カーラインカフェ。
グリダニアの冒険者ギルドを抱えるこのカフェには。
宿もあり、飛空挺の発着場なども備えていて。
もちろん、冒険者達が集う最大の場所となっている。
そして。
今、一つのテーブルには3人の少女が集っていた。
「ねえ、マユちゃん。」
切り出したのは、ふわふわした金髪の少女。
「うん?」
ブルーグレイの髪の少女はワインを飲みながら、そっちを見る。
「その・・。兄さんは?」
「う。」と答えに詰まる。おそらくはまだリムサ・ロミンサに居るだろう。
「その・・・。」
頬が少し赤くなったのは、ワインのせいだけではなさそうだ。
「マリー、マユちゃんは情熱的なキスをしてきたんだにゃ。」
オレンジの髪のミコッテ、シャン。
「ちょ!!!」マユの顔が一気に赤くなる。
「うーん、やっぱりなー。」と、マリーことマルグリットはワインをもらう。
「いいことなのにゃ。」
と、特大サンドイッチを切り分けながら、頬張るためにフォークを突き刺す。
「でもドコにいるのかよくわかったわね?」
「愛のチカラだにゃぁ。」
(あのサイズを一口で飲み込むとは・・。)
マリーはどちらかと言えば、ソッチに感心する。
「うーーーー!」言葉にならない少女。
「で、結局リムサ・ロミンサに居るの?」
「みたいだにゃー。マユちゃん情報はアテになるのにゃ。」
「へえ?どうして?」
「マユちゃんの小指に注目なのにゃ。」
「ちょ!それは言ったらダメだって!」
「ほーう。」
左手の小指にパールの付いたリング。
「そ、そんな事より、ネルケの話じゃなかったの!?」
と切り返す。
「そう、それにゃ。あたい、ネルケ君と続けていこうか悩んでるにゃ。」尻尾をぶらぶら。
耳はいつもと違い、ペタンと下がっている。
「え?」「ええ?」
「ネルケ君、いつまでたってもあたいの事、「先輩」としか呼んでくれないにゃ。」
「あー、・・・アイツはそういうヤツだね・・・。」
「そうなの?」
「そういうあたいも、「君」づけでしか呼んでないけどにゃ。ネルケ君が、
シャンって呼んでくれたら、あたいもネルケ、って呼べると思うのにゃ。」
「うーん。」
「シャンちゃんとネルケくんって、長かったっけ?そのお付き合いしてから。」
「半年ほどかにゃ。リトルアラミゴのキャンプに行ったあたりだからにゃ。」
「あ、なんかお風呂でそういう話題、あったよね。」
「そうにゃ。ネルケ君、マユちゃんの事が好きだったから、
マユちゃんのヤキモチをかきたてる為に強引に付き合いだしたのにゃ。」
「そうだったんかい!!!」
ブルーグレイの髪の少女はテーブルをバンっと叩く。
「まあ、結果よければ・・マユちゃん?落ち着いてね。」
「ふん。」ワインのおかわりを頼む。
「で?シャンちゃん。」
「最初はそうだったんだけどにゃあ。かわいい後輩でもあるし、恋愛感情が無かったわけじゃないのにゃ。」
「ふむふむ。あ、私もワインほしい。」グラスに注ぐ。
「まあ、アイツにそこまで期待するのがダメなんじゃないの?」と辛口のマユ。
「そうでもないのにゃ・・・・。」少し頬が赤い。
「なーんだー。まんざらでもなさそうだけど?」と注いだワインに口をつけるマリー。
「まだ、キスすらできてないのにゃ・・。」
「ほーう。私に対する挑戦かしら?」マリーの目は少しコワい。
「マリー、彼氏いないから・・・。」
「いわないでっ!」
「ここは、勝ち組ってことでマリーを慰めよう。シャンちゃん。」
「うわあああんん・・・・。裏切り者共めー。」涙が・・・。
「でも、確かマリーがウルラ君をマユちゃんに薦めてなかったかにゃ?」
「そうだけどさ・・。」ぐすん。
「・・・・・。や、その。ウルラはそのあれよ?本当、薦められたから、ってワケじゃないのよ?」
「呼び捨てにゃ。オススメじゃないのなら、さらにベタ惚れにゃ。」
「あうううう!!!そ、そうだけどっ!!!」轟沈。
「まあ、幸せ全開のダメ少女はおいておいて、まずは私もさがさないとねえ・・。」
「そうにゃあ。あたいも、ネルケ君と少し距離をおいてみるにゃ。」
「どうして?」
「居てほしい、って言われたいにゃ。」
「なるほど。こちらもノロケてきたか。」
「ぶほっ!」ワインを噴出すミコッテ。
「と、とりあえずマリーに彼氏を紹介するのが先かもにゃー。」
「え、本当?」
「うん、鬼哭隊にも何人もいるし、神勇隊にも聞いてみるにゃ。」
「わお!ありがとー!」
女子会は続く。
「いいよねー。オーア。あなたも参加すれば?」
「イーリス・・。すでに目星はつけてあるけど、マリーさんとカブらないといいけどねー。」
夜は更けていく。