394書き物。婚儀の最中・・・。

「いよおおおっしっ!」

オレンジ色の髪の少女、シャンは姿見で自分の姿を確認し、
同じくオレンジ色の尻尾から、純白のドレスまでちゃんと観た。

「いくにゃあ!」
かたわらの夫になるヒューランの少年。
彼は、昨日から着ている礼服。

昨日は親友たる少女の披露宴で着ていたものだ。金銭的にも他にも。
まあ、同じでもいいかと。

だが、やはり新婦たる自分は努力せねばなるまい。
しかも、親友夫婦には黙ったままのサプライズだからなおさらだ。

おしゃれ番長、ことイーリスのチョイスだけに、さすがのものだ。
ロングドレスも提案してくれたのだが、昨日その親友、
マユが階段で転げ落ちそうになって、という、そこまでマネはしたくない。なんせ夫がコレだから。

「じゃあ、いこうか。」と柔和な表情の夫。ネルケ。
先ほどエレゼンの少女、カナルから「そろそろ、です。」と合図を受け。
「どうやってマユちゃん達をビックリさせようかにゃあ?」
「うーん、先輩とぼくで剣舞でもします?」
「ネルケ君。先輩はヤメロ。」
もはや、目に殺気すらこもる。
「そ、ソレを言うなら!」
「何?」ツメはすでに戦闘体勢。
「ネルケ、君、もやめてください。」
少年の、当たり前の要求に、そういえば、と。
胸が痛む。

「うん。ネルケ。これからもよろしくにゃ。」うつむいてしがみつく。

「ああ、シャン。」
そっと抱きしめる。


こんなに華奢だったんだな、と思いながら、連れ添っていく。
ふふ、マユ達のビックリした顔が楽しみだ。

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