はぁ・・。
正直、気が重い。
彼にはああ言ったが。
ブルーグレイの髪の少女マユはゲートの前での抱擁の高揚感が薄れてくる。
ゲートを越えて、懐かしの町が見えてくる。
うが・・・。年頃の少女とは思えない感想を頭の中で作り出す。
むう。
その・・。どういう風に言えば良いのだろう?
結婚します。いや、しました。ああ・・子供ができそうです・・・。
子供に関しては、まだ分からないが・・。
出来るかもしれません。
どれもいいとは思いかねる。が。
もうすぐ父親の店が見えてくる。
ふと、思い出す音楽。
このリズムは、例え3000年経とうとも、繋いでくれる人がいる限り、終わらない♪そして、繋がっていく♪そして私は繋げていく・・・・♪
赤いローブのミコッテの老女がいつも口ずさんでいた歌だ。
つい、そのまま歌ってしまう。
「マユ?」
金髪の少年、今は夫のウルラが振り返る。
「あ、ごめん。」
うつむく少女。
「いや、責めているわけじゃないから。でも、いい歌だね。今度教えてよ。」
「うん!」満面の笑顔で返す。
そういえば、あのミコッテの老女はどこに行ったのだろう?
そして、この歌の締めくくりはこうだ。
大丈夫、うまくいくよ。そして、この話は永久にのこされるんだ。大丈夫♪
「うん。行こう!」
「こんにちは。初めまして。ウルラ・コリーナと言います。この度は、高名な斧使いとお伺いしています、アレッサンドロさんにご挨拶に来ました。」
「お。おう。」
手が止まる父。
金髪の少年は丁寧なお辞儀の後。
「実は、ご息女のマユさんと婚礼の儀のお許しをいただきに来ました。彼女とはすでに了解をいただき、後はご両親にご挨拶にと、いう次第です。」
「お、おう。」大男は、あまりの丁寧な挨拶に慣れていない。とりあえず頷いておく。
「ありがとうございます。それでは、マユとの婚儀の件、よろしいですね。」
「お・・お・・・おう。」
前日、妻とのやり取りでの結果、否もない。
(げ・・・父さん、素直に・・・こわい・・・。逆に怖い。)
「ありがとうございます。つきましては、婚儀の式をグリダニアのカーライン・カフェにてする予定です。
申し訳ありませんが、日程についてはまたご連絡させていただきます。」
「お・・。おう・・。」
ここで。
「あたしにも挨拶よろしく!」
グレイの髪の女性。
「あ、こちらは初めましてじゃないですからね。」と笑いながら。
「そうだね。」にっこり笑う。
「よろしくお願いします。」
「ああ、自慢の娘だ。大事にしろよ?」と、つついてくる。
「もちろん。」
「頼むよ!」満面の笑顔の魔女、いや、母親。
「それでは」と、テレポの準備に入る。
「ああ、気をつけてな!」
青い光に包まれる二人。