293書き物。少女の埋み火。

「おっはよーございまーす。」
ふわふわした金髪の少女、マルグリットは宿の階段を降りる。

カーラインカフェに併設されている宿「宿まり木」

「こんにちは、マリーさん。」
そうすでに、昼。

金髪のエレゼンの少女、カナルが席に案内する。

そこには先客がいて。
「お。まるまる。やっときたのじゃな~。」
「は?お師匠?いつもの時間ですよ?そして、ネルケ君?どうしたの?」
「いや、ウルラ・・君のお兄さんからさ。言伝を。」
「はい?」
「まあ、何か注文しなよ。ここは僕がおごるから。」
「う。ではありがたく。でも、どうして?」
「まあまあ。」

注文したスープとサラダ、そしてパンが来ると「いただきます。」と口にする。

「で?」
「ああ、しばらく修行に出るってさ。」
「ん!?」
「クルザス方面、なのじゃな。」
「はぁ?」
「今朝がた、まあ。そういう話を聞いてね。何故か僕からよろしく伝えてくれって。」
「あー・・・。ええと・・。ちょっと待って。まず・・ネルケ君から、はなんとなく分かるんだけど・・。
なんでクルザス?というか修行?そして、私が居ない間に?」
「うん、「呪眼」って人、知ってる?」
「あ・・。ああ、うん。」
「手も足も出なかった、って言ってたけど。それで、もう少し至らない所を埋めてくる、って事じゃないかな?」
「マユちゃんは知ってるの?」
「知らない、と思うよ。だから僕が伝言してるんじゃないか。」
「しばらく、だまっておいて。」
「ああ、そうらしいね。」
「聞いたら飛び出して行きかねないから、ね。あの子。」
「よくご存知で・・。」

「では、な。まるまる。修行の時間、なんじゃな~。」
「はい。お師匠。」
「ではな、少年。ご馳走になった。」
「ご馳走様。」
「いえいえ。このくらいは・・。」
「では、ツケもよろしく頼んだんじゃよ~。」
「え?」さすがに表情が変わるが、師弟はすでに店から出てしまった。


「お師匠!」
「うん?」
「私、強くなれるでしょうか?」
「そうじゃな~。まずは、鍛錬の際には、いらぬ装飾はせん事からじゃな~。」
カチューシャを無意識に押さえる。
「その・・。これ、ですか?」
「そうじゃな~。不利になれば必ずさわるじゃろ~?依存しているのが何かは聞かないんじゃ。
しかし、依存している限り、強くはなれんのじゃよ~。」

(お兄ちゃん・・。)
「わかりました・・。」と言って、カチューシャを外す。
「参ります。」
「おう。」



結果は惨敗ながらも、何かが吹っ切れたような、そんな気もする。
「お師匠。兄ってもしかして?」
「さあな?お前の事はとても気にしているとおもうんじゃよ。」
「・・・。兄さん・・。」
「ただ、な。あやつは、自身が居なくても、お前が一人でやっていけるように、とおもっておるのかもしれんのじゃな~。
もちろん、それは本人にしかわからんのじゃがな~。」
「そうですか。ありがとうございました。」一礼。

(お兄ちゃん・・。)パールで呼びかけるが、返事は無い。

「ん・・。」唇を噛みしめ、夕飯を食べにカフェに戻る。この後は一人で練習だ。


----------コメント----------

ぬおおおおお~w
ワシこんな役どころでいいんじゃろか~?w
なんだか申し訳ないんじゃよ~w
そしていずれは二人がワシをこえていくんじゃな~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年08月29日 22:21

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>しゃくなげさん、いらっしゃいw
ふふふ、カッコイイ役回り・・・そうすると次には・・キャー(゜д゜)

「ワシの屍を越えて行け。」な展開に・・・キャーw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年08月29日 23:47

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