「なァ?」
黒髪の少女。
その長い黒髪は腰まで届き、真っ直ぐでさらりとしている。
そして、前髪だけが不自然に斜めにカットされ、左眼を隠すよう。
「はい。」
答えるのは、銀髪の青年、キーファー。冴えない顔だが、声も冴えない。
グリダニアの、とある一軒家。
「あのさア。」
少女の問いに。
「はい。」
「少なくなイ?」
「え?」
神勇隊のイレギュラーメンバー。フネラーレ。
それが彼女の「名前」だ。
元は海賊の出だというが、誰も確認したわけでもなく、まことしやかに噂だけが流れている。
葬儀屋、という(グリダニアの発音だと、フネラーレは言いにくい・・。)この少女。
「だかラ。報酬の話だヨ。ちゃんと聞いてる?」
一軒家のリビング。少女はゆったりした寝着で、聞いてくる。
う・・・。
正直、青年は困り果てた、と言っても過言ではない。
この少女は、ミッションの前後だろうが、なんだろうが、自分と会う時には常に下着だったり、
全裸だったり・・それで「見たナ?」とイチャモンをつけられ、給料のアップを押し付けてくる。
今回はきわどい寝着だ。透けていて、ラインがはっきり分かる。
せっかくだから、しっかり見ておく。
「だから、限界ですって!」
正味の話。
この見せてアップ、な給料は、自腹である。
まあ、確かに見た以上はそのくらい払っても、十分なくらいの魅力があるのだが。
イレギュラーな彼女の給料に関しては、全て「ないもの」として経理に申告する以上、
マネジメントしている自分では、なんともしがたい。
ついでに言えば、今回の「見物料」は前借りしてまで捻出したくらいだ。
差し入れのフルーツをほう張りながら、黒髪の少女は、「ふン。」と。
困った・・。
これ以上の申請は通らないだろうし・・。でも、今回は・・。
確かに追加予算でも組まなければ、ちゃんとした報酬には見合わないだろう。
「その・・。フネラーレ?」
「なんダヨ?」
「ちょっと、上に掛け合って来るから、もう少し待ってて。」
「いいヨ。その代わり利子が付くかラ。」
「え!」
「そりゃそうだロ?」
「ああああ、できるだけ頑張るから!」
「当然でしょ。」
少女は優雅にブドウを口に運んでいく。
「行って来ます!!!」
青年は慌てて走り出す。
「カルヴァラン?」
パールで。
「どうした?」
「そっちは大丈夫ナの?」
「ああ。問題ない。」
「こっちは、少し案件があってソレは、始末したンだけド。」
「ほう。」
「実は・・・・。」
「なるほど。気をつけるとしよう。」
「うン。早く逢いたいよ。」
「もう少し待っててくれ。すまない。」
「うン。」
「じゃあな、リッラ。」
「うン、ダーリン。気をつけてネ。」
パールからの伝心を終えると、ウトウトとしてきた・・・・。