「ふぁあああ・・・。」大きなアクビに。
「おいおい、年頃の女の子がそれはどうかな?」
ふわふわした金髪の少女に、黒髪の青年がひと言。
「あ。」見られた。
「や!これはですね、仕方のないコトなんです!」苦し紛れ。
「まあ、そうだろうね。」柔らかな返し。
うう。
「ん?ぐああああああ・・・。」さらに大きなアクビ。
「グリュックは見飽きたので問題ないですよ。」
「んん??」
ルガディンの青年は?マークで顔を書き換えている。
「あ、気にしないで。お願い。」マリーの懇願も意味が解らない。
「ああ、まあ。それでいいなら・・。」と歯切れも悪く。グリュックは起き上がると朝食の準備に取り掛かる。
「あたしも手伝うにゃ。」とルーもパンとバターを取り出し、温めるための準備を始める。
私も手ごろな石を集めて作った窯に枯れ木を入れるべく、周りを見て回る。
いくらかの枯れ木を窯に入れ、ルーの術で火を入れる。
その上に鍋でお湯を沸かすと、ベルがお茶の葉を入れる。
ほのかに甘い香りを醸すお茶の葉と、火の周りで温められるパンと、干し肉。
バターをたっぷり塗って、干し肉を挟めば完成。ほのかに甘い香茶。最高の朝食。
「じゃあ、今日は・・。」
リーダーのベルが、アップテンポな感じで今日の目標を告げる。
「昨日、アレだけできたんだから、今日のお昼までには昨日以上に成果を挙げよう!」
「おおー!」
皆の士気は高い。
「うん。やるよ!私!」「はは!調子乗って転ばないようにな!がはは!」
「もう!グリュック!」「お、オレのこと呼び捨てにできるようになったな。いいじゃねえか。その調子だ。」
「あ。」「マリーは遠慮しすぎだってのにゃー。」「はは、そこがいいところなんだけどね。思い切りも必要だね。」「むー。。。」
「よっし、お腹も満足したことだし。狩りにいこうか。」
「おう。」「はい!」「にゃ。」
黒い毛の四足獣、見た目も怖いが、その力も相当のもの。
まず。
「てぃっ!」とグリュックの戦輪(チャクラム)が走り抜ける。
獣の横腹を切り裂いて、手元に戻ってくる。(どうなってるのか・・・?)
そこで獣がこちらに振り向く。
「てやああっ!!!」と叫び声と同時に盾と剣を打ち鳴らす。
獣はこちらに意識を移し、突撃の構えを見せる。
「せいれいさんせいれいさん、ちょっと寄り道してくださいにゃ。」
ルーの言霊。
小石が寄り集まって、壁になり、「せいれいさん、ちょっと助けてにゃ。」
風の一陣が鎧にかぶさる。
同時に、獣の突進が体に突き刺さる。が。
ガキっ!
小石の塊が障壁となり、微塵も手傷を負わない。
盾を振り払い、剣で横なぎの一閃、そのあとにはもう一度上段から一撃。
次いで、ベルの槍が横から突き崩すように振るわれる。
さらに、後ろに周っていたグリュックが拳を叩き込む。
「もう少し!」
私はさらに剣での一撃に気合を込め・・。
撃ちこむ手前で、盾での防御に切り替える。
ガッ!
「いたた・・。コイツ、昨日のより強い!」
ルーが後ろから癒しの術を唱えてくれる。
真正面からの盾はやはり負荷が大きい。捌く術をもう少し考えなくては。
お兄ちゃんなら・・いやいや・・思考を止める。出来ることを。
まず、剣技ランパート、センチネル。
気の練り方で扱える技。
そして、「食らえ!」と。剣技レッドロータスで確実にダメージを与えながら、挑発する。
その意図を察したのだろう、ベルが技を繋いでくる。さらにグリュックも。
後は、盾に隠れるようにしのぎきれば、倒せるだろう。
「よう。おつかれ。」ベルの声は軽やかだ。
「うーん、つかれたー。」本音が出る。
「まあ、マリーの腕前が確実に上がってるのがわかるからな。がはは。」
グリュックはホメているのか、からかっているのか分からない。
「あ、マリーは上手になったにゃ。今までパーティで戦闘とかほとんど無かったんだにゃ。
それがココまでできてるのはスゴイ事にゃ!」ルー。
「あ、いや・・その。えへへへ。」ワケのわからない笑顔でなんとか・・。
(ルー、その話は黙っておいてって・・・。)
「よし。今日の狩りはこれまで。グリダニアに戻って、祝勝パーティーでもしようか。」
「お、リーダーのオゴリか?」「さっすがにゃあ!」「いただきまーす!」
「お前ラ・・・。いいだろう。マリーの剣技習得もできたしな。
あとは、ルーもなにか精霊達からの声が増えたんだろう?お祝いくらいワケもないさ。」
「さっすがああ!!」
「じゃあ、エーテでいったん解散、その後、月が中天にかかる前にカーラインでな。」
「おう。」「はい。」「にゃ。」
「今日もいい一日だったな・・。あ。カチューシャ・・代わりになにがいいかな・・。」
露店にて。
「あ、その花飾り、いくらですか?」