なんだけどなあ・・。」がっくり。
「まあ、出会いはあるさ・・・。」
うなだれた彼女に慰めとばかりに肩を叩いてから、お勘定。

次なるは・・・。

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